双眼鏡で遠くを見渡していると右舷方向に黒い小さな点が見えた。しかし波はほとんどないのにすぐに見失う。もう一度しつこく黒い点を探したところ、点が三つ見えたので、船を回してもらう。また見失ったが、やっと船長さんが見つけた時には飛び立つ寸前で、その鳥がウミスズメであることと5羽だったことを確認できただけで、撮影はできなかった。
その後もカンムリとの遭遇確率の高い海域を見回ったが、出会いはなかった。調査地から研究者のTさんを回収して、近くの海上でお昼にした。
食事をしているとウミネコが船の近くに着水して我々の様子を窺っている。


年末の調査ではウミネコすらまともに撮影できなかったので、同じ轍を踏まないように何枚か撮影しておく。
カンムリが出ていないので、船上は盛り上がらない。
景気づけにと、先日買い求めておいた「翁あめ」を配る。いつもは8個入りのオーソドックスなものだが、今回は5個入り(年賀バージョン?)のカラフルなもの。味は同じだが、1個は少し大きめ。とても好評だった。
午後からの調査は少し沖合を回って、祝島方面へ進む。
ホウジロ島の周辺には漁船が何艘か見られた。船長さんの話では、イサキ漁をしているとのこと。

しばらく進んだところで、双眼鏡でやっと分かるくらいの遠いところに、海鳥の群を見つける。
群のサイズからウミスズメのようなので、近づき過ぎないように注意して船を進め、離れたところから観察・撮影を試みる。



繰り返し潜水するので、個体数の確認が難しい。ざっと数えて20羽弱のウミスズメの群のようで、カンムリや繁殖羽になった個体は混ざってはいない。



船を進めると群れは一斉に飛び去ったが、1羽だけはぐれて別のところに着水した。その個体は、仲間に呼びかけるかのように声を発していた。ほぼカンムリの声と同じ鳴き声に聞こえた。
その後、10分くらいした時、前方から2羽、ウミスズメ類が飛んでくる。カンムリなのかウミスズメなのか確信は持てなかったが、ペア行動であることと、ウミスズメの顔面後部の大きく切れ込んだ白い部分が見られなかったことから、カンムリウミスズメの飛翔個体として記録することにした。
祝島・鼻繰島間を進んでいると、海保の灯台見回り船が見えたので撮影。

しばらく行くと宇和島方面に大きめの鳥が浮かんでいるのが見えたので、確認のため船を回してもらう。
やはりアビ類で6羽確認できたが、潜水を始めたので諦め、カンムリ探しに集中することにした。
数分もしないうちに船長さんが前方に2羽のカンムリを見つける。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。