2025年09月17日

25年9月のカンムリウミスズメ調査報告17−2

午後からの調査は、まず研究者のTさんを回収し、前回カンムリの見られた沖合を目指した。

祝島の港を出てすぐ、群で着水していたウミネコが船の接近に驚き、一斉に飛び立つ。


250916海面から飛び立つウミネコ.jpg


宇和島の手前辺りでは、前方をダイハツの自動車運搬船が横切る。


250916自動車運搬船が通り過ぎる.jpg


とりあえず話のネタにと撮影を試みる。

1時間くらい右、左と繰り返し双眼鏡で鳥を探したが、ウミネコを1羽見つけただけ。

そんな時、白と黒というか灰色をした鳥が何羽かまとまった状態でいるのが目に入った。

「鳥がいる! 11時の方向」と声を掛け、船を進めてもらう。


250916アカエリヒレアシシギの小群1.jpg


まとまった数でいたので、「ウミスズメ?」との声も聞かれたが、私は再度、双眼鏡で確認し、

「(アカエリ)ヒレアシシギのようです」と応じた。


250916アカエリヒレアシシギの小群2.jpg


7羽の群だった。

船長さんは、「初めて見た」と言っていたので、

「春に大群でいた赤い色をしたあの鳥ですよ。今は非繁殖羽で白っぽい色をしていますが・・・」と返すと、

「ああ、あのちょっと飛んでは、また近くに降りる鳥か〜」と。

今回も、ちょっと飛んでは前方に降りる行動が見られたので、印象深かったのだろう。

撮影した画像を見ると、嘴で海面から何かを摘まみ取っているように見えるが、餌生物が写り込んでいる画像は得られていない。


250916アカエリヒレアシシギの大きさ=近くのペットボトルと比較.jpg

(ペットボトルとの比較)


いずれにしても食べているのはプランクトンのようなものだろうから可視化できないのは仕方ない。

ほぼ同じ海域で、今度は船長さんが1羽でいる鳥を見つける。


2509161羽でいたカンムリ.jpg


逆光で種までは分からないが、シルエットからウミスズメ類であることは分かった。

船を順光側へ回してもらう。

前回、飛ばれているので、船長さんも注意深く操船している。

だんだんと光線の状態が良くなり、カンムリウミスズメであることが確認できた。

換羽を終えた非繁殖羽個体で、前回見つけた個体と同じ個体ではないかと思われたが、

前回はピンボケ写真が2枚しか撮れていないので、比較検討が難しく何とも言えない。


250916水中を覗き込むカンムリ.jpg

(水中を覗き込むカンムリウミスズメ)


この個体、短い冠羽が見られ、


250916短い冠羽があるカンムリ1.jpg


250916短い冠羽があるカンムリ2.jpg


この時期の遭遇率の低さを考えると貴重な写真データとなるはずだ。

そのカンムリにも最後は飛ばれ、その後も強い西日に耐えながらの鳥探し続けたが、

横島で岩場に止まっているミサゴや


250916岩の上で辺りを見張るミサゴ1.jpg


250916岩の上で辺りを見張るミサゴ2.jpg


磯にいるアオサギが見られただけで、ついに別のカンムリとの遭遇は叶わなかった。

出港前からカンムリとの出会いは時期的に厳しいと考えていただけに、アカエリヒレアシシギやカンムリウミスズメに出会えた幸運を素直に喜ぶべきだろう。




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2025年09月16日

25年9月のカンムリウミスズメ調査報告17

9月16日(火)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

今回も1羽のカンムリと出会うことができました。

天気:晴れ

調査時間:9:47から15:53まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1


調査船の修理が長引いているらしく、今回も「パラソル船」での調査。
この日の海上はとても靄っていて、四国や九州はもとより、ちょっと離れた島ですら霞んでいる状態。


250916靄っとした海上.jpg


波は静かで、ほぼベタ凪。
海面は白っぽく、鳥がいればすぐ分かるコンディションだが、何もないと辺りが真っ白で距離感が掴めない。

港を出て程なくしたころ、遠くに黒っぽいものが何度も見え隠れする。
船の波ではなさそう、どうもスナメリのようだが、船の進行方向とは逆の方向へ移動して行ったため、それ以上のことは分からない。
横島の沖で船長さんの息子さんが友人と釣りを楽しんでいたので、挨拶をして沖へ進む。

カラスバトの調査をしている島へ着くまでの約1時間、海上には浮遊物が全く見られず、鳥の陰すらない状態が続いた。
上陸地点に船が近づくと、磯からアオサギが1羽、あわてて飛び立つ。


250916船の接近に驚いて飛び立つアオサギ.jpg


私たちは調査機器のデータ回収と電池交換などの作業が済むまで、周辺の海域を周回し、時間を潰すことに。
隣の島では、ミサゴが飛び出したが、


250916毎回、飛び去られるミサゴ.jpg


前回同様、後追い写真を撮るのがやっとだった。
研究者のTさんが上陸した島の裏側を回っているとクロサギが1羽飛び出し、奥の方へ飛んで行く。


250916警戒するクロサギ=喉白タイプ.jpg


後で画像を確認すると、以前見た喉の白い個体であることが分かった。
ミサゴも見られたが、警戒して尾根の向こう側へ姿を消す。

研究者のTさんが調査地から降りてくるのを待っていると、右手の樹林から黒っぽい鳥が飛び出し、また林の中に消えた。
カラスではなかったので、カラスバトだったのだろう。
研究者のTさんを回収し、次の調査地に向かう。

その間、浮遊物が漂う海域が出現したので、双眼鏡を駆使し鳥影を探したが、ゴミばかりで、努力は報われなかった。
もう一つの調査地に研究者のTさんを降ろし、祝島方面へ向かう間でも、広範囲に浮遊物が見られたが、ここでも当たりは出なかった。

祝島への入港時、いつものように防波堤で休んでいる鳥の撮影を試みたところ、
今回はアオサギ、カワウ、ウミネコの3種揃踏みの写真が撮れた。


2509163種(アオサギ、カワウ、ウミネコ)揃踏み.jpg


ウミネコの放熱行動の写真も上手く撮ることができた。


250916口を開け、放熱中のウミネコ.jpg


食後、海岸周りを散策。鳥はカワウとトビしか見られなかったものの、


250916磯で休むカワウ.jpg


美しい礫浜の風景写真をものにすることができた。


250916美しい礫浜が広がる祝島.jpg




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。


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2025年09月07日

25年9月のカンムリウミスズメ調査報告16−2

鼻繰島の周りではアオサギを2羽、


250906磯に佇むアオサギ.jpg


ミサゴを2羽、トビ1羽、それとクロサギ3羽を確認した。

クロサギは、船の進行方向と反対方向に飛んで行ったので、シャッターを切るチャンスすらなかった。


その後、祝島に入港。


250906棒は手入れ休むウミネコ.jpg


港の防波堤には20羽弱のウミネコが休んでいたが、船の接近ですべて飛び立ってしまった。


250906クレーンの上に集まったウミネコ.jpg


船長さんは、前回は船のエンジントラブルで食事どころではなかったが、今回はゆっくり食べることができたと言っておられた。

ところが、いつもの話好きの知り合いに見つかり、食後のゆっくりとした時間を奪われる。


午前中は余り日差しが気にならなかったが、午後からは船の向きと太陽の位置で、かなり日差しがきつくなった。

二列縦隊なので、左右どちらかが、暑いのは仕方なく、午前と午後で違うのは公平ではある。


そう言えば、午前中、研究者のTさんはポリ容器に入れた水をジーンズの膝にかけていたので、相当な暑さだったのだろう。

午前中に比べ、波は徐々に穏やかになってきて、沖合ではほぼベタ凪になった。


海上では、所々でナブラが立ち、


250906ナブラが立つ.jpg


トビウオも何匹か見られた。


250906トビウオが飛ぶ.jpg


四国も薄っすらと見えるようになってきて、かすかに伊方原発も見え始めた。


250906薄っすらと伊方原発が見える.jpg


午後の調査を開始して1時間とちょっと経った頃、前方に1羽でいるカンムリを見つける。


250906カンムリを見つける!.jpg


遠目に押さえで1枚写し、もう1枚撮ったところで飛ばれてしまう。


250906ピンボケ写真しか撮れず残念!.jpg


ピンボケ写真がたった2枚、船との距離は相当あったのに、とても悔しい。

船長さんも悔しかったのだろう、カンムリの飛んで行った方へ船を進め、しばらく探したが、とうとう見つけることはできなかった。

その後も探し続けたが、2度目の出会いは叶わなかった。

今回は1羽だけでも見つけることができたのだから、良しとしよう。


250906旅客機.jpg




(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。


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