2024年06月30日

24年6月のカンムリウミスズメ調査報告10−2


その後30分くらい走ったところで、もう1羽見つける。


2406293羽目のカンムリ1.jpg

2406293羽目のカンムリ2.jpg


この個体はフレンドリーな個体だったのか、ただ採食行動に忙しかったからだけなのか、船の接近を気にする様子もなく、まったくマイペースに行動していた。


240629カンムリの瞼1.jpg

(カンムリの瞼)

240629カンムリの瞼2.jpg

240629カンムリ正面顔1.jpg

(カンムリの正面)

240629カンムリ正面顔2.jpg


30分に及ぶ密着観察によると、この個体は一定の海域(流れ藻の浮かんでいる狭い範囲)を海面覗き込探索を繰り返しながら移動していた。


240629水中に顔を突っ込む直前のカンムリ.jpg

240629水中を覗き込むカンムリ.jpg

240629水中から顔を上げた瞬間のカンムリ.jpg


この間、少なくとも3回は獲物を捕まえている。魚種はダツの稚魚と思われるものが写り込んでいたので、流れ藻の周りに集まった小魚などを採食していたものと思われる。


この3回は、たまたま丸飲みしづらい獲物だったから撮影できただけで、他にも食べたものがあったかもしれない。

観察中、潜水による採餌行動も僅かに見られたが、


2406293羽目のカンムリ潜水.jpg


ほぼ海面覗き込探索による採餌行動に徹していた。


240629カンムリウミスズメ採食A.jpg

240629カンムリウミスズメ採食B.jpg

240629カンムリウミスズメ採食C.jpg

240629カンムリウミスズメ採食D.jpg

240629カンムリウミスズメ採食E.jpg

240629カンムリウミスズメ採食F.jpg

240629カンムリウミスズメ採食G.jpg

240629カンムリウミスズメ採食ア.jpg

240629カンムリウミスズメ採食イ.jpg

240629カンムリウミスズメ採食ウ.jpg


羽毛の手入れ行動が採餌行動の最中に一度見られたが、長時間の整羽行動には至らなかった。


2406293羽目のカンムリ羽毛の手入れ.jpg


潜った後の羽搏き(水切り?)行動が3回(連続撮影しているので、画像を添付する)。


240629カンムリの羽搏き.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真A.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真B.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真C.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真D.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真E.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真F.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真G.jpg

240629カンムリの羽搏き=連続写真H.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況コ.jpg

3羽目のカンムリの翼の換羽状況(ホウジロ島南方沖)サ.jpg

3羽目のカンムリの翼の換羽状況(ホウジロ島南方沖)シ.jpg


翼の換羽状況が分かるものの撮影にも成功している。


2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況ア.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況イ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況ウ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況エ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況オ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況カ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況キ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況ク.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況ケ.jpg

2406293羽目のカンムリの翼の換羽状況コ.jpg


結局この日、1羽でいたカンムリを3度記録したが、どういう個体なのか判断が難しい。撮影された画像を見る限り、かなり換羽が進んでおり、ほぼ非繁殖羽に変っている個体であること。


2406293羽目のカンムリの尾羽の換羽状況.jpg


今年生まれの幼鳥なら、はぐれた個体がいないとは言い切れないが、この時期はまだ家族群としているはずだし、換羽の進み具合から今季繁殖に参加しなかったか、繁殖に失敗したか、そういう個体だったら腑に落ちる。

3番目に見つかった個体は、撮影画像の中に長い冠羽の残りが写ったものがあったので、今年生まれの幼鳥という線は消える。


2406293羽目のカンムリ=冠羽が見られる.jpg


素人がいろいろと考えを巡らせてもこの程度。返す返すも研究者のTさんが乗船していたらと思うことしきりである。それなりに手ごたえのある写真が撮れて、つい先ほどまでの悔しさは、どこかに吹き飛んでしまった。



(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2024年06月29日

24年6月のカンムリウミスズメ調査報告10

6月29日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

やっと長いトンネルを抜けることができました。久しぶりのカンムリとの出会いで、梅雨の鬱陶しさも吹き飛ばせそうです。

天気:くもり(一時降雨あり)

調査時間:10:23から16:21まで

調査結果:カンムリウミスズメ 7(1+1+1+4)


この日は、朝から港周辺は濃霧で、すぐに出発することができず、しばらく待機。

少しずつ東の方から霧は晴れてくるが、海面近くはガスっている状態。いつもより40分遅れで出港。


240629やっと霧が晴れ出発!.jpg


研究者のTさんが急な体調不良で参加できなくなり、調査者はMさんと私の二人だけ。目は少ないが、お天気のせいで海面が白っぽく、白黒の鳥がいればすぐ分かる。


240629宇和島もこの通り!.jpg


それに波もなくほぼベタ凪に近い。言ってみれば鳥探しには最高のコンディションである。

出港時は、どうなることやらと思っていたが、次第に遠くの島も薄っすらと見えるようになったきた。


240629やっと四国が見え始める.jpg


ウミネコが飛んでいるが船の近くには来ない。そのうち帯状に浮遊物が漂う海域に入ったので、目を凝らして鳥を探すがヒットしない。まったく浮遊物のない海域が続いた後、再び浮遊物の帯が現れる。海況が良いので、かなり遠くまで確認したが、やはりダメ。1

1時過ぎに雨がパラパラと降り出す。大崩れはないにしても、予報では降ったり止んだりの天気らしいから、思い切って雨合羽を着ることにした。船が揺れないのでスムーズに着用することができた。出発前は、とても蒸しむししていたが、海上ではそれほどではなく、少し暑く感じたのは着込んだ当初だけで、そのうち丁度いい体感となった。

沖合へ進み始める頃には雨も止み、視界も良くなった。


240629沖合から.jpg

宇和島の南東沖で右舷に鳥を見つける。船長さんもほぼ同時に気づいたようだ。近くにもう一つ黒っぽいものが見えたが、カンムリは1羽だけだった。久しぶりの出会いに一同、良かったと喜んだのもつかの間、カメラを構えると同時に飛ばれて、遠目の証拠写真すらものにすることができなかった。

船を寄せる前だったので、まったく予想していない結果に唖然。近くに着水しているかもしれないと後を追い、眼を皿のようにして海上を探したが、結局、見つからなかった。

昼食時も、予想外の展開に、「まあ1羽でも確認できたから・・・」と言いつつも、みんな悔しさを隠しきれない。

昼食前に現れたサメもカメラを構えた時には時既に遅しで、午前中は風景写真しか撮影できていない悔しさもあって、私としても余計に悔しさが増していたからだ。科学的ではないかもしれないが、この日の海上は何か出そうな、いてもおかしくない雰囲気があった。「刑事の勘」のような、長年の調査活動の中で培われたものと言ったら良いだろうか。当然、外れることもあるのだが・・・。

祝島・宇和島間海域を沖合へ南下している時、左舷前方に1羽の鳥を見つける。「そこにいる!」と声を上げるが、船長さんもMさんも浮遊物だと思ったようで、すぐに反応してくれない。やっと分かったようで、今度は慎重に近づくことに。

私は午前中の失敗もあったので、とりあえず、遠目に押さえの1枚を写しておいた。


2406292羽目のカンムリ1.jpg


2406292羽目のカンムリ2.jpg


この個体も船を充分寄せることもできないうちに飛び立った。


2406292羽目のカンムリにも飛ばれる.jpg



(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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2024年06月16日

24年6月のカンムリウミスズメ調査報告9−2


一休みして調査を再開。沖合の航路筋を進むが、大きな流木を見かけただけで、海鳥は全くだった。


240615海上に浮かぶ流木.jpg


そんなこともあってか、船長さんがNさんに見せておこうと珍しい地層の露出した場所に船を寄せた。


240615地学のお勉強に.jpg


遠くから見ると露出した岩の模様でV字に見えるこの場所は、私の拙い知識から推察すると「柱状節理」と呼ばれるものではないかと思う。


240615柱状節理?.jpg


ちょっと地学のお勉強をした後、船長さんにお願いして、今季、ミサゴの巣のある場所で、まだ状況確認のできていない所へ船を回してもらった。遠くから双眼鏡で確認したところ、巣のある場所に1羽、


240615大きなミサゴの巣.jpg

240615巣についているミサゴ.jpg



少し後ろの林の木のてっぺんにもう1羽が止まっていた。


240615定位置で周囲の警戒にあたるミサゴ.jpg


船が近づくと、後方で警戒に当たっていた1羽が、周囲を旋回し始める。


240615こちらを睨みつける?ミサゴ.jpg


巣の上にいる1羽は、まったく動く気配がない。そのうち警戒飛翔をしていた1羽も元の場所に戻ったようで、我々も2羽が巣のある場所の近くにいることが確認できたので、その場を離れた。

その足でアマツバメの集団繁殖地となっている島を見に行く。朝夕にはたくさんいるらしいが、それでも午前中に行った島に比べると遥かに羽数は多い。先ほどまでは薄日が差す天気だったのに雲行きが悪くなってきた。


240615アマツバメの撮影に苦労する1.jpg

240615アマツバメの撮影に苦労する2.jpg

240615アマツバメの撮影に苦労する3.jpg

240615アマツバメの撮影に苦労する4.jpg


アマツバメの速い動きに合わせてカメラのシャッタースピードを上げているので、暗くなるとオートにしてあるISO感度が上がってしまい、ノイズというか滲んだような写真になってしまう。しかしスピードを落とせば鳥の動きを止めることができず、痛しかゆしというところである。まずはアマツバメをファインダーの中に入れ、ヒントを合わせるのが一番難しい。

ここにもミサゴがおり、島回りを飛び回っていたので、周回して巣を探したが、それらしいものは見つからなかった。


240615飛び回るミサゴ.jpg



研究者のTさんの声で海上を飛ぶクロサギの撮影を試みたが、アマツバメ用に設定した1/3200秒が仇になり滲んだような写真しか撮れなかった。


240615クロサギ.jpg

クロサギなら1/2000秒でも楽々止まったはず。なかなか上手くいかないものである。

結局、アマツバメも納得のいく写真は撮れないままお開きに。船が島を離れる頃には、ポツリポツリと雨が降り出した。そのうち本降りの雨に。港に付いた時は、ずぶ濡れ状態。陸に上がってしばらくすると雨は上がり、通り雨だったようだ。カンムリが出ていれば、ちょっとしたハプニングとしておけたかもしれないが、ここまでくると「踏んだり蹴ったり」、「泣き面に蜂」とはこういう状態を言うのか、と愚痴りたくもなる。



(この調査は、大阪コミュニティ財団、地球環境基金、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

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