その後30分くらい走ったところで、もう1羽見つける。
この個体はフレンドリーな個体だったのか、ただ採食行動に忙しかったからだけなのか、船の接近を気にする様子もなく、まったくマイペースに行動していた。
(カンムリの瞼)
(カンムリの正面)
30分に及ぶ密着観察によると、この個体は一定の海域(流れ藻の浮かんでいる狭い範囲)を海面覗き込探索を繰り返しながら移動していた。
この間、少なくとも3回は獲物を捕まえている。魚種はダツの稚魚と思われるものが写り込んでいたので、流れ藻の周りに集まった小魚などを採食していたものと思われる。
この3回は、たまたま丸飲みしづらい獲物だったから撮影できただけで、他にも食べたものがあったかもしれない。
観察中、潜水による採餌行動も僅かに見られたが、
ほぼ海面覗き込探索による採餌行動に徹していた。
羽毛の手入れ行動が採餌行動の最中に一度見られたが、長時間の整羽行動には至らなかった。
潜った後の羽搏き(水切り?)行動が3回(連続撮影しているので、画像を添付する)。
翼の換羽状況が分かるものの撮影にも成功している。
結局この日、1羽でいたカンムリを3度記録したが、どういう個体なのか判断が難しい。撮影された画像を見る限り、かなり換羽が進んでおり、ほぼ非繁殖羽に変っている個体であること。
今年生まれの幼鳥なら、はぐれた個体がいないとは言い切れないが、この時期はまだ家族群としているはずだし、換羽の進み具合から今季繁殖に参加しなかったか、繁殖に失敗したか、そういう個体だったら腑に落ちる。
3番目に見つかった個体は、撮影画像の中に長い冠羽の残りが写ったものがあったので、今年生まれの幼鳥という線は消える。
素人がいろいろと考えを巡らせてもこの程度。返す返すも研究者のTさんが乗船していたらと思うことしきりである。それなりに手ごたえのある写真が撮れて、つい先ほどまでの悔しさは、どこかに吹き飛んでしまった。
(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。