9月16日(金)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
残念ながら、カンムリとの出会いは、ありませんでした。
概況を記します。
天気:晴れ(薄曇り気味)
調査時間:9:39から15:32まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
大型台風接近前のつかの間と言ってもいい海況の良いこの日、厳しい残暑の中での調査である。カンカン照りを覚悟していたが、思ったより雲が多く、晴れというより薄曇り気味の天気。波もさざ波程度で、場所によってはべた凪というところさえある。カンムリの出現率の低いこの時期は、我慢の調査と言ってもいいだろう。他の鳥もあまり期待できないし、報告書の話題にも苦労する。
航行中、遠くに着水したウミネコも見られたが、船の揺れもあって、証拠写真も満足に撮れない。何とか沖で海上に浮かぶ大きな発泡スチロールの塊の上に止まっているウミネコ1)のピントの甘い写真を撮るのがやっとだった。
沖合海上を進んでいる時、水面ギリギリのところを羽搏きながら飛ぶオオミズナギドリを見つける。やはり名前のように水を薙いで飛ぶ姿がこの鳥は似合っているが、ソアリングできるだけの風が吹いていないので仕方ない。近くに同種の群がいないか探したが、1羽だけのようだった。行方を追っていると、小さな鳥が沖合から飛んできた。ツバメのようだが1羽で洋上を渡っているのだろうか。
沖合は少しうねりがあって、見落としがありそうだが、かなり丁寧に探しているので、やはりカンムリはいないようである。
前回の週末の調査でも見つけることができなかったようだし、手強いというか、いないものはいないという感じだ。沖合から地に向けて進み始めると、波はなくなり、べた凪状態に変る。食後ではないのに眠気がさしてくる。いいタイミングで配られたケーキ菓子で何とか睡魔とおさらば。
島近辺の岩場に数羽のウミネコの群が休んでいるのが見える。他島に近づくと岩場からアオサギが飛び立つ。カワウも1羽、飛び去る。前回、見られたというクロサギを探すが、どうも近くにはいないようだ。上空をトビが舞っている。トビを見上げていると、空高く飛行機が飛んでいるのを見つけ、話のタネに撮影する。
島の裏側に回るとミサゴが2羽、次々に飛び出す。磯から飛び立ったアオサギが山中の木に止まり、我々の動きを窺がっている。
岩場のカワウを遠目に撮影して、午前中の調査を終了。
田ノ浦沖に停船して、昼食・休憩。鳥は出ないし、話題もないので、ニコニコ亭の弁当の写真を撮って話題提供をと、船上で報告書作成の作戦を考えていたのだが、当てが外れる。この日は当のニコニコ亭が法事でお休みとのことで、某安売りスーパーの弁当だった。そんなことを皆に話していると、しばらくは弁当の話題で盛り上がった。そのうち話題は近づきつつある台風の話に。船長さんが自分が一番、今回の台風を心配していると思っていたが、若者がこの週末、結婚式を予定していて、屋外での「花婿・花嫁道中」のような企画(参進の儀)があるらしく、一生に一度のことなので、船長さん以上に心配していると言っていたとのこと。弁当が思ったより軽めの量だったので、お茶うけに配った柳井銘菓、ひがし屋の「翁あめ」も抵抗なく口に入れることができた。
いつものようにゆっくりすることもなく午後の調査を開始。船を進めるが、鳥の気配なし。西方海上で潮目に浮遊物がたくさん見られたが、ここでも鳥の姿はない。沖で大きなナブラが立った海域があったものの、近くに鳥影はなく、こんなに餌があるのにどうしたことかと首を傾げる。
午前中より更に沖合へ船を進めてみるも、カンムリはヒットせず、午前中の個体と思われるオオミズナギドリが1羽見られただけだった。沖合に進んでいる時、遠くに複数羽の小さめの鳥らしきものを見つけたので、「11時の方角!」と声を発し、船を寄せてもらうが、結局、見失う。もう少し近ければ種の同定もできたのだろうが、こればかりはどうしようもない。
その後も、近くに着水していないかと注意深く見回したが、二度目はなかった。カンムリだったかどうかは別として、内心、今回、カンムリはダメでも、アカエリヒレアシシギの渡りの群を見つけたいという思いもあったので、アカエリかもしれないというレベルの裏付けもとれず、とても残念な結果であった。
引き続き最後の最後まで、凪いだ海面を遠くまで見渡し続けたが、戦果なしの寄港となる。白浜港では、我々を出迎えてくれたわけではないだろうが、愛想のないアオサギが船着き場から1羽飛び立った。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
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