2020年11月22日

11月のカンムリウミスズメ調査報告

11月22日(日)

やっと11月に入っての第1回目の調査ができました。このところダメ続きでしたが、会としては一番記録の少ない11月に6羽も見つけるという快挙。「雌伏」から「至福」へということでしょうか(用語の使い方が間違っているかも?)。この日は、乗船者数などの関係からか、2隻での調査でした。


天気:晴れのち曇り(降雨)

調査時間:9:33から14:45まで

調査結果:カンムリウミスズメ 6(K船:1羽を午前午後各1回、HT船:2羽を午前午後各1回)


2隻での調査ということもあってか、いつもあまり行かない海域を見ておこうということで、私たちの船は北側の海域に入ることになった。出港してすぐ、上関大橋をくぐることになったので、ニュースで報じられた橋の段差についての話題となる。


今話題の上関大橋201122.jpg


海上は東からの風の影響で少し波はあるが、飛沫を浴びるほどではない。セグロカモメが浮かんでいたり、遠くの岩の上にウが見えたりしたが、カンムリらしき姿はない。

10時過ぎ、UさんからKさんに電話で、カンムリを1羽見つけたと連絡が入る。これでこの日の調査は坊主ではないと思ったら、急に気が楽になった。でも自分たちの船が見つけたわけではないので、競争心も湧いてきた。Kさんからお腹の具合が思わしくないので島に入港してもらうと声をかけられた。私も船上での尿意や便意の覚えがあるので、早く港に着かないかと気がきではない。港に横付けした船でKさんを待っていると、近くの岸壁にイソヒヨドリのメスが飛んできたので、時間つぶしに写真を撮る。


港を出ると正面からの波がきつくて、鳥を探すどころか、自分の体を支えるのに精一杯だった。近くの巻き上げ機につかまり、何とか船の上下動をこらえた。島が近くに見え始めた時、Kさんが船の右舷に2羽のカンムリウミスズメを見つける。私も船の揺れに耐えながら前方は見ていたのだが、気づかなかった。


カンムリウミスズメ201122.jpg


そう遠くない所にいたが、船の揺れが激しくて、鳥を画面に入れるのに苦労する。その上、ピントが揺れる波に影響されて、まったく合わない。そのうち1羽が飛び去り、残った1羽が盛んに鳴くので、その声を入れようとカメラを動画モードに切り替えたが、波間に見え隠れするカンムリをとうとう見失ってしまった。それからは双眼鏡は使うこともなく飛沫でびっしょり、眼鏡も飛沫で前が見えなくなるほどであった。


島に入港後、トイレの洗面所で眼鏡と双眼鏡を水で洗う。私の調査で使用している双眼鏡は防振(手振れ防止のイメージスタビライザー付き)の上、防水なので、こんなあらましい使い方ができるが、一般的には濡らさないに越したことはない。昼食時、持参した饅頭(前の日に行った島根県の六日市の錦華饅頭)を配ったところ、HT船長の奥さんの実家が六日市だそうで、この饅頭はよく食べているとのこと。HTさんとはあまり話をしたことがなかったので、思わぬ話題提供となった。島に寄ったおかげで、ウン(運)が着いたね、と軽口も飛び出す。


午後からは11時前に見つけたカンムリの位置情報を取るのを忘れていたので、もう一度、向かうことになった。HTさんの船にはGPSの装置があり、場所も覚えているので大丈夫ということだった。中間点辺りで、左舷に2羽のカンムリを見つける。波は収まっていないが、後ろからの波なので、双眼鏡が使えたため、やや距離があったが、運よく見つけることができた。船を寄せてもらい、証拠写真を撮ろうとするが、船の上下動で目と鼻の先に鳥がいるのにピントがまったく合わない。シャッターを切り続けたが、まともな写真は結局撮ることはできなかった。警戒心の薄いペアだったこともあって、これまであんなに近くまで寄ってカンムリを見たことはない。大げさではなく、船の舳先にぶつかるのではと思うほどだった。


カンムリウミスズメ201122_2.jpg


それからしばらく進み、遠くに鳥の群れが浮かんでいるのを見つけた。船を寄せ始めるとすぐに飛び立たれ、双眼鏡では種は確認できなかったが、何とか撮った飛翔写真を見ると頸に白い輪が見えることから、マガモの群れのようだった。その後、GPSで位置情報を調べ、K船と合流する。その前から雨も降り始めていたので、調査を切り上げ帰港することになる。


帰港後、オオミズナギドリの調査についてW先生たちに伺ったところ、まだ1羽、巣穴に残っている個体がいたこと、また大雨で巣穴が密集している谷筋が流され、壊滅的被害となっているとのことだった。イノシシ被害に続き、豪雨羽災害に見舞われた繁殖個体群の今後の存続が心配である。


(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)


※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



posted by Sunameri at 00:00| Comment(0) | 調査報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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