12月24日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
「クリスマスプレゼント」を期待したのですが、カンムリとの出会いは叶いませんでした。
概況を記します。
天気:晴れ
調査時間:9:43から15:14まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
前回の調査でカンムリのペアが見られたこともあって、船長さんはシーズン到来かと期待されている様子。このところずっと時化ていたので、飛沫対策として今回は防寒服の上にゴアテックス仕様の雨具上下を着込んで乗船。港を出てからしばらく船は地寄りを走っていたが、結構波がある。遠くはやや霞んでいるものの遠望は効き、四国方面も見えている。はるか前方のホウジロ島は浮島状態で、遠くの貨物船らしき船も空中に浮いて見える。そのうち波は収まり、岸辺近くには小舟で釣りをしている人の姿も。
前回あれだけ見られたウミネコも見られず、Toさんは「今日はどこへ行ってるんだろうか」と双眼鏡で遠くを見回している。八島方面に飛んでいる鳥を見つけ指さしたので、私も双眼鏡を向けると確かにウミネコらしき鳥が何羽か飛んでいるが、双眼鏡をもってしても芥子粒くらいにしか見えない。
天田島の灯台近くの岩場にトビ大の鳥が止まっているのが見えたので、カメラで撮影してみるが、画像を拡大してもトビかミサゴか判別がつかない。
いつものように天田島の南側にさしかかると、急に波立ってきて船の上下動が激しくなる。海底地形か風通しの関係なのか、不思議である。
しばらく進むと遠くの小島の周りに釣り船が何艘か見える。
ハマチやヤズ狙いらしい。正月用の魚にということか。ウミネコと思しき鳥がポツン、ポツンと浮かんでいるのが見えるが余りにも遠いので撮影を諦める。1羽、比較的近い個体がいたので、撮影を試みる。
カラスバトの調査機器を設置している島に研究者のTさんを降ろすために岸辺近くを回っていると、岩場に釣り人が3、4人上がっている。上陸地点に船を近づけていると、はるか前方の岩場からウが飛び出す。
その岩場の上にはミサゴが2羽止まっていたが、距離があったので、ピンボケ写真を撮るのがやっとだった。
研究者のTさんの今回の作業は、前回回収した撮影画像の中にイエネコが写っていたので、この日は生息状況を確認するためにネコ用の餌をカメラの前に仕掛けるというミッションだとのこと。この島は本土からかなり離れた無人島なので、ネコが泳いで渡って来たとは考えにくく、外から持ち込まれたものと思料され、島のネズミを食べてくれればいいのだが、カラスバトやオオミズナギドリの繁殖に影響しないように捕獲も視野に入れた対策を講じる必要があるため、事前調査の必要が生じたのである。
その作業の間、我々は沖合を一回りした。カンムリとの遭遇率の高い海域だったので、双眼鏡を駆使して注意深く探したが、遠くを飛んでいるウミネコを見かけただけで、カンムリはヒットしなかった。研究者のTさんを迎えに行くと、岩場から船に向かって歩いてくるTさんの片足が靴下なのに気づく。岩場から磯に靴を片方落したとのこと。船が入れない所なのでと、船長さんから長い手鉤棒を借りて落した現場に向かう。そんなハプニングがあったため、頭上をミサゴが通り過ぎたのに、せっかくの撮影チャンスを逃してしまった。
沖合を大回りで八島方面へ向かい、周辺海域を見回ったが、鳥影はなく、風景写真を撮っただけ。
八島の南端沖に船を止め昼食・休憩となる。食事中、1羽のウミネコが船の周りに寄ってきたが、箸を置いて撮影するほどの対象でもないと捨て置いた。その時はウミネコが一番近くで撮ることができたラストチャンスだとは思いもしなかったからだ。
調査再開後は、海は穏やかで遠くまで見渡せるものの、午前中同様、目視で見える範囲に鳥の姿は全く見られなかった。浮遊物すらないのである。やっと見つけた浮遊物はカップ麺の容器だった。雲の量が増え、陽が陰ったためか、船の前方の海面が、左側は黒く、右側は青い、「半分、青い」状態になる。撮影してみたが、余りハッキリした違いが分かる写真は撮れなかった。
遠くに見えるへいぐんブイにウミネコらしき鳥が止まっていたので撮影する。
いつもなら、「ウミネコか〜」で、カメラを向けないところだが、こうも鳥が出ないと、「ウミネコでも近くを飛んでくれないかな〜」と、拝むような気分になる。とうとう帰港間近、上関大橋近くの岩場にウ類が休んでいるのを見かけただけで、本日の打ち止め。
私は、言わば「従軍カメラマン」なので、鳥が出ても出なくても、何かしらの写真を撮っておかないと、後の仕事に響くため、粛々と勤めを全うしているが・・・。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。