2025年09月06日

25年9月のカンムリウミスズメ調査報告16

9月6日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

何とか1羽のカンムリと出会うことができました。

天気:晴れ

調査時間:9:35から15:48まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1


前回、調査船がエンジントラブルに見舞われたことを書いたが、その後も修理と不調を繰り返し、この日の調査は船長さんが普段漁に使われている船を代船として使用。


250906急遽、日よけを設置した代船.jpg


そのため日除けはビーチパラソルを括り付けた簡易なもので、そんな俄仕立ての代船と船長さんの「言い訳」に出港前から笑いが絶えなかった。

「海保に密航船と間違われたらいけないので、船舶の書類一式を持ってきた」とか何とか。

事実、港を出てすぐ、すれ違った船の乗員が「みんな、こちらの船を見ている」と研究者のTさんが言っていた。


250906出航風景.jpg


それほど異様な姿に見えたのだろう。

船の前部では依然、笑い声がしている。


波は、さざ波程度で双眼鏡の使用に問題はない。

四国や九州は霞んでいてほとんど見えない状態。遠くに着水していたウミネコが飛び立つ。

しばらく進んだ頃、宇和島方面から黒っぽい大き目な鳥が飛んでくる。

遠かったが何とか撮影できたので、画像を確認するとウミネコの幼鳥であった。


250906ウミネコの幼鳥.jpg


沖合に進むにつれ、うねりを伴う波に変わり、船が揺れ始める。

前日通過した台風の余波だろうか。

灯台の工事をしているホウジロ島周辺にはいつも見られるウミネコがまったくおらず、

船の接近に驚いて飛び去ったミサゴを後追いで撮影するのがやっとだった。


250906飛び去るミサゴ.jpg


250906飛び去るミサゴ.jpg


鼻繰島方面へ北上する間、まったくと言っていいほど鳥の動きはなく、

上空を飛ぶ旅客機の撮影を試みたり、遠くに見える「軍艦」の動きを追ったりして憂さを晴らす。

西向きに進んでいたその艦艇は天田島付近で向きを変え、鼻繰島を経て内海へ進んで行った。


250906見慣れぬ海上自衛隊の艦艇.jpg


艦艇番号が分かった(YDT-04と書かれていた)ので、その場で調べてみると、水中処分母船だと分かったが、

実際には何を任務としているのかよく分からない。

機雷等の処理は掃海艇の仕事なのでそれとは違うようだ。

帰宅して夜のニュースで知ったのだが、出光興産徳山事業所の桟橋の水中で爆発物らしきものがみつかり、そのための出動だったようだ。




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2025年08月18日

25年8月のカンムリウミスズメ調査報告15ー2

島を周回中、着水していたウミネコを撮影したが、後で確認すると小あじのような魚を咥えていた。


250817小魚を咥えたウミネコ.jpg


暑そうに口を開けている姿も撮影できた。


250817口から放熱するウミネコ.jpg


叶島を訪れるまで、今回も鳥の話題なしに終わるのかと思っていたが、Tさんのお陰で、何とかネタができてホッとする。


祝島に入港時、防波堤にいつもは沢山いるウミネコが僅かで、「ウミネコもお盆休みで帰省したのかね〜」との声も聞かれた。


昼食を済ませて、Sさんが持参されたデザートを食べていると、船長さんが「みんなゆっくりしていていいよ」と。

食事もされていないようで、しきりに電話連絡をとっておられた。

船のエンジントラブルで、停船後、エンジンが起動しないらしい。

「先日も不調だったので、部品交換をしてもらったばかりなのに、別の場所にも問題があったようだ」と。

やっと連絡が取れて、船長さんの従弟のTくんが救援に来てくれることになった。


250817牽引の準備作業.jpg


ちょっと時間ができたので、防波堤のウミネコやアオサギの写真撮影に出かける。


250817防波堤で休むウミネコとアオサギ.jpg


口から放熱しているウミネコや


250817如何にも暑そうなウミネコ.jpg


羽毛の手入れ中に頭を掻くアオサギの写真を撮った。


250817頭を掻くアオサギ.jpg


救援船が到着し、我々は救援船に乗り込み、軽くなった調査船を牽引して白浜港へ向かう。


250817牽引される調査船.jpg


白浜港に入港直前、遠くに貨物船が見えていたが、素人目には楽々横切れそうに思えたが、Tくんは貨物船が通過するまで低速で待っていた。

海上での操船ルールは知らないが、安全運航に心がけていることはよく分かった。

そう言えば、この日、船長さんも祝島に入港する直前、かなり遠くの貨物船の航行を待って船を進めていた。

かつて萩の見島航路の定期船に乗っていた折、強引に船の前を横切る小型船に出くわしたことがあるが、その船は悪評高い船なんだと定期船の船員さんから聞かされたのを思い出した。

というわけで、調査は切り上げとなったが、良い経験をさせてもらった。



(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2025年08月17日

25年8月のカンムリウミスズメ調査報告15

8月17日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

今回も、カンムリと出会うことはできませんでした。

天気:晴れ

調査時間:9:37から14:36まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0


この日は久しぶりに参加された若手のNさんを含め、ほぼメンバー勢ぞろいの態勢。
穏やかな海況を予想していたが、港を出ると飛沫を浴びるほどではないものの、前方から繰り返しうねりがやってきて、船の上下動で双眼鏡が使えない状態が続く。

四国や九州も霞んだ状態で、宇和島方向には入道雲が湧いている。


250817宇和島方面に入道雲が.jpg


出港してすぐにサメを見かけただけで、まったく鳥の気配がない。
沖合へ進むにつれ、うねりの振幅が増し、体の保定にエネルギーを取られる。

見慣れない貨物船が航行していたので撮影を試みるも、船の揺れで上手く撮れない。
Sさんが「 CO2  って書いてある。
ドライアイスでも積んでいるのかねー」と言っていたが、船尾に書かれた船名から調べてみると、液化 CO2  輸送実証試験船「えくすくぅる」だと分かる。


250817液化CO2輸送船「えくすくぅる」.jpg


「NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)」によれば「本船による実証試験を通じて、船舶による安全かつ低コストなCO2の大量輸送をじつげんする技術を確立することでCCUS( CO2  を分離・回収。利用、貯留するもの)の社会実装を目指し、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献します」とのこと。

沖合への航行を諦め、宇和島沖をホウジロ島方面に進む。
ホウジロ島の灯台の工事は未だ終わっていないようで、シートが掛かっている。


250817灯台の工事が継続中.jpg


島の近くの岩場に白っぽいものが見えたので撮影する。


250817ウミネコかと思いきや釣り人だった!.jpg


ウミネコと思いきや、何と釣り人だった。

別の岩に1羽ウミネコがいたが、いつもの群は見られなかった。
ミサゴも飛び出さないし、まったく静かなものだった。

その後、鼻繰島方面へ北上。
うねりも後ろからとなり、次第に弱まって、何とか双眼鏡が使えるようになった。
しかしまったく鳥は見当たらない。
祝島、鼻繰島間を抜け、内海に入ると波はほとんど収まる。

叶島付近まで航行したが、当たりはなく、船長さんが引き返しかけた時、Tさんが叶島の周回を船長さんに頼む。
Tさんはミサゴやクロサギの様子が気になっていたようだ。
大きな岩の上にクロサギが止まっているのが遠目に見えたが、早々と飛び去ってしまった。

飛んで行った島の裏側へ回り込むと、またしても飛び立たれてしまった。
しかし2羽いたのが確認できたのは良かった。
ミサゴも1羽飛び出し、別の島の方へ飛んで行く。


250817飛び去るミサゴ.jpg


島を2周したお陰で、やっと遠目ではあるが岩の上にいるところを何とか撮影できた。


250817クロサギ.jpg


成鳥なのか幼鳥なのかというところまでは分からなかったが、1羽が喉の白い個体であることが確認できた。


250817喉が白いクロサギ.jpg


クロサギは、日本の本土では名前の通り煤けた色をしたものがほとんどであるが、南西諸島に行くと白いものが多数となる変わった種である。
本土でも白い個体が見られることはあるものの極めて限られる。
本土では磯にいるので黒っぽい色が目立たないが、白い砂地が多い南の方では白い色の方が目立たないからという環境に起因しているという説もあるが、それにしても白と黒とは極端すぎる。
個人的には、白いクロサギで僅かに黒い羽毛が混ざっている個体は見たことはあるが、黒いクロサギに白い羽毛が見られるものは見たことがない。
この喉の白い個体は部分白化個体なのだろうか。
私が見たことがないだけで、白い羽毛が混ざる個体もいるのか、調べてみる価値はあると思う。


250817飛び去るクロサギ.jpg


別の島を回っている時にもう1羽飛び出したので、3羽の家族群だったのかもしれない。




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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