2023年05月05日

【鳥の散歩道12】鳥の羽色

鳥の羽色は、なぜカラフルなの?


鳥の換羽について書いた折に使ったオシドリの写真を見た方から、以下のような質問をいただきました。「私は、なぜ鳥は鮮やかな色のデザインを持っているのかが不思議です。人間には色鮮やかに映るオシドリの体毛?のカラフルさが鳥に必要な理由はなんですか」というものです。


鳥の最大の特徴は羽毛を持つことです。私が野鳥観察を始めた30年前、先輩から空を飛ぶ生き物は他にもいるが、鳥類は唯一、羽毛を持つ生き物だと教わりました。その後、羽毛恐竜が見つかり、唯一ではなくなりましたが、逆にそのことで鳥類は恐竜の子孫だという説がより確かなものになってきました。


鳥の羽毛の配色は、さまざまな機能を果たすために非常に幅広く進化してきました。鳥の体色は多様で、派手な鳥もいれば、地味な鳥もいます。見た目の違いは種間の違いだけではなく同種の雌雄にもあります。そうした雌雄の違いは、例外はあるものの、大抵はオスが派手で、メスが地味というのが一般的です。


「性的二型」の著しい鳥

オオルリの♂(上)と♀(下)


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 地味な鳥やメスが地味なのは、営巣時に捕食者から狙われないように、目立たない保護(隠ぺい)色でいる必要があったからで、生存に有利な形質が選択され、地味な体色に進化したと考えられています。


地味な羽色の地上営巣性の鳥

ヒバリ(上)とヨタカ(下)


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では、捕食者から狙われやすいリスクを冒してまで目立つ色彩になったのはなぜでしょうか。一言でいえば性選択の結果だということです。有性生殖をする生き物は次の世代を残すために、つがい相手を見つける必要があります。つがいになるためには、相手に選ばれなくてはなりません。つまり、メスがより綺麗な羽色や立派な羽毛を持つオスを選択した結果、より子孫を多く残したいオスの色形が進化したことでカラフルになったと考えられます。しかし、目立つ羽色は捕食者に見つかりやすいわけですから、それ自体は生存にとっては不利な要素です。

でも、目立っても敵にやられないのは強さの証となります。ですから繁殖が終わるとオスは換羽しメスの羽色のようになるものもいるわけです。つがい相手の獲得には競争が生じます。鳥たちは羽毛の色合いだけでなく、囀りやダンス、贈り物、飾り付けられた東屋を作るものなど求愛に伴うパフォーマンスをいろいろと進化させました。そうした自然選択や性選択の結果を今、私たちは見ているのです。


鳥類の羽毛の色や模様の多様さに関係している羽毛の発色の仕組みや羽毛の構造については、別の機会に譲りたいと思います。




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2023年03月26日

【鳥の散歩道11】〈続〉鳥と切手


前回、図案化された鳥の種類が現時点で何種あるのか調べるエネルギーはないと書きました。どうしても気になるので、最新の『日本切手カタログ』を入手し、調べてみたところ、約40種の鳥を新たに確認することができました。

「約」としたのは、見落としがあるかもしれないからだけではありません。切手に鳥の名称を亜種名で記載しているものが何種かあったのです。一応、抽出の基準を種としていても、同じ種とされる別の亜種がなければ1種として扱っても問題ないのですが、同種でそれぞれ2亜種発行されているものが見つかりました。アカヒゲとホントウアカヒゲ、フクロウとエゾフクロウ、アカショウビンとリュウキュウアカショウビンです。

今後、分類の変更があるかもしれませんが、今のところ同種ということになります。他には切手のデザインには小鳥とされていて種名が分からないものや、ハト、タカ、キツツキといったようにグループ名だけが記載されたもの、さらには有名な花鳥画であっても種が判別しづらいものもありました。いわゆる家禽のニワトリやチャボ、アヒル、シナガチョウは除外したものの、一番悩んだのは飼い鳥でした。元々野生だったものが飼われているのは問題ありません。

しかし、原種を品種改良したものでも原種と同じ名前のもの(セキセイインコ、カナリア、ブンチョウなど)、別の名前を持つもの(ジュウシマツ)をどう扱うべきか。興味本位で始めた調べごとなのに、厳密な定義を決めてやる必要があるのだろうか。いろいろと考えた末、結局、「約」でもいいのではないかということで、切手に登場した鳥の種類は、現時点では約110種という結論に達しました。

ところで一番多く図案化された種は何だったでしょう。それはタンチョウで、断トツでした。次はオシドリとライチョウがきて、その次がトキとコウノトリとなります。国鳥のキジは切手種としては多いものの、発行回数(図柄自体)は意外と少ないのです。タンチョウの図柄が多く選ばれることには日本人の美意識が反映しているのでしょうか。

切手収集も奥が深く、「趣味の王様」と言われるだけのことはありますね。


タンチョウデザインのあれこれ

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2023年02月25日

【鳥の散歩道10】鳥と切手

【鳥の散歩道9号】では、私たちの日常生活における鳥にまつわる話「鳥名の入った地名」をお届けしました。

今回は切手です。2023年2月現在の10円普通切手にトキが描かれていますが、いつから野鳥を題材とする図案が始まったのでしょう?


切手の蒐集は、広く知られている趣味の一つです。一大ブームになった時期もありましたが、近年は手紙やハガキという通信手段そのものがメール等に取って代わられ、時とともに人気が衰退してきているようです。私の子供時代にも流行ったことがあるので、高値で取引される切手として「見返り美人」とか「月に雁」などの名は知っています。お小遣いなどなかった当時には手が出せない趣味でしたし、一枚一枚をピンセットで丁寧に扱い、防湿のストックブックに保管するというようなことは性に合わないのでハマることはありませんでした。

 鳥に興味を持つようになって、鳥に関する書籍や絵画、グッズなどを蒐集する中で、鳥切手もいくらか入手しました。

「世界の鳥切手コレクション(3巻)」、「〈日本の野鳥〉切手コレクション」、「特殊鳥類シリーズ〈初日カバー〉・〈マキシマムカード〉コレクション」、「水辺の鳥切手アルバム」、「Birds of the World Stamp Collection」など、いずれも冊子にキチンと切手が封入されたものばかりです。

郵便局に行った折、記念切手で鳥を扱ったものがあれば、購入することもありますが、記念切手も短いサイクルで次々に発行されるし、海外でも外貨獲得のために頻繁に記念切手が発行されていて、いちいち追いかけていたら切りがありません。

 日本で鳥を図案にした切手が発行されたのは、1875年(明治8年)で、日本の切手の発行が始まって4番目の切手だそうです。


ガン(12銭)

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セキレイ(15銭)

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タカ(45銭)

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3種類。

因みに世界最初の鳥切手は1854年に西オーストラリアで発行されたコクチョウを図柄にしたもので、日本の鳥切手は世界で2番目の発行だとのことです。これまでに図案化された鳥の種類は、100年後の1975年に発行された「切手マガジン郵趣」の記事によると2234種で、ネットで検索してみたら何と1994年までのものを調べた方がいて、71種あったと書いておられます。現時点ではどうなのか、さすがに私にはそれを調べるエネルギーはありませんが、鳥はデザイン的にも話題性という点からも世界共通で好まれているようですね。


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中段右側のドードーとクイーンエリザベスU世をモチーフにした鳥切手(1954年発行?)は、お気に入りの一枚。


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