鳥の羽色は、なぜカラフルなの?
鳥の換羽について書いた折に使ったオシドリの写真を見た方から、以下のような質問をいただきました。「私は、なぜ鳥は鮮やかな色のデザインを持っているのかが不思議です。人間には色鮮やかに映るオシドリの体毛?のカラフルさが鳥に必要な理由はなんですか」というものです。
鳥の最大の特徴は羽毛を持つことです。私が野鳥観察を始めた30年前、先輩から空を飛ぶ生き物は他にもいるが、鳥類は唯一、羽毛を持つ生き物だと教わりました。その後、羽毛恐竜が見つかり、唯一ではなくなりましたが、逆にそのことで鳥類は恐竜の子孫だという説がより確かなものになってきました。
鳥の羽毛の配色は、さまざまな機能を果たすために非常に幅広く進化してきました。鳥の体色は多様で、派手な鳥もいれば、地味な鳥もいます。見た目の違いは種間の違いだけではなく同種の雌雄にもあります。そうした雌雄の違いは、例外はあるものの、大抵はオスが派手で、メスが地味というのが一般的です。
「性的二型」の著しい鳥
オオルリの♂(上)と♀(下)
地味な鳥やメスが地味なのは、営巣時に捕食者から狙われないように、目立たない保護(隠ぺい)色でいる必要があったからで、生存に有利な形質が選択され、地味な体色に進化したと考えられています。
地味な羽色の地上営巣性の鳥
ヒバリ(上)とヨタカ(下)
では、捕食者から狙われやすいリスクを冒してまで目立つ色彩になったのはなぜでしょうか。一言でいえば性選択の結果だということです。有性生殖をする生き物は次の世代を残すために、つがい相手を見つける必要があります。つがいになるためには、相手に選ばれなくてはなりません。つまり、メスがより綺麗な羽色や立派な羽毛を持つオスを選択した結果、より子孫を多く残したいオスの色形が進化したことでカラフルになったと考えられます。しかし、目立つ羽色は捕食者に見つかりやすいわけですから、それ自体は生存にとっては不利な要素です。
でも、目立っても敵にやられないのは強さの証となります。ですから繁殖が終わるとオスは換羽しメスの羽色のようになるものもいるわけです。つがい相手の獲得には競争が生じます。鳥たちは羽毛の色合いだけでなく、囀りやダンス、贈り物、飾り付けられた東屋を作るものなど求愛に伴うパフォーマンスをいろいろと進化させました。そうした自然選択や性選択の結果を今、私たちは見ているのです。
鳥類の羽毛の色や模様の多様さに関係している羽毛の発色の仕組みや羽毛の構造については、別の機会に譲りたいと思います。