1月9日(月)、本年最初のカンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
概況を記します。
天気:晴れ
調査時間:9:35から14:55まで
調査結果:カンムリウミスズメ 1羽
ウミスズメ類 7〜8羽(遠方を飛翔していたため種の同定ができず)
アビ類 3羽(うち1羽はシロエリオオハムと同定できた)
調査予定だった前日は海況が悪く、本日に変更となる。空は雲一つない青空だが、目の高さまでは霞んでおり、黄砂の影響かと思われる。したがって四国も九州もまったく見ることができない。正月明け早々に調査が組まれたのは、カンムリのイベントが近々催されるので、直近の状況把握が欠かせないためらしい。
出港後は、波も穏やかで遠望がきき、まずまずのスタートが切れた。注意して海面を見ていたが、今回も横島付近に現れたスナメリを見逃してしまった。天気が回復した割には釣り船を見ないなと思っていたら、いつものように天田島の沖には何艘か漁船が見えた。
沖合へ進むと、それなりに波が出てくる。航路筋近くを走っている時、ふと、バッグのカメラに目をやると、飛沫を浴びているのに気づいた。バッグのチャックを少し締めるなど対応に追われていると、船長さんが左舷前方に浮かんでいるカンムリを見つける。カメラを取り出す間もなく、飛び去られてしまい、適当にシャッターを切ったものの、後追い写真には何も写っていなかった。あれだけ周囲を見回していたのに、目視でもカンムリと分かるくらいの距離にいたのを見落としていた。確かに、かなり波があり、波間に浮き沈みしていたからだろうが、実に悔しい。
その後、飛んで行ったと思しき沖合を、カンムリの着水個体を見つけてやろうと双眼鏡で必死に探す。そのせいか少し船酔い気味になってきた。
沖を進んでいると、またしても船長さんが鳥を見つける。双眼鏡で見ると海面すれすれのところを7〜8羽の群が飛んでいた。飛翔形からウミスズメ類であることは分かったが余りにも遠いので、種までは分からなかった。飛んで行く方向へ全速力で船を走らせ追ったが、結局、見失った。カンムリウミスズメも群れで行動しないわけではないが、この時期は圧倒的にペアでいることが多い。行動習性からウミスズメの小群の可能性が高いものの、識別可能な距離にいるものを見つけないと何とも言えない。
沖合をしばらく探し回ったが諦めて停船し、昼食休憩に。船の前方からやってくる貨物船の横に潜水艦が水蒸気を吐きながら走っているのが目に入る。
肝心のカンムリの写真が撮れず、「今日は、潜水艦の写真で終わりか・・・」と私がぼやいていると、船長さんから、「今からプランBで行く。待ち伏せ作戦だ」と。前回、沖合に船を止めて流れに任せていたら、カンムリの方からやって来てくれたのを再度、期待しようということらしい。午前中は波立っていた沖合も穏やかになっていて、どこから飛んできても見逃すことはない状況だったが、「柳の下の泥鰌」とはいかないのが世の常というもの。
午前中より更に沖合まで見回るも、ウミネコの着水個体を見かけただけ。沖合から地寄りに向かう途中、船長さんは2羽の飛翔個体を見られたそうだが、私たちは確認できず。島間がかなりある海上でミサゴを見つけたので、カメラを出すと、既に辺りにはいなくなっていた。船の前方を横切って飛んで行く首の長い鳥がいたが、遠方であることと光線の具合で種の同定にはいたらなかった。感じとしてはウミアイサ風ではあったが、ほっそりとした体だったので、カンムリカイツブリだったのかもしれない。
その後もこれといった鳥は出ず、ここまでかと諦めているとMさんが蒲井沖で何か見つけたようだ。船を近づけてもらうが、潜ったり、波間に消えたりで、証拠写真の撮影にも苦労する。撮影した画像の1枚に、シロエリオオハムの特徴である喉の下に黒線の写ったものがあったので、おそらく3羽とも同種だったと思われる。
アビ類は長時間潜るため、見かけた場所の近くまで行っても、次にどこに姿を現すか予測がつかず、そのうち見失う。
よほど良い餌場で集団採食しているようなシチュエーションならバッチリ写真の撮影もできようが、今季初認を記録できただけでもありがたい。
その後、横島の近くでセグロカモメの着水個体と上関大橋手前の磯を飛ぶ2羽のカンムリカイツブリの写真を撮る。
白浜港入港直前、海上から防波堤へ向かうイソヒヨドリを撮影。
港の中にはカンムリ違いのカンムリカイツブリがいたので、下船後、防波堤の上から写しておく。
今回の調査では何とか1羽のカンムリを見つけることができたものの、カンムリ観察会は2時間程度の催しなので、確かな手ごたえを得たと言えるものではなかったのは残念。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。