8月17日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
今回も、カンムリと出会うことはできませんでした。
天気:晴れ
調査時間:9:37から14:36まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
この日は久しぶりに参加された若手のNさんを含め、ほぼメンバー勢ぞろいの態勢。
穏やかな海況を予想していたが、港を出ると飛沫を浴びるほどではないものの、前方から繰り返しうねりがやってきて、船の上下動で双眼鏡が使えない状態が続く。
四国や九州も霞んだ状態で、宇和島方向には入道雲が湧いている。
出港してすぐにサメを見かけただけで、まったく鳥の気配がない。
沖合へ進むにつれ、うねりの振幅が増し、体の保定にエネルギーを取られる。
見慣れない貨物船が航行していたので撮影を試みるも、船の揺れで上手く撮れない。
Sさんが「 CO2 って書いてある。
ドライアイスでも積んでいるのかねー」と言っていたが、船尾に書かれた船名から調べてみると、液化 CO2 輸送実証試験船「えくすくぅる」だと分かる。
「NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)」によれば「本船による実証試験を通じて、船舶による安全かつ低コストなCO2の大量輸送をじつげんする技術を確立することでCCUS( CO2 を分離・回収。利用、貯留するもの)の社会実装を目指し、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献します」とのこと。
沖合への航行を諦め、宇和島沖をホウジロ島方面に進む。
ホウジロ島の灯台の工事は未だ終わっていないようで、シートが掛かっている。
島の近くの岩場に白っぽいものが見えたので撮影する。
ウミネコと思いきや、何と釣り人だった。
別の岩に1羽ウミネコがいたが、いつもの群は見られなかった。
ミサゴも飛び出さないし、まったく静かなものだった。
その後、鼻繰島方面へ北上。
うねりも後ろからとなり、次第に弱まって、何とか双眼鏡が使えるようになった。
しかしまったく鳥は見当たらない。
祝島、鼻繰島間を抜け、内海に入ると波はほとんど収まる。
叶島付近まで航行したが、当たりはなく、船長さんが引き返しかけた時、Tさんが叶島の周回を船長さんに頼む。
Tさんはミサゴやクロサギの様子が気になっていたようだ。
大きな岩の上にクロサギが止まっているのが遠目に見えたが、早々と飛び去ってしまった。
飛んで行った島の裏側へ回り込むと、またしても飛び立たれてしまった。
しかし2羽いたのが確認できたのは良かった。
ミサゴも1羽飛び出し、別の島の方へ飛んで行く。
島を2周したお陰で、やっと遠目ではあるが岩の上にいるところを何とか撮影できた。
成鳥なのか幼鳥なのかというところまでは分からなかったが、1羽が喉の白い個体であることが確認できた。
クロサギは、日本の本土では名前の通り煤けた色をしたものがほとんどであるが、南西諸島に行くと白いものが多数となる変わった種である。
本土でも白い個体が見られることはあるものの極めて限られる。
本土では磯にいるので黒っぽい色が目立たないが、白い砂地が多い南の方では白い色の方が目立たないからという環境に起因しているという説もあるが、それにしても白と黒とは極端すぎる。
個人的には、白いクロサギで僅かに黒い羽毛が混ざっている個体は見たことはあるが、黒いクロサギに白い羽毛が見られるものは見たことがない。
この喉の白い個体は部分白化個体なのだろうか。
私が見たことがないだけで、白い羽毛が混ざる個体もいるのか、調べてみる価値はあると思う。
別の島を回っている時にもう1羽飛び出したので、3羽の家族群だったのかもしれない。
(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

