気を取り直して午後からの調査に臨む。しばらく八島の岸沿いに船を進めたので、ウやミサゴなどを遠目に見ることができた。

海はベタ凪状態となり、カンムリが出れば最高の状態なのだが、まったく気配が感じられない。

アビ類は時折見られるが、なにせ遠い。比較的近いところに1羽のアビ類が浮上した。近くに船がいたので、あわてて飛び立とうとするが、体が浮かない。



Toさんは「換羽中で飛べないのかもしれないね」と言っていたが、私はアビ類の換羽時期を正確に把握していなかったこともあって、食べ過ぎで体が重いんじゃない?と、適当な返事をしてしまった。
私は、これまでもそういう個体を見てきたし、換羽を疑ったこともあったが、キチンと調べることを怠っていた。
今回、改めて調べてみると、アビ類は「1年に1回、3月に換羽を行う。換羽期は空を飛べなくなる。そのため敵に襲われても逃げることができないので、換羽時期は安全な場所に身を潜める。換羽を行う時期である3月に生息する場所は安全な場所であるとともに餌が豊富にあるところである」との記述を見つけた。
また、「イカナゴが多く獲れる場所に身を潜める」とも書かれていた。
つまり、6月〜7月の換羽時期に多く見られるカンムリウミスズメ同様に、この海域を安全で餌な豊富な場所として利用していたのである。鳥たちにとって換羽期は繁殖期に次ぐ大量のエネルギーを必要とするライフイベントであると、常々、私が主張している上関海域利用のポイントでもあったのだ。
研究者のTさんを回収に行ったが、上陸地点にまだ降りてきていなかったので、島を周回して時間を潰す。
島回りでは、ウミネコやトビ、食べかけの魚を抱えて飛び出したミサゴなど撮影する。



帰路も岩場で休むウミウやヒメウ、ウミネコともに浮かんでいたセグロカモメを見たくらいで、とうとうカンムリとの出会いはなかった。


横島で船長さんの瀬渡しのお客さんを回収していると内二人は私たち同様、あまり釣果が上がっていなかったようだったが、最後に乗せた方は大きなコブダイを2匹釣り上げていた。

次の週末には、天候の関係で延期となったカンムリの観察会を予定しているが、どうなることやらである。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
posted by Sunameri at 00:00|
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調査報告
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