2025年07月06日

25年7月のカンムリウミスズメ調査報告12

7月6日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

今回は午後から海況が悪化し、思うように鳥探しができず、カンムリとの出会いも叶いませんでした。

天気:晴れ

調査時間:9:33から14:37まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0


船には日除けのシートが張られており、夏の調査の対策は整っている。


250706日除けテントが設置された調査船.jpg


しかし、乗船前、船長さんから「今日は日差しより風が心配だ、この時期に西の風は考えられない」と聞かされ、その時は余り実感が湧かなかった。

それより前回、GPSのスイッチを入れ忘れるというポカをしているので、早めにスイッチを入れておく。

港を出ると確かに波はあるようだが、船が大きく揺れるということもなく、双眼鏡も使える程度。

これまでの調査は海面が白っぽくて鳥が探し易かったが、波頭の動きがあるため、浮かんでいるものがあったとしても、よほど注意深く見ていないと見逃したり、見失ったりしてしまう。

出港後すぐにウミネコの着水個体が10羽前後見られたものの、


250706ウミネコが10羽近く着水している.jpg


浮遊物すら見られない海域が続く。

不思議なことに沖合に進むほど、波が穏やかになってきて、ほぼベタ凪という海域もあった。

撮影するものがないので、遠くに見えた海保の巡視艇を狙う。


250706巡視艇なち.jpg

艦船の番号を頼りに調べたところ、徳山海上保安部の巡視艇「なち」と判る。

浮遊物が多くみられる海域では注意深く鳥を探したがダメだった。

流れ藻も結構浮いていたので期待したのだが、そう簡単には問屋が卸してくれない。

宇和島沖を進んでいる時、GPSの確認をすると電池残量がなくなって表示できなくなっていた。

残量が少ないのは事前に分かっていたが、何とか持てるだろうとそのままにしていた。

早く気づいて電池交換をしたので、データなしという最悪の結果は免れた。

いつものようにミサゴの巣のある小島に近づくと今回もアマツバメが数羽、島の上を舞っていた。

お決まりのようにミサゴも警戒声を発しながら飛び回る。


250706警戒声を発し飛び回るミサゴ.jpg

飛び回るミサゴを撮影した画像に食べかけの魚が写っていたところをみると、食事を邪魔され怒っていたのかもしれない。


250706食事中のミサゴ.jpg


島の灯台の上にも1羽止まっており、2羽いることが分かったが、高い岩の上にももう1羽おり、どうもその1羽は今年生まれの幼鳥のようで、飛び立つ様子もなく、撮影した画像でも幼い感じがする。


250706ミサゴの幼鳥?1.jpg


250706ミサゴの幼鳥?2.jpg


250706ミサゴの幼鳥?3.jpg


一度、ちょっと下の岩に飛び降りたが、空に飛び出す勇気がないように見える。

灯台にとまっていた個体はオスの成鳥、


250706灯台の上で周囲を見張るミサゴ.jpg


飛び回ったり、幼鳥と思われる個体の近くに止まったりするのは、羽衣の特徴からメスの成鳥のようである。


250706草の陰に2羽のミサゴが見える.jpg


このことから言えるのは、前回か、前々回の報告で繁殖が上手く行かなかったようだと書いたが、その時点では巣立ち前のヒナが巣内にいたということだろう。

巣を下から見上げただけで、判断を下してはいけないということを痛感させられた。

島を離れてすぐ、おやつが配られた。

チョコパイは保冷バッグに入れられていたからだろう、ちょっと冷たいくらいで、時間的にもグッドタイミングな糖分摂取がとなった。

船の上でチョコとは贅沢!」との声も聞かれ、同感だった。




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2025年06月30日

25年6月のカンムリウミスズメ調査報告11ー3

その後も浮遊物が多い海域では丹念に鳥を探したが、まったくヒットしなかった。

かなり沖合に進んだところで、遠くに着水している大型の鳥を見つける。

オオミズナギドリだった。


250628オオミズナギドリ1.jpg


周りには何羽か飛んでいる個体もいたが、無風なので、羽搏き飛翔をしてもすぐに近くに着水する。


250628オオミズナギドリ2.jpg


250628オオミズナギドリ3.jpg


距離があったのと、海面が白くコントラストがなくオートフォーカスが働きにくかったため、まともな写真は撮れなかったが、久しぶりにオオミズナギドリを見られたのはラッキーだった。


250628オオミズナギドリの排泄行動.jpg

(オオミズナギドリの排泄行動)


10数羽見かけたが、ダブルカウントもあるので、正確な数は不明。

沖合から北上を開始後しばらくしてTさんが右舷前方に鳥を見つける。

少し近づいたところで私は、その鳥がカンムリではなくウミスズメであることに気づく。


250628ウミスズメ繁殖羽個体1.jpg


飛ぶ可能性があるので、船長さんに伝えると、本当にカンムリじゃないの? と。

ウミスズメの繁殖羽個体で、白い飾り羽が出ていて紛らわしいが、カンムリではないと断言。


250628ウミスズメ繁殖羽個体2.jpg


これまでウミスズメにはすぐに飛ばれて、ゆっくり観察したり写真を撮ったりできないが、この個体はとてもフレンドリーで、かなり近づくことができた。ウミスズメがこの時期この海域にいること、しかも綺麗な繁殖羽個体が・・・という疑問は残るが、これまで7月にも記録があるので、良しとすることにした。

さらに北上を進め、八島を過ぎてしばらくしたところで、ゴミ海域を外れた奥の方にカンムリらしき2羽を見つけ、船を近づけてもらった。

間違いなくカンムリであったが、


250628最初に見つけたカンムリ2羽1.jpg


250628最初に見つけたカンムリ2羽2.jpg


観察中に船長さんがすぐ近くで別の2羽を見つけた。

すると最初に見つけた2羽のうち1羽がしきりに鳴き始める。


250628こちらを向いたカンムリ.jpg

(こちらを向いたカンムリ)


250628羽搏くカンムリ.jpg

(羽搏くカンムリ)


ひょっとすると呼び合っているのかも? 

船長さんは4羽でいたのを船が間を通って引き裂いてしまったのだろうかと言っていたが、次第に最初に見つけた2羽が後に見つけた2羽に近づいて行き、ついに合流した。


250628二組のカンムリが合流1.jpg


それからは4羽は歩調を合わせるように行動していた。


250628二組のカンムリが合流2.jpg


前回出合った4羽と構成が似ており、前回は家族群かどうか判断を保留していたが、今回の4羽が前回の4羽と同じグループであったとすると、かなり家族群である可能性は高まったと言える。


250628二組のカンムリが合流3.jpg


最後に白浜港内でアオサギの写真を撮って調査終了となる。


250628アオサギ.jpg




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2025年06月29日

25年6月のカンムリウミスズメ調査報告11ー2

その後、沖合でサメを見つけたが、シャッターチャンスを逃してしまう。

沖合の航路筋を八島方面から見慣れない船がやってくる。

その時は船籍も分からなかったが、かすかに読み取れる船名から鹿児島水産高校の漁業実習船「薩摩青雲丸」と判った。


250628漁業実習船「薩摩青雲丸」.jpg


ミサゴの巣がある島へ近づくと週末ということもあり、釣り人が磯に何人か見られた。

前回はまったく見られなかったアマツバメが10羽以上、島の上空を舞っており、


250628島の周りを飛び回るアマツバメ.jpg


ミサゴも1羽が定位置で警戒の声を発している。


250628警戒声を発するミサゴ.jpg


しばらくして別の1羽が戻ってきたので、つがいなのかも知れない。


250628ミサゴの排泄行動.jpg

(ミサゴの排泄行動)


250628巣の近くに戻ってきたミサゴと周囲を飛び回るアマツバメ.jpg


その後も見通しの良い海上を見回し進んだが、ウミネコが1羽見られただけ。

祝島へ入港前、一ヵ所波立った海域があり、


250628波立つ海域.jpg


船長さんに尋ねると、海底が少し高く尾根のようになった場所で、この日のように波の全くないような日には、そこの海流が目立つのだそうだ。

そのため、それを知らせるブイが設置されているのだと。


250628立つ海域を知らせるブイ.jpg


祝島に上陸すると、さすがに陸は暑い。

日陰で食事を摂っていると船長さんの知り合いの漁師さんがやって来て、近頃の漁の状況や漁具の仕様の話など始めた。

方言は別にして、魚の名前(地方名)や網の仕掛けなどは専門用語なのか、まったく何を話しているのかこちらには分からない。

でも二人は話が弾み、終わりが見えない。船長さんも暑さが堪えてきたのか、話を切り上げて船に乗り込み、調査再開となる。


宇和島方面へ進んでいると大きな船が長島沖に見える。

海保の新造船かと思ったが、船首にはハングル文字、船体には英語で「JEJU NATIONAL UNIVERSITY」と書かれており、韓国の船らしい。


250628韓国・済州大学の練習船「アラ号」.jpg


調べてみると韓国の済州大学の練習船「アラ号」と判る。

済州大学は広島大学と交流協定を結んでいるので、広島からの帰りだったのかもしれない。



(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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