2021年12月22日

12月のカンムリウミスズメ調査報告3

12月22

カンムリウミスズメ調査報告


天気予報では久しぶりの凪だったので、前回リベンジをと「自称精鋭メンバー?」で調査に臨みましたが、残念ながらカンムリウミスズメを確認することは出来ませんでした。

 調査時間 910分から1432分まで

 調査結果 カンムリウミスズメ確認できず。 ウミネコ 30羽程度  ヒヨドリ渡り 200羽程度?


前回調査から荒天続きで漁師さんがまともに海に出れない日々が続いていた。3日前から天気予報とにらめっこして、今日ならとスケジュール調整に入る。船長からもO.K.の返事が来る。

早速、鳥博士のTさんとYさんに連絡を取るが、都合で参加できないとSMSで返事が来た。Yさんは見島に行くらしい。きっとYさんも天気予報と相談して「このチャンス!」と決断されたのだろう。

「調査は一に天気、二に天気。三・四がなくて五に天気!!」とは前代のカンムリ調査船長がよく言ってらしたが、まさにそうである。残念だがこのワンチャンスに賭けたYさんの見島での健闘を願うしかない。船長に「調査実施します!自称精鋭メンバー?です!!」とカラ元気?のラインを送る。


今日は地元メンバーなので出航は9:10と早めのスタートだ。船長も15:00過ぎには息子さんが底引き漁から帰り、荷揚げを手伝うので、そのほうが都合がいいのである。このところの寒気が和らぎ、気温も高めなせいか、海上はうっすらと靄がかって島々の影を遠くに感じる。朝陽の逆光にキラキラ輝く海面は幻想的だ。


調査風景211222.jpg


沖から南下し始めると思ったより風と波があり、船側から波しぶきが入る。「自称精鋭?」なので頑張らねばと双眼鏡を握り締めるが、視野には波の上下運動ばかりしか入って来ない。

こんな時は一瞬波間に浮かぶ個体を見つけねばならぬので至難の業である。しかし、調査で唯一私の特技と言えば「船酔いをしないこと。そして四六時中双眼鏡を覗けること。」くらいなので、肩こりと格闘しながらも任務?を全うすることにする。


何とかブイ付近まで南下するが、沖合を東に進路は取れず北上する。こちらの方が波が穏やかで遊漁船らしい船影も何隻か見える。

と、その時だ。「なんじゃ?あれは?!」

船長が右前方を指さす。

黒々とした影の塊が海面すれすれを移動している!

ヒヨドリだ!きっと田ノ浦あたりから祝島目掛けて飛び出して来たのだろう。


20211222ヒヨドリ渡りno.1.JPG


時には団子状に時には平べったくその塊が姿を変えながら凄いスピードで祝島目掛けて海上を進んで行く。

それも「ピーヨ!ピーヨ!」と甲高い声で鳴きながら我先にと羽ばたいていく。

私にはそれが「早ーく!早ーく!」と叫んでいるように聞こえた。

それもそのはず、目と鼻の先には彼らの天敵であるハヤブサが陣取っているのだ。

まさにヒヨドリにとっては命がけの渡りなのである。

「ハヤブサはおらんか?」

このバトルをよく知っている船長が上を見上げるが、今日はハヤブサ君はどこかにお出かけらしい。

以前も田ノ浦湾でヒヨドリに突っ込むハヤブサの姿を目にしたことがある。

原発予定地視察に来た団体の女性陣10数名を案内していた時のことだ。

彼女らは一斉に黄色い歓声を張り上げて

「ヒヨドリ君、逃げてー!逃げてー!!」と叫んだ。

それに臆したのか、ハヤブサは急降下をやめUターンして帰っていった。

「良かったー!」

と一安堵する女性陣。

誰も「ハヤブサ君、食いはぐれて可哀そうに!」

という人はいなかった。

判官びいきというか、私もつい小さいヒヨドリが可哀そうで応援したくなるのだが、自然界の厳しい生存競争の中ではハヤブサの行為も必然である。ただ、彼らは無為な狩りはしないだろう。

飽食文化に踊らされ、無為な殺生を繰り返す人間動物こそが最も残酷な生き物だと思う。


ヒヨドリ騒ぎが収まり、11月に群れを確認した島間をくまなく探すが、カンムリらしい姿はなく、周回して沖まで南下したところで時間節約のため、船上での昼食タイムにする。

今日は息子さんの底引き談議に花が咲いた。2〜3日前、沖合でクジラを見かけてそうだ。今日も漁に出ているので、もし見かけたらラインが入って私たちも現場に急行する手はずになっているとのこと。残念ながら、ラインは入って来ないので今日はまだ会えていないようだ。


午後は風と波を避け、島間を東進する。

ちょうど中間あたりでウミネコの群れを見かける。ヒヨドリ以外に撮影対象となる海鳥が少なく、船長に頼んで船を寄せてもらうが、結構うねりがあり、船が傾いた写真になってしまった。


20211222ウミネコ群れ.JPG


もう一度、チャレンジと周回して船を進めるが、風と波は一向に収まる気配がなく、ブイ手前で引き返し、白浜港に帰着した。


漁師言葉に「魚を追わえるな。」というのがある。

海の天候は急激に変わる。調子に乗って魚を追い天候判断を誤ったら、命取りになる。「今日はこれ以上、カンムリを追わえるな!」という判断を船長は下したのだ。

そういえば、夏のある日、上空はカンカン照りなのに佐田岬方面に雲がかかるのを船長さんが察知して帰途に就いた。

真っ黒い雲の塊と鋭い光の帯が驚く早さでどんどん迫ってくる。追いかけられるようにして、港に入った瞬間、稲光と共にバラバラと大粒の雨が降ってきた。漁師さんの勘一発で救われたのである。

また、一方で「日和を囲うな!」というのもある。天候条件の良い時は迷わず海に出ろ!同じチャンスがまたあると思うな!」ということらしい。今日は凪いでも明日凪ぐという保証はない。「また明日〜」などと言っていたら漁は出来ない。

天気予報だと明後日は海況が穏やかなようだ。産直である「上関お魚おまかせパック」の発送日である。朝3:30から起き出しての仕事である。そのあとの調査は正直、しんどい。しかし、ここは「日和を囲うな!」の教えを守り、今年最後のチャレンジに賭けてみよう!!





(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、

 パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金

 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。





posted by Sunameri at 00:00| Comment(0) | 調査報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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