2020年12月13日

12月のカンムリウミスズメ調査報告2

12月13日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

飛翔個体を目撃したものの、着水地点が分からず、そのままになっていたのですが、帰路、Yさんの見当が的中し、件の2羽を見つけることができました。


天気:曇り

調査時間:9:37から15:15頃まで

調査結果:カンムリウミスズメ 3(2羽+1羽の飛翔個体)


東岸を走っている間は波も穏やかだったが、沖合に出ると一変し、双眼鏡は救命胴衣の中にしまい、カメラはスーパーバックで覆って、以後、目視観察となる。沖合への走行をあきらめ、船を地寄りのコースにもどしたが、それでも飛沫を浴びて、前を向いていられないほどだった。

波というよりうねりがひどく大きく船が揺れる。これではカンムリを運よく見つけても写真どころではない。

Uターンし、後ろからの波に変わったので、飛沫を浴びることはなくなったが、船が波に押されているのが体を通して分かる。それでも懸命に鳥を探す。

時計を見ると、まだ昼には早いようだ。しばらく北上し、八島の北端に近い辺りから岸へより始めると、そこには船着き場があった。これまで着岸したことのないところだったので、興味津々で上陸する。昔、キャンプ場があったそうで、定期船もシーズンには着岸していたとのこと。Yさんにこの場所の地名を聞くと漁師の間では洲鼻(すのはな)というと。後で調べたところによると古浦という地名のようである。八島は、大島、小島、与崎と呼ばれる3つの島が砂州で繋がっており、古浦は小島の北端に当たるようである。

昼食後、西方の岩礁で休んでいるウや近くに飛んで来たイソヒヨドリの写真を撮ったり、八島神社の鳥居前を通って、与崎を望む海岸まで散策したりして過ごす。打ち上げられたゴミの量には驚かされたが、景色そのものは絶景と言ってよい。海岸ではクロサギを1羽見つけたので、様子を見ていると、いつのまにか2羽になっており、ペアの可能性もあり、繁殖期が楽しみである。時間がなかったので、八島神社の本殿までは行けなかったが、また来る機会があったら行って見ようと思う。県や町が本腰を入れて整備すれば、きっと素晴らしい観光資源になること間違いなしで、県のホームページでも「島の北部の与崎は、小さな山が約1kmにわたって海に突き出た奇勝の地ですが、ここには全国的にも非常に珍しく学術的な価値が高いとされている広葉樹のカシワと針葉樹のビャクシンが混生した群落があります」と紹介されている。

午後からは再び西進したが、午前中の波はどこへやらという感じで、結構、遠くまで見渡せる。1時を過ぎたころ、Hさんが右舷前方に2羽で飛ぶウミスズメ類を見つける。かなり距離があり、飛んで行ったのは分かったが、結局、見失う。その後、飛んで行った方向を中心に着水していないか双眼鏡を駆使して探す。

20分くらい進んだ頃、ウミスズメ類が2羽飛んできて、地寄りに飛んで行った。方角的には先ほどのペアと思われるが、またしても着水地点が分からずじまい。そのすぐ後、今度は1羽がへいぐんブイ方向へ飛び去る。先の2羽とは位置的には異なるので、別個体と思われる。

折り返し、やや沖合を東へ進む。どうも先ほどの1羽の行方がYさんは気になっていたようだ。ブイの南方沖合を進み、今度は地寄りに進路を取る。やはりYさんは鳥が飛んで行った方向へ船を進めていると確信し、私も気合を入れ直して鳥を探す。


カンムリウミスズメ211213_3.jpg

2時35分過ぎ、Hさんと私が同時に船の左舷に浮かんでいる2羽を見つける。この2羽は、あまり警戒しないペアで、前回見つけた1羽とは大違い。曇り空なので、きれいな写真は撮れないが、繁殖羽に衣替えした個体なので、私も俄然、やる気になって撮りまくった。水中を窺う動作を繰り返しており、2羽がいい感じで、顔を向けてくれるチャンスは少なかったが、何とかものにできた。


カンムリウミスズメ211213.jpg


カンムリウミスズメ211213_2.jpg


Mさんは、前日の調査を天候不良ということで中止にしたのに、この日の海況は前の日より悪い状況での調査となったので、カンムリが見つかって内心ホッとされたことだろう。その後、白浜港に船を進めていると、Hさんが「いた!」と声を上げたので、しまいかけていたカメラを向けると、何と紛らわしい浮遊物で、一同、爆笑。やはり、カンムリが出るとみんな心に余裕ができるのか、海上の寒さもどこへやらである。



(この調査は、日本自然保護協会 の助成を受けて行いました)


※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2020年12月06日

12月のカンムリウミスズメ調査報告1

12月6日(日)

前回の調査結果がよかったので期待したのですが、海上では海鳥類がほとんど見られず、諦めかけていた最後の最後で1羽を見つけ、安堵しました。


天気:晴れ

調査時間:9:30から15:00頃まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1


YさんやHTさんたちに憂い事が生じたとのことで、急遽、KTくんの船での調査となる。KTくんは、長年、調査の船を出してくれていたK船長の息子さんで、これまで何度も調査に協力してくれており、船長さんであるだけでなく、目もよく、強力な助っ人でもある。

出港後、船を走らせていると、随伴船を従えた大きな船が前方に現れる。船が大きいだけでなく前後左右に隊列を組んでいるので、通り過ぎるのを待つしかない。この大きな船はLNG(液化天然ガス)を運んでいるらしく、どおりで随伴船は放水銃を装備した消防艇が取り囲んでいたのだ。Rさんが船体にAMUR RIVERと書いてあるのでロシアからの船のようだが、どこに入港するのだろうかと聞いてきたので、私は柳井の火力発電所の燃料じゃない?と答えるが、Rさんから火力発電は石炭じゃないのと言われ、その時は確信が持てなかった。(帰りの車から発電所近くに停泊しているのを確認。調べてみると「柳井火力発電所は環境にやさしいLNG(液化天然ガス)を燃料とした,出力140万kWの中国電力で最大の出力を持つ火力発電所です」と中国電力のホームページにあった)どうもサハリン辺りから運んできたようだ。報告書のネタに一応写真は撮ったが、カンムリが出なくて本当にこれが重要な「埋め草」になってほしくないなどと思いながら、海上を見回す。


LNGガス運搬船AMUR RIVER201206.jpg


進路を変え、前回、カンムリが観察された海域を回るも、ウミネコと思われるカモメ類が1羽飛ぶのを見ただけで、ウミネコの群れすら見られない。昼食休憩のため、八島へ上陸したが、防波堤にセグロカモメが1羽とカワウの若い個体が1羽いただけで、ここでもカモメ類が少ない。湾内に赤潮がいくらか見られ、こうしたことが影響しているのだろうかという話になる。確かに海水温は魚類に影響を与えることは確かだが、何故、そうしたことが起きるのか、エルニーニョやラニーニャ現象の影響もあり、単純に気候変動=温暖化に結びつけられない問題でもある。昼食時に私の地元のお菓子である「銭の菓子(最中)」を配る。和同開珎をかたどった地元鋳銭司の代表銘菓であるが、県内でもあまり知名度は高くなく、最中特有の口に引っ付く、粉がこぼれるなど、ありがたい菓子とは言い難い。

午後から再度、船を進め、沖で折り返し、一向に鳥の気配がない。途中、水産庁の船舶(調べたところ漁業取締船の白鷺という船だった)が高速で通り過ぎたので撮影する。帰港コースに入った矢先、Mさんの叫び声が聞こえたので、振り向くと、船の右舷に1羽でいるカンムリが確認できた。

カンムリウミスズメ211206.jpg

この個体、潜ってばかりで、どんどん船から離れていく、随分距離があるのに、息継ぎに頭を上げるだけで、ほとんど姿をあらわさない。こんなに警戒する個体も珍しい。

カンムリウミスズメ211206_2.jpg

そのうち見失ったが、やはりKTくんは目がいい。私の10倍の双眼鏡でやっと分かるくらい距離があるのに、難なく見つけ、あそこにいると。少し遠回りになるが大回りで帰るコースに変更。しばらく進んだところで、さっきのカンムリに出会う。遠くにいる時は、潜ることもなく、羽搏いたり、リラックスしている様子を見せていたのに、船が近づくと、また警戒モードに入り、少しでも船から離れようとする。こちらも深追いはせず、最後の最後に出てよかったと喜び合いながら、帰路につく。

はやぶさ2のカプセル回収もすごいと思いますが、広い海の上で、どこにいるかも分からないカンムリを探すのも負けないくらい骨の折れることだと思いませんか。これからは寒さも増す上に海も荒れます。でも今回見られた個体のように夏羽(繁殖羽)の綺麗なカンムリが多く見られるシーズンでもあります。



(この調査は、日本自然保護協会 の助成を受けて行いました)


※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2020年11月22日

11月のカンムリウミスズメ調査報告

11月22日(日)

やっと11月に入っての第1回目の調査ができました。このところダメ続きでしたが、会としては一番記録の少ない11月に6羽も見つけるという快挙。「雌伏」から「至福」へということでしょうか(用語の使い方が間違っているかも?)。この日は、乗船者数などの関係からか、2隻での調査でした。


天気:晴れのち曇り(降雨)

調査時間:9:33から14:45まで

調査結果:カンムリウミスズメ 6(K船:1羽を午前午後各1回、HT船:2羽を午前午後各1回)


2隻での調査ということもあってか、いつもあまり行かない海域を見ておこうということで、私たちの船は北側の海域に入ることになった。出港してすぐ、上関大橋をくぐることになったので、ニュースで報じられた橋の段差についての話題となる。


今話題の上関大橋201122.jpg


海上は東からの風の影響で少し波はあるが、飛沫を浴びるほどではない。セグロカモメが浮かんでいたり、遠くの岩の上にウが見えたりしたが、カンムリらしき姿はない。

10時過ぎ、UさんからKさんに電話で、カンムリを1羽見つけたと連絡が入る。これでこの日の調査は坊主ではないと思ったら、急に気が楽になった。でも自分たちの船が見つけたわけではないので、競争心も湧いてきた。Kさんからお腹の具合が思わしくないので島に入港してもらうと声をかけられた。私も船上での尿意や便意の覚えがあるので、早く港に着かないかと気がきではない。港に横付けした船でKさんを待っていると、近くの岸壁にイソヒヨドリのメスが飛んできたので、時間つぶしに写真を撮る。


港を出ると正面からの波がきつくて、鳥を探すどころか、自分の体を支えるのに精一杯だった。近くの巻き上げ機につかまり、何とか船の上下動をこらえた。島が近くに見え始めた時、Kさんが船の右舷に2羽のカンムリウミスズメを見つける。私も船の揺れに耐えながら前方は見ていたのだが、気づかなかった。


カンムリウミスズメ201122.jpg


そう遠くない所にいたが、船の揺れが激しくて、鳥を画面に入れるのに苦労する。その上、ピントが揺れる波に影響されて、まったく合わない。そのうち1羽が飛び去り、残った1羽が盛んに鳴くので、その声を入れようとカメラを動画モードに切り替えたが、波間に見え隠れするカンムリをとうとう見失ってしまった。それからは双眼鏡は使うこともなく飛沫でびっしょり、眼鏡も飛沫で前が見えなくなるほどであった。


島に入港後、トイレの洗面所で眼鏡と双眼鏡を水で洗う。私の調査で使用している双眼鏡は防振(手振れ防止のイメージスタビライザー付き)の上、防水なので、こんなあらましい使い方ができるが、一般的には濡らさないに越したことはない。昼食時、持参した饅頭(前の日に行った島根県の六日市の錦華饅頭)を配ったところ、HT船長の奥さんの実家が六日市だそうで、この饅頭はよく食べているとのこと。HTさんとはあまり話をしたことがなかったので、思わぬ話題提供となった。島に寄ったおかげで、ウン(運)が着いたね、と軽口も飛び出す。


午後からは11時前に見つけたカンムリの位置情報を取るのを忘れていたので、もう一度、向かうことになった。HTさんの船にはGPSの装置があり、場所も覚えているので大丈夫ということだった。中間点辺りで、左舷に2羽のカンムリを見つける。波は収まっていないが、後ろからの波なので、双眼鏡が使えたため、やや距離があったが、運よく見つけることができた。船を寄せてもらい、証拠写真を撮ろうとするが、船の上下動で目と鼻の先に鳥がいるのにピントがまったく合わない。シャッターを切り続けたが、まともな写真は結局撮ることはできなかった。警戒心の薄いペアだったこともあって、これまであんなに近くまで寄ってカンムリを見たことはない。大げさではなく、船の舳先にぶつかるのではと思うほどだった。


カンムリウミスズメ201122_2.jpg


それからしばらく進み、遠くに鳥の群れが浮かんでいるのを見つけた。船を寄せ始めるとすぐに飛び立たれ、双眼鏡では種は確認できなかったが、何とか撮った飛翔写真を見ると頸に白い輪が見えることから、マガモの群れのようだった。その後、GPSで位置情報を調べ、K船と合流する。その前から雨も降り始めていたので、調査を切り上げ帰港することになる。


帰港後、オオミズナギドリの調査についてW先生たちに伺ったところ、まだ1羽、巣穴に残っている個体がいたこと、また大雨で巣穴が密集している谷筋が流され、壊滅的被害となっているとのことだった。イノシシ被害に続き、豪雨羽災害に見舞われた繁殖個体群の今後の存続が心配である。


(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)


※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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