11月26日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
22日の調査で1羽見られたとのことだったので期待したのですが、残念ながらカンムリを見つけることはできませんでした。
概況を記します。
天気:晴れ(午前中、雲多め)
調査時間:9:45から15:30まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
出港前、白浜港の防波堤にたくさんのウミネコが集結していたので撮影する。
正確にカウントしたわけではないが、ざっと300羽前後はいたようだ。港を出るといきなり波しぶきを浴びた。しばらくそんな状態が続き、前方に見えるウミネコの着水している群や時折現れる飛翔個体など撮影しようにも船の上下動が激しくままならない。
八島の奥側に薄っすらと見える佐多岬半島に「浮島」が見られる。宇和島の手前まで来ると、沖に何艘か漁船が出ている。このところヤズの群が入ってきているらしく、その漁のようだ。船の向きを変え、沖合を目指すが、風や波が強く、船長さんもとうとう諦めて、方向転換された。
22日にカンムリが見られた海域を徹底して見て回ろうという作戦だったようだが、見られるのはウミネコばかり。波を背にして天田島と宇和島の間の海域まで来ると、急に海は穏やかになり、ウミネコの飛翔個体の撮影も可能な状態になった。後で確認すると同種の成鳥や若鳥、排泄行為まで写っていた。
成鳥
若鳥
鳥が出ない時の定番ともいえる島の磯回りを今回も船長さんがしてくれた。時間が時間だったので、風のない停泊場所がたまたまその島近辺だったからもしれない。島を周回している時、木に止まっているミサゴを見つけたので、「ミサゴ!」と声を掛ける。ミサゴの方も船の接近に気づいたのだろう、木から飛び立って尾根上をしばらく旋回して消えた。
磯では岩の上にイソヒヨドリも見られた。島の反対側に回り込むと、先ほどのミサゴだろうか、1羽、樹林の中から飛び出した。さらにもう1羽飛び出したが、その個体、趾に長く白っぽいものを掴んだまま飛んでいる。
ちょっと遠かったが撮影を試みる。どうも掴んでいる魚はダツのようだ。一回りして私たちの船の上を飛んだので連写したが、露出補正していなかったので、シルエットに近い写真しか撮れなかった。
岩場からウが飛び出し、対岸方向へ飛んで行く。
しばらく行くと遠くに見える原発予定地前の岩場に7〜8羽のウの群が羽を広げて休んでいる。
確定的なことは言えないが、これらのウはウミウのようだった。
島の南側の波の穏やかなところで船を止め、昼食・休憩となる。休憩中の雑談で、Toさんが小さな岬や岩場などにも地元では名前がついているという話をしたところ、船長さんから確かに昔から呼び継がれていて、同じ名前のものもあるので、〇〇の何々というように呼んでいる、と。とくに「明神鼻」という名前の場所は多いそうだ。「ウのクソ」という呼び名もあるそうで、鵜の糞で白くなった岩壁などをそう呼んでいるとも。そんな話をしていると、祝島を出港した定期船いわいが前方からやって来たので撮影する。
調査を再開後しばらくして、ボラが跳ねる海域があり、カメラを構えたが、どこに飛び出すか分からず、結局、一枚も撮影に成功しなかった。しかし中には2m近い凄いジャンプをするものもいて、見ている分には楽しめた。沖合で1羽、大きめのカモメ類が着水しているのが見られた。ウミネコのようにすぐ飛び立つこともなくいてくれたので、何とかものにすることができた。画像で確かめるとセグロカモメだった。
セグロカモメは、ウミネコより一回り大きく、ウミネコのように尾羽に黒いバンドがなく白一色なので、飛んでいる時は識別が容易である。また羽衣もウミネコの方が濃い灰色なので、明るい灰色のセグロカモメとは区別がつく。瀬戸内側にはウミネコのような体色をしたセグロカモメ大のオオセグロカモメは少ないので、後は嘴の先にある模様でも足が見えていればその色でも違いが分かる。
午前中あれだけ波のあった沖合は午後になったらウソのように穏やかになっている。
上空の雲が取れて日差しもあって、寒さはまったく感じなくなった。その後も、時折、飛んでいるウミネコの姿が見られるだけで、カンムリはヒットしない。沖合から横島近くまで戻ってくると、遠くに見えるハンドウ島が浮いているので撮影する。
最後に横島の磯に佇むアオサギを撮って、「本日の打ち止め」。白浜港に帰港すると、朝、あれだけたくさんいたウミネコは1羽もいない。調査中、小群には何回か出会ったが、全て合わせても何十羽の範囲で、一体何処へ行ったのだろう。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。