「世界が目指す《人と自然の共生社会》とナメクジウオから見た海の生態系保護の必要性 」
「カンムリウミスズメからタヌキまで:上関の生態系を考える」
「上関中間貯蔵施設への日本生態学会要望書と《生物多様性やまぐち戦略》」
15:30 写真コーナーの紹介 (16:00 閉会)
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9月8日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
今回もカンムリとの出会いはありませんでした。これから厳しいシーズンを迎えますが、気候はだんだんと良くなりそうなので、それだけが救いです。。
天気:晴れ
調査時間:10:08から15:27まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
朝はだいぶ涼しくなってきたので、最寄りの駅まで自転車を踏んでも、汗が噴き出すということもなく、列車を待つ間も、これまでのように汗を拭きふきということはなかった。そこまでは良かったのだが、大事なものを入れ忘れていることに気づいた。前の晩、調査グッズの一つである防水仕様のウエストバッグに普段使いのバッグから財布や手帳などを移しておいたのだが、あるはずの眼鏡ケースが入っていなかったのだ。日常的に眼鏡をかけているわけではないが、見えづらいこともあるので、バッグには何時も遠近両用メガネを入れて持ち歩いている。とくに調査では、いち早く鳥を見つけ、識別する必要があるので、いわば必需品。それを忘れてきてしまったのである。出鼻をくじかれて、それでなくても下がり気味の気力が、さらに下がらざるを得なかった。
この日はバスで上関へ行くことになったため、いつもより少し遅めの出発となる。
海は穏やかだが、幾分靄っとした感じで、遠くの島々は霞んでいる。
港を出ると、前方を定期船いわいが進んで行く。
日曜日ということもあり、釣り船もちらほらと見られる。
波がない上に海面が白っぽく、鳥は探しやすそう。
横島付近でウミネコの幼鳥が着水していたので撮影を試みるが、光線の具合が悪く、良い写真にはならなかった。
眼鏡を忘れたので、裸眼ではとても鳥探しは難しく、双眼鏡頼みとなったが、幸い船の揺れもなく、いつも通りに鳥探しができそうだ。遠くに黒い塊が見えたので、船長さんに船を近づけてもらったが、残念ながらゴミだった。
しばらく何も浮かんでいない海が続き、天田島の東方までやってくると今度は浮遊物が帯のようになった海域が現れる。
怪しい浮遊物はないか、丁寧に双眼鏡で探すが、鳥らしきものはなかった。宇和島の西方海域でも浮遊物の帯ができていたが、ここでも鳥との出会いはなかった。
宇和島周辺には釣り船がたくさん出ていて、磯にも釣り人が10人近くいた。調査機器の電池交換とデータ回収作業を予定されている研究者のTさんを調査地に降ろす。いつも岸辺には近づけず、だいぶ離れた岩場に着岸するのに、この日は大潮の満潮ということもあって、いつもの岩場は海の中で、岸辺の岩場に接岸できたのである。これまで何度も立ち会っているが、初めてのことだ。20分くらいで作業は済むということだったので、近くの島を見回ることに。
時期的なことや釣り人の影響もあるのか、トビが島の上空を舞っていたのと、ウミネコを1羽見かけただけだった。このウミネコ、撮影して分かったのだが、換羽中の個体だった。おそらく繁殖を終えた成鳥と思われる。
船長さんは鳥探しもだが、息子さんのウマヅラハギ漁に使う餌となるクラゲ探しも同時に遂行していた。目の良い船長さんが見つけた大きなユウレイクラゲを私がたも網で掬い上げた。すると鯛か何かの稚魚が3、4匹、網の中に入っている。稚魚を網の外へ出そうとするが、なかなか出てくれない。そのことを船長さんに伝えると稚魚はクラゲの中に入って過ごしているので、離れると生きていけないという。クラゲを突いて食べているのかと思ったが、そうではないらしい。沖合の藻場がわりなのだろうか。
近くの島の沖で、船長さんの知り合いがタチウオ漁をされており、漁を見せてもらった。船長さんの話では、漁師は漁の現場を他人に見られるのを嫌うとのことだったが、釣果など漁師同士の情報交換をしている合間に、しばらく見物させてもらえたのである。結構いい形だと思うようなものもリリースされていて、もったいないような気もした。
身体が半分しかないものも上がってきた。タチウオは共食いをするらしい。
餌のイワシも結構な大きさがあるのに食いついている。歯の並びを見てもどう猛さがうかがえる。大きなカサゴの仲間もリリース。船長さんがたも網で掬い上げ船に上げる。水圧の関係か、眼が飛び出していた。
わずかな時間だったが、貴重な体験をさせてもらい、お礼を言って船から離れる。
調査地の島の北岸を回っている時、ミサゴが1羽飛び出す。後追い撮影したところ、何か抱えていたようで、食事中だったらしい。
しばらくしてまた戻ってきたので、食べ直しするものと思われる。
研究者のTさんを回収し、少し沖合へ進んだところで停船、昼食・休憩となる。調査の開始が何時もより遅かったからか、余りゆっくりせずに調査を再開。船を止めている間はどうしても風を受けないので、船長さんは時間より暑さから早々に船を出されたのかもしれない。
祝島方面へ北上したが、途中、ウミネコの着水個体を2羽見かけただけ。
途中、小ぶりなクラゲが浮かんでいたのでゲット。双眼鏡でやっと分かるくらいのところをツバメらしき小鳥が3羽、飛んでいた。祝島を出港した定期船いわいが遠くに見えたので撮影する。
鼻繰島に近づいた辺りで、船を反転させ、再び、沖合を目指す。
沖合はベタ凪で鳥がいればすぐ分かるような状態だったが、まったく鳥の気配がない。
Naさんは時折、飛び出すトビウオの撮影にチャレンジしている。私は、いつ飛び出すか分からないトビウオに注意を払うのは本道ではないので、鳥探しに集中。
やっと四国が薄っすら見え始めた。貨物船の航跡波でたまに船が揺れることはあるものの、鏡のような海面が続く。その頃からテントの屋根の関係で日差しが後ろ側からもろに当たり出したため、帽子のつばを後ろ向きにして対応したが、とうとう我慢できず長椅子を前に移動させて直射を凌いだ。船長さんの計らいで八島の北端(洲崎)と砂州で繋がっている古浦地区の岸辺に船を寄せ、上関の隠れた穴場についての説明を受ける。
帰路、何度か大きな浮遊物の帯に遭遇したが、鳥影はなく、長島の風車と夏の雲とのコントラストが良かったので撮影して調査を終える。
(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
8月11日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
さすがに幸運は続かず、今回はカンムリとの出会いはありませんでした。
天気:晴れ
調査時間:9:45から15:00まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
この間の調査は余りにもツキ過ぎだったので、さすがに今回は肩の力も抜けて、出る出ないを気にすることもなく船に乗り込んだ。
この日はTさんが体調不良で乗船されず、おやつの配布役が回って来た。11時と14時の二度、適当なタイミングで配るだけのミッションではあるが、鳥探しだけでなく、もう一仕事あると思うと、何かいつもと違う心持ちになる。
陸は連日猛暑だが、海上は快適とまでは言えないものの、自宅で暑さに耐えながらの生活よりは、はるかに過ごしやすい。波は少しある程度で、双眼鏡が使えないというほどではない。前回同様、雲のない天気の割には霞加減で、意識しないと、四国も九州も確認できないくらい。時折、海面に浮かんだウミネコを見かける程度で、本当に何もいないという感じ。
見かけない船が長島沖をゆっくりと航行しているので、話のネタとして撮影しておく。後で船長さんに聞くとどこかの練習船ではないかということだった。先日も練習船に乗って神戸の方からやって来た学生がカッターを漕いで上陸していたと話していた。船名から調べてみると、周防大島にある大島商船高専の練習船だった。
その後立ち寄った島でもトビとウミネコをそれぞれ1羽見ただけで、釣り船や磯釣りの人の数の方が多く鳥影は薄かった。
前回、カンムリを見つけた海域でも、見かけるのはウミネコの着水個体ばかり。
鼻繰島の近辺にクレーン台船がいる。日曜日に、しかも南海トラフ地震の注意喚起がされている中で、それ以上の急を要する作業があったのだろうか。気になるので何枚か写しておく。
沖合へ向かう途中に雰囲気の良い潮目もあったが、サッパリ鳥がいない。
宇和島近くの穏やかな海域に停泊して昼食・休憩。
午後からの調査では、沖合を攻めてみるが、見つかるのはウミネコのみ。それも遠いし、船の揺れもあって、まともな写真が一枚も撮れない。連写の利くカメラの方はまだ一回もシャッターを切っていない。日頃、あまり回ることのない八島の東側も見回ったが、こちらもダメ。
前回、アマツバメやクロサギなどが見られた島に立ち寄るが、さすがにもうアマツバメは見られなかった。クロサギも巣立ったのか、磯周りを巡ってみるが、飛び出さない。ミサゴは1羽飛び出したが、船の近くには飛んできてくれない。
磯を見回っている時、「ピューイ」という声が聞こえてくる。船長さんが今の声は? と。
間髪を入れず、研究者のTさんがキアシシギの声だと応答。船を進めていると声の主が前方の岩場に飛んでくる。落ち着かない様子で、また別の岩場に飛び移る。4羽の群だった。逆光だったので、キアシ(黄足)といっても足の黄色は確認できない。
飛んだ時、翼に模様が何もないのがこの鳥の特徴なので、そちらは確認できた。辛うじてピントの合った写真を確認すると、1羽が頭かきをしている姿が写り込んでいた。
距離も動きもあって、バッチリ写真とはいかなかったが、連写の利くカメラを使う機会があって良かった。
帰港の途中、海面に黒い塊のようなものが見え隠れするので、カンムリが潜水を繰り返しているのかと力が入ったが、双眼鏡で確認したところ、サメの背びれだと分かり、最後の最後でとの、淡い期待も打ち砕かれた。
(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
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