12月3日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
天気予報が外れ、どんよりとしたとても寒い一日でした。耐えにたえた調査でしたが、報われることなく、早めの終了となりました。
概況を記します。
天気:曇り
調査時間:9:42から14:21まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
天気予報では晴れとのことだったが、早朝の天気とはうってかわって厚い雲が垂れ込めている。誰もが、そのうち天気は良くなるものと思っていた。汗ばむようだったら脱げばいいと、念のため冬支度の上から合羽の上下を着込み乗船。一応、指の出せる手袋も装着し万全を期したが一向に汗ばむ気配はない。
海面の暗さの上に、波もそこそこあって、カンムリ探しには最悪の条件だ。遠く四国や九州方面は明るいのに、調査海域だけがどんよりとしている。遠くに見える佐田岬半島に浮島現象が見られる。暗いし船が揺れるので上手く写真が撮れない。
周囲の目視観察を続けていると、Toさんが左舷方向に何かを見つけ声を上げたので、その方角を双眼鏡で探す。しかし鳥らしきものは見つからない。船長さんが「ボラの群が跳ねている」というので、双眼鏡でもう一度見てみると、確かにそのようだった。遠いので写るかどうか分からなかったがシャッターを切る。1枚ほどボラらしきものが撮れていた。
その後も、鳥が出ないのでホウジロ島や大分の姫島の浮島現象を撮影してネタをしこむ。宇和島の磯では岩の上にミサゴが止まっていたので、撮影を試みるも早々と飛ばれてしまった。クロサギも近くにいたらしいが、飛び去ったので、こちらも撮影できず。研究者のTさんを島に降ろし、沖合へ向かうが波の関係で向かえず、ホウジロ島の沖を少し行ったところで、方向転換し船は北上を始める。
時折、近くをウミネコが飛ぶが、曇り空の中の被写体はコントラストの関係でオートフォーカスが効かず、カメラがピントをひろってくれないので撮影は諦める。波が少し穏やかになったのでカメラを取り出したが、漁船の周囲を飛び回るウミネコを遠景で撮るのがやっとだった。いつもは穏やかな長島の北側の海域も前方からの波で船が揺れる。天気が良くなる気配はまったくない。
田ノ浦沖に船を止め、早いお昼を摂ることに。
船長さんは、「今日は、どの向きに行っても波があり、まったく先が読めない」とこぼしていた。同じ風でも海の上を吹くものと、海面に吹きつけるようなものがあって、波の立ち方が違うらしい。この日の風は強いものではないが、海面を波立たせるような風だったようだ。
とりあえず、いつものようにニコニコ亭の弁当の写真を撮る。
お茶うけに用意した銭の菓子本舗のブッセを配った。お弁当の方はいつものようにバラエティーに富んだ豪華なものであったが、如何せん、体は冷え切り、鳥も出ず意気も上がらない中での食事では、満足な食レポもできない。
午後からの調査は研究者のTさんの迎えを予定していたので島へ直行した。
鼻繰島近辺では、ミサゴやウミウも見られたが、飛ばれる前に写すには、かなり船とは距離があるところでシャッターを切らなければならない。この日のように暗い中ではシャッタースピードがかせげず、揺れる船から被写体をブラさずに撮るのは至難の技。何枚も写したが、ほぼ全滅状態だった。
Tさんの回収地点には予定の15分前に着いた。近くを飛んでいたのはトビが3羽とカラスが2羽。1、2羽ではあるが、ヒヨドリが飛ぶのを何度も見かけたので、この日はハヤブサが留守だったのかもしれない。Tさん回収後は、一直線で白浜の港へ向かう。
目では一応、周囲の状況を確認しつつも、完全に集中力が切れてしまっていた。
家を出る時は、ワールドカップでの日本チームのように大逆転を期待していたものの、またしても惨敗という結果に終わってしまった。陸に上がると猫たちが毛布の敷かれたプラスチックボックスの中で身を寄せ合って暖を取っていた。
焼却場にゴミを捨てに行くと岸壁近くにカモメ類が1羽浮かんでおり、だんだん近くにやってくる。当初はウミネコかと思っていたが、写真を撮って確認するとセグロカモメだった。この日撮影した鳥の中でピントが合った写真はこのセグロカモメだけ、何とも情けない。外の寒さだけでなく、心まで冷え切った一日だった。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。