2022年10月01日

22年10月のカンムリウミスズメ調査報告1

10月1日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

前回の調査で1羽見られているので、淡い期待を持って臨んだのですが、カンムリを見つけることはできませんでした。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:30から15:25まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0



乗船前、研究者のTさんと、カンムリは期待薄なので、ヒヨドリの渡りやハチクマの渡りに期待した方がよさそうだ、アカエリヒレアシシギでもいてくれたらいいね、と話していた。お互い、調査なので期待の鳥がでないこともあることは十分承知の上での参加だが、何かしらの期待というか、予測のようなものを頭の片隅に入れているものである。

予期せず、そうした渡りの鳥が近くで見られれば、それはそれでラッキーだが、そうした予測を頭に入れているといないとでは、その日の鳥の探し方にも影響がある。島々の尾根筋に注意するとか、時々は空にも注意を払うとか、探す鳥によって観点が変わってくるのである。ということで、出港後、しばらくは長島の尾根筋を繰り返し、くりかえし確認した。ヒヨドリやハチクマの動きはないか確かめるためである。Mさんの話では、前の日に白浜港の裏側でヒヨドリの群れを見たそうなので、この時期は要注意なのだ。

しかし当たりは一向にない。島の磯に佇むアオサギが1羽、


221001磯に佇むアオサギ.jpg

黒っぽいものが磯にいるので双眼鏡で確認したら、こちらは釣り人だった。そのうち手を振ってくれたので、船長さんのお客さんと分かる。その後も海上では着水したウミネコや遠くを飛んでいるウミネコと思しき鳥ががポツリ、ポツリの状態。波は僅かにある程度で、さほど気になるものではない。

沖で久しぶりに船首にブリッジ(操舵室)のあるコンテナ船を見つけたので撮影。島方面へ進んでいる時、左手に黒っぽい塊が見えた。どうもヒヨドリの渡りのようだ。「ヒヨドリの群!」と声を上げるが、すぐに見失う。適当にシャッターを切った1枚に、薄っすらと群が写っていた。条件は良くなかったが、この日の狙い目の一つがゲットできた。

ハチクマは、春の渡りでは、以前報告したように、九州方面から海を渡って来るレアケースもあるが、秋の渡りでは、この辺りではほぼ陸路を移動するので、沖合では期待はできない。あと期待できるのはアカエリヒレアシシギだけだ。海上でウミネコの小群が見られた。岩場で休んでいることが多いが、なぜか岩場には1羽もいない。沖合に浮遊物の多い海域があったので、丁寧に探すも鳥は見当たらない。

11時前、船上でおやつが配られる。一口サイズのチョコで、商品名は「ミニビットアソート」、5種類(ミルク、ストロベリー、アーモンド、クリスピー、ウエハースの5種類)の味が楽しめる。欲張って5種類全部を1個ずつとったのが裏目に出た。この暑さの中、ポケットに入れておけば、溶けてしまいそうなので、次から次に食べる羽目に。小腹がすいていたので、食べる分には問題なかったのだが、やはりチョコレート。食べ終わると鼻血が抜けるのではという感じになってきた。子供の頃、ピーナツチョコが止められなくなって、1袋全部食べてしまい、鼻血を出した経験がある。そんな気分だったのである。

沖合海上でも、ウミネコの飛翔個体を2、3羽見かけただけ。沖合は波も静かでかなり遠くまで見渡せたから、本当にいないのだろう。沖合を進んでいる時、前方から1羽の鳥が飛んできて、右舷を通り抜け後方へ飛び去る。研究者のTさんは「カンムリ!」と声を上げたが、私は確信が持てなかった。これまでカンムリの飛び去る姿は度々見ているが、前方から来る姿は見たことがなく、色合いがやや褐色味を帯びていたように感じたのと、羽搏きの雰囲気がウミスズメ類とは違ったように見えたからだ。結局、研究者のTさんも「不明鳥」ということで、カンムリの飛翔1羽とはしないという結論を下した。写真の1枚でも撮れていたら、話は違っていたのだが・・・。

沖合で船を止め、お昼にすることに。前回目論見が外れたニコニコ亭の弁当の撮影が食前のミッションとなる。今回も500円とは思えない豪華さである。食後のお茶うけは、前の日に小郡の土用山でのハチクマの渡りの観察に行った帰りに買い求めておいた「ふしの屋の五色饅頭」、狙い目の「小吉饅頭」が売り切れており、仕方なく買ったものである。ふしの屋は、界隈では有名な蕎麦屋であるが、先代が蕎麦と饅頭(蒸し饅頭)をそれぞれ別のところで修行して、「二刀流」で商いを始めたもの。今は奥さんや息子さん、娘さん夫婦で跡を引き継いで店を切り盛りしている。代が替わって味が落ちたという人もいるが、私はそれなりにクオリティーは維持されていると思っている。

停船した辺りは、浮遊物の浮かぶ潮の止まった海域で、揺れもないが、風もなく、暑さが堪える。日よけは9月から外しており、直射日光がまともに当たるのだ。お腹の方はまだ落ち着かないが、暑さに耐えかねて、午後の調査を開始する。やはり船が動き出すと、暑さは余り感じなくなった。しばらく浮遊物の多い海域を丁寧に見当たる。長い竹が1本浮かんでいたり、木質系のものが目立つ。台風の置き土産であろうか。波はほとんどないので、180度、遠くまで見渡せるものの、鳥の出は相変わらずである。前回、1羽見られたという海域も見回るが、気配なし。

この日は浮遊物の浮かんでいる海域があちこちにあり、その都度、注意深く探すのだが、カンムリどころか、そうしたゴミの中に鳥自体がいない。島を周回時、上空にトビ、警戒して飛び立つミサゴ、イソヒヨドリやアオサギ、今回はクロサギが見られた。2羽いたようだ。ミサゴの1羽は、趾に魚を掴んで飛んでいた。


221001獲物を掴んで飛ぶミサゴ.jpg


撮影した写真で確認すると、ダツという魚のようだ。この写真だけは上手く撮れた。クロサギは不意を突かれて、ピントが上手く合わず、ボケボケの写真しか撮れなかった。

余りに鳥が出ないので、船長さんが恩情から、島周りを走ってくれたようだ。おかげで、船や風景の写真と弁当の写真しかないということだけは免れた。蒲井の岩場で瀬渡しのお客さんを拾って、次のお客さんを迎えに行く時、船の両側にスナメリが群れで現れた。


221001スナメリ.jpg


サービスよく、何度も背中を見せてくれたのに、結局、ピントを合わせ切らず、雰囲気写真が1枚撮れただけだった。でも体を3分の2以上出してくれ、雰囲気はよく出ているのではないかと思う。

港に着くと、いつものように波止場でウミネコが出迎えてくれた。瀬渡しのお客さんも私たち同様、余り良い釣果ではなかったそうだ。船長さんは、「潮がどうのこうのと言い訳ばかりする」と言っていた。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。






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2022年09月26日

【鳥の散歩道6】バイオミメティクスって言葉、ご存じですか?


『岩波生物学辞典(第5版)』によると、「生物のもつ構造、機能や運動を工学に応用して役に立つものを作り出すやり方、目的により、どの生物の、どのような機能を使うのかが異なり、対象とする生物を忠実に作り出すのではなく、生物の構造、機能や運動を利用する」ことだそうです。

生物模倣技術と呼ばれることもあり、新しい技術開発やモノづくりに生かされています。皆さんもよくご存じの「マジックテープ」は、「ひっつき虫」と呼ばれるオナモミの種子の表面の棘が毛につくことをヒントに作られました。

鳥に関して言えば、新幹線のパンタグラフの騒音を低減させるため、静穏飛翔のできるフクロウの羽の形状がヒントになりましたし、トンネルドンと呼ばれるトンネル微気圧波への対策として新幹線500系車両の先頭車のノーズの形状は空中から水中に小魚を捕食するためにダイビングするカワセミの嘴から頭部にかけた形状が参考にされました。

また鳥の翼の機能も航空機に活かされています。大型の鳥が翼の先(初列風切外縁部)を上方にそり返して飛んでいることがありますが、皆さんも主翼の先端が上にカーブした旅客機を見たことがあると思います。


ミサゴの飛翔形(上関海域).jpg



カツオドリの飛翔形(小笠原航路).jpg


これはウイングレットと呼ばれ、空気抵抗を減らすことで、燃費の改善に役立っています。

その他にも鳥の羽毛の色彩、なかでも金属的な光沢を放つ色彩(色素によらない発色で構造色と呼ばれる)を利用した製品も開発されています。このように自然から学んだものが多数あるのです。



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2022年09月24日

22年9月のカンムリウミスズメ調査報告3

9月24日 カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

台風14号が吹き荒れ15号も控えている中でピンポイントの調査でした。

概要を報告します。


天気:晴れ

調査時間:10:28から14:44まで

調査結果 カンムリウミスズメ 1羽

     シギ類飛翔 4羽

     ミサゴ 1羽

     アオサギ 3羽飛翔

     ウミネコ 100数羽


10:08 白浜港出発。途中、ウミネコを4ヶ所で計6羽(成鳥4羽幼鳥2羽)。

11:07〜11:10 カンムリウミスズメ非生殖羽個体1羽。


220924カンムリ.jpg


11:12 島の北東側岩礁上にウミネコ11羽(成鳥8羽幼鳥3羽)。

11:24 上空にトビ1羽。

11:42〜11:48 祝島の南東海上にウミネコ約90羽が広く散開する。

12:02〜12:08 餌をつかんで飛ぶミサゴ1羽、


000924ミサゴ.jpg


アオサギ3羽の飛び立ち、ウ類1羽の飛び立ち、イソヒヨドリ1羽のソング1)を観察。

12:08〜12:51 昼食。その後、途中でウミネコを2ヶ所で計2羽飛翔。     

13:31 シギ類4羽飛翔。その後、途中でウミネコ成鳥1羽飛翔。  

14:44 白浜港到着。



船上で昼食を摂りながら会話がはずんだがTさんから2つのことを学んだ。

その一つは宮崎・高知県沖で繁殖したカンムリウミスズメは個体例が少なく全部?ではないが、装着したロガーを回収すると夏場は大きく二つのエリア

@北海道沖・沿海州グループとA朝鮮半島近くに移動していることが分かった。したがってこの時期、非繁殖羽の確認はまれであるが、上関では毎年確認でき、1年間を通して換羽の変化を見ることが出来る。カンムリの生態系を知るうえで貴重な場所である。

そして箕輪義隆著の「新海鳥ハンドブック」2)を開いてくれた。

カンムリウミスズメのページでは1年間見ることが出来る地点として上関町周辺が緑で著色してあった。これまで地道な調査に参加した一員?として、その成果が反映されており感慨深かった。その二つ目は繁殖地調査について話がはずんだ。

今日の調査メンバーはたまたま4月に実施されたスポットライトサーベイと同メンバーで何とか繁殖地を見つける方法はないか。そのためには人手もお金も必要だし今後の検討課題となった。

私は繁殖地が身近に見つかれば、いつでもカンムリに会えるし、すごいことだと思っていたが、Tさんは「繁殖地が見つかれば、ネズミ、カラスなど天敵からカンムリを保護できる。」と一言。この言葉に自分の中で全く保護の観点が欠落していたことを痛感。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



        

1) さえずり

2)「新海鳥ハンドブック」箕輪義隆著 小田谷嘉弥監修 2020




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