2024年11月12日

24年11月のカンムリウミスズメ調査報告16

11月12日(火)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
毎回、厳しい調査が続いています。

天気:曇りのち晴れ
調査時間:9:43から14:32まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
           
 天気予報では晴れとのことだったが、出港時はどんよりとした天気で、気持ちまで暗くなる。

241112出港時は曇天.jpg

アノラックの下に薄手のフリースを着込んでいたのに、体が冷えて冬の調査のようだ。
横島の西方を航行しているとミサゴが1羽飛び出す。距離があったので撮影は諦める。
そのうち晴れ間が広がってきて辺りが明るくなったが、波も少し出てきて、鳥探しが厳しくなる。

ウミネコはちらほら見られるものの、海面を浮遊するものが全く見られない。
少し凪いだ海域もあったが、しばらくするとまた元に戻る。

前方から水しぶきを上げて進んでくる船を見つけ撮影する。海保の巡視艇のようだ。撮影した画像を確認すると「なち」と船名が書かれていた。徳山海上保安部所属の艦艇らしい。

241112海保の巡視艇なち.jpg

その後も現れるのはウミネコばかりで、まったくカンムリの気配はない。

241112着水しているウミネコ.jpg

今回は、前回のようにゲストが乗船していないので、気が楽といえばそうなのだが、カンムリに替わるような目玉になる鳥すら出ないのでは、ただ疲れるだけだ。
調査だからと自分に言い聞かせてはいても、やりきれない気持ちになるのは人情だろう。

この日は研究者のTさんが鼻繰島に上陸を予定していて、沖合から北上を開始すると、斜め前からの波に変わって、飛沫を浴びるようになり、前を向いていられない状態になってきた。

241112鼻繰島を目指して進む調査船.jpg

やっと上陸地点に近づいた時、前方から上空を大きな鳥が2羽飛んで来たので、慌ててシャッターを切る。
画像を確認するとウだった。

241112突然、上空に現れたウ類.jpg

ウミウかカワウか下からの撮影だったので判別はつかなかったが、ウミネコ以外の鳥だったので、何か得をしたような気分になる。
研究者のTさんを降ろし、我々は祝島へ向かう。正面からの波がきつくて、顔を横に向けて耐えていると、祝島の手前辺りで右舷に海面すれすれに飛ぶ鳥の群を見つける。対応が遅れたのと船の揺れとでまともな写真は撮れなかったが、ヒヨドリの群が見られたのは良かった。

241112祝島方面へ海上を渡るヒヨドリの群.jpg

後で研究者のTさんから島から飛び出す100羽くらいのヒヨドリの集団を見たと聞いたので、おそらくその群が祝島に渡ったのだろう。
祝島の防波堤にいつも休んでいるウミネコは1羽もおらず、食後の楽しみもない。冷えるのでトイレに行って再び乗船。
研究者のTさんを回収に向かう。今度は後ろからの波なので飛沫を浴びることはなかった。

その後、いつものように沖合を目指すと思いのほか波が高く、時折、大きなうねりもやってくる。
このまま進むと、沖合から戻る時が横波になるため、そのまま後波に乗って、やや地寄りに進む。それでも船は大きく揺れ、鳥探しどころではない。

それでも船に近づいて来たウミネコやセメント運搬船を撮影するなどして、「埋め草」を稼いだ。

241112船の近くに飛んで来たウミネコ.jpg

241112ウミネコでも撮っておくかの一枚.jpg

241112長島沖を進むセメント船.jpg

波の加減で横島を大きく回り込んだので、大津のタイル張りの灯台を写したり、白浜の家並を写したりして帰港。

241112タイル張りの灯台(大津).jpg

241112カンムリとの出会いはなく意気消沈での帰港.jpg

この日は本当に話題に事欠く一日だった。



(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2024年11月05日

24年11月のカンムリウミスズメ調査報告15−2

研究者のTさんを乗せ、再びハヤブサ止まっていた岩場近くへ進むと、依然、山中を見つめている。しばらく様子を見た後、我々は本命のカンムリが出ていないので、先を急ぐ。海上は、時折現れるウミネコだけで収穫なし。

昼食・休憩で立ち寄った祝島の防波堤にはたくさんのカモメ類が休んでいた。

241104防波堤で休むカモメ類.jpg

ほとんどはウミネコだったが、何羽かセグロカモメも混ざっていた。

241104セグロカモメの姿も.jpg

食後は、この時期定番のジョウビタキ探し。研究者のTさんが近くの電線に止まっている個体を見つけてくれた。メスだったが、口から種を吐き出すシーンを撮影することができた。


241104電線に止まったジョウビタキ♀.jpg

241104種を吐き出すジョウビタキ♀.jpg


近くではイソヒヨドリやハシブトガラスも見られた。


241104テトラの上で声を発するハシブトガラス.jpg

調査再開後、島近くの岩場でウが3羽見られたが、遠いのと逆光だったため種は不明。


241104岩の上で休むウ類.jpg


その後もウミネコが時々飛んだのと、小さなヒヨドリ群を見たくらいで、カンムリとの遭遇はなし。


241104岩の上で休むウミネコたち.jpg


241104ウミネコの若鳥.jpg

241104ウミネコの正面顔.jpg

天田島と宇和島の間の海域を航行中、右舷に黒っぽい鳥を見つける。船長さんやカメラマンさんたちは、「カンムリ?」と聞いてきたので、私はすぐに「オオバンです」と返すと、「珍しい鳥ですか?」と。オオバンは珍しい鳥ではないが、海上に浮かんでいるのは珍しいと私は思っている。


241104海上でオオバンに出会う!1.jpg

241104海上でオオバンに出会う!44.jpg


以前、一度、出会ったことがあったが、その時は撮影できなかったので、今回は必死でシャッターを切った。既に海はベタ凪になっており、船も揺れず好条件なはずなのに、バッチリ写真は撮れなかった。

その後も、集中を切らさず、カンムリを探し続けたが、結局、ウミネコとアオサギの写真が撮れただけだった。

241104船の近くを飛ぶウミネコ.jpg

241104アオサギ.jpg


港に戻ると、この日はイソヒヨドリがお出迎え。


241104イソヒヨドリがお出迎え.jpg

カンムリとは出会えなかったけど、ゲストの二人にハヤブサとヒヨドリの渡りを間近で見てもらうことができたのは良かった。上関の海と生き物に感謝!


(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2024年11月04日

24年11月のカンムリウミスズメ調査報告15

11月4日(月)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
たくさんの眼で探したのですが、今回もカンムリとの出会いはありませんでした。

天気:晴れ
調査時間:9:44から15:48まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
           
 この日は、ゲストとしてプロのカメラマンが2名も同乗することになっていて、とてもありがたいのだが、カンムリの出の悪い時期なので、いきおいプレッシャーがかかる。
海上は少し波があるような感じだが、上空は雲一つない秋晴れ。


241104結構、波がある!.jpg

しかし水平線辺りは靄っとしていて四国や九州は望めない。
出港してから1時間くらいはウミネコを1羽見かけたのと、小さなチョウがひらひらと飛んでいたくらいで、あとは紛らわしい流木が浮かんでいただけだった。

いつものように研究者のTさんをカラスバトの調査地の島に降ろしたあと、周辺の島めぐりで時間を潰す。釣り人の姿が磯のあちこちにあり、鳥はあまり期待できそうにない。それでも隣の島ではトビやウミネコの他にミサゴも出てくれたのでホッとした。


241104島の上空を舞うトビ.jpg

241104飛び回るウミネコ.jpg

調査地の島の北側を周回しているとミサゴが2羽飛び出し、もつれ合うようなシーンを見せてくれた。


241104ミサゴ2羽.jpg

そんなミサゴの行方を目で追っていると、突然、船の左舷方向からヒヨドリの群が現れ、島の林の中に飛び込んだ。

241104ヒヨドリの群が島に飛び込む.jpg

241104ヒヨドリの群が林の中へ飛び込む.jpg

50〜60羽くらいいただろうか。その前にも20〜30羽の群を見ており、ずいぶん今季は遅くまで渡っていると感じた。彼岸花の開花も遅かったし、紅葉も遅れているそうなので、渡りのピークがズレているのかもしれない。

研究者のTさんを迎えに上陸地点に向かっていると、Tさんが後方から岩場の上に飛んで来た鳥に気づく。双眼鏡で確認するとハヤブサだった。それも綺麗な成鳥だ。

241104ヒヨドリの動きを見張るハヤブサ 環境写真.jpg

241104ヒヨドリの動きを見張るハヤブサ1.jpg

241104ヒヨドリの動きを見張るハヤブサ2.jpg

241104ヒヨドリの動きを見張るハヤブサ3.jpg

遠目に何枚か撮影し、少しずつ船を寄せてもらう。こちらを警戒する様子はなく、上方の林の中をうかがっている。羽毛の手入れを始めたので、行けるところまで船を進めてもらった。

241104羽毛の手入れを始めたハヤブサ.jpg

どこから現れたのか、200羽を超えるような群れが頭上を飛んで行き、山中に飛び込んだ。

241104ヒヨドリの大群がやって来る1.jpg

241104ヒヨドリの大群がやって来る2.jpg

ハヤブサは即座に反応することなく、山中を凝視している。狩りのタイミングを計っているのだろうか。
そのうちキーキー鳴き声を発し始める。

241104キーキーと声を発するハヤブサ1.jpg

241104キーキーと声を発するハヤブサ2.jpg

241104キーキーと声を発するハヤブサ3.jpg


我々の接近に不快感を示しているのか、ヒヨドリの動きにイラついているのか。
我々が不快にしては、こちらを見ることは一度もなく、終始、山中を見つめている。我々の船だけではなく、一つ前の岩場の磯には釣り人もいる。確かに人間は気になるが、獲物の動静の方がもっと気になる。そうした葛藤がキーキー声となって現れたのかもしれない。

ヒヨドリもハヤブサの存在には気づいている。

241104ハヤブサを警戒して?島から飛び立つヒヨドリの群.jpg

241104ヒヨドリの小群が渡る.jpg

241104尾根筋を移動するヒヨドリの群.jpg

尾根筋を移動したり、別の方角へ飛び立ったり、生存をかけた両者の駆け引きが行われており、本当のところ、ハヤブサの気持ちはハヤブサに聞いてみないと分からない。幸運にも滅多にないハヤブサの近距離撮影のチャンスに出くわし、同乗の二人のカメラマンも良い写真が撮れたようなので、研究者のTさんの回収に向かう。


(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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