8月27日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
残念ながら、カンムリとの出会いはありませんでした。だんだんと厳しい時期に入って来たようです。
概況を記します。
天気:晴れ
調査時間:9:40から15:21まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
オオミズナギドリ 4
この日は、研究者のTさんが体調不良のため参加されなかったので参加者3名となる。日中の暑さは、相変わらずだが、船が走っている間は風を受けるし、屋根替わりに張られたテントのお陰で日光の直射は避けられるので、長袖のシャツを着ていても暑さは気にならない。波は穏やかで船の揺れも気にならない。
幾分ガスっているのか四国や九州は霞んでいる。
出港後、横島を右手に見ながら進んでいると、島の南端の磯にウ類の姿が見えたが、船が近づく間もなく、早々とどこかに飛び去ったようだ。
この時期なので、カワウとは思うが、とても識別できる距離ではなかったので、記録としてはウsp.としておいた。因みにsp.は、「species」(種小名)の略だが、属名は分かるが、種小名までは分からないという時に使う略号である。
浮遊物は時折あるものの、紛らわしいようなものもなく、宇和島近海でトビウオが何匹か飛んだくらいで、鳥らしきものは全く見られない。トビウオは小ぶりで飛距離も短く、ほんの一瞬のことなので、撮影を試みることもなかった。
宇和島の南方沖合を見回っている時、遠くを飛んでいる鳥を見つけた。鳥のサイズや形、飛び方などからオオミズナギドリを疑ったが、双眼鏡でも芥子粒くらいにしか見えないので、とりあえず不明鳥(1)Fと記録(Fは飛翔の略)。
2、3分して船首前方を大きな鳥が横切った。
今度はオオミズナギドリと分かる距離だったので、難なく同定できた。風がないので、水面ギリギリのところを、ちょっと羽搏いては滑空するという動作を繰り返していた。
省エネ飛行が真骨頂のこの鳥にしては、かなり苦しい飛び方だったようだ。このあとも同様の飛び方をした2羽を見つけただけで、他の海鳥はまったくだった。
八島の岸辺ではトビやアオサギが岩の上に止まっていた。
警戒気味のアオサギ
飛び去るアオサギ
慌てて飛び立つカワウ
港に入る前、ウ類が水浴びをしているのを見つけたので、カメラを向けたが、時遅しで飛び立たれてしまった。八島の定期船待合所は、いつも通り、エアコンが効いていて、快適だった。今回は食後に、港周りを見回ることもなく、待合所で過ごした。
午後からの調査は、沖合は見回ったので、内寄りに宇和島方面へ進むことに。港を出てすぐ、船べりから飛び出したトビウオが4~5匹飛んだくらいで、前回(8月12日)の調査時、カンムリに遭遇した海域でもまったく鳥の気配なし。さざ波程度の波が立ってきたが、あくびや睡魔を吹き飛ばすようなものではなく、心地よい揺れ具合といったところで、何度もなんども、「集中、集中!」と自分に言い聞かせて、鳥を探し続けた。
さすがに何も出ないからか、船長さんが、いつもの島周りをしてくれたので、やっと、あくびが止まった。と言っても、変わった鳥が出たわけではない。岩の上に止まっているアオサギやカワウが見られたくらい。
カワウは、暑さをしのいでいるのだろう、嘴を半開きにしている。
このように鳥は人間のように汗をかかない(かけない)ので、口を開け、呼吸を通して放熱することで体温調節をしているわけだ。そこにいた4羽中3羽がとっていた行動なので、間違いないだろう。
いつもいるミサゴを見ないなと思っていると、尾根の上空を3羽が舞い始めた。
よく見るとと2羽はトビで、1羽がミサゴだった。このミサゴは画像で確認すると、翼に欠損が見られたことから成鳥と思われる。次第に雲が増えてきて海面が暗くなってくる。ギラギラした海面も鳥を探しづらいが、暗いのも鳥を見つけにくい。
帰路、四代沖で遠くを飛ぶウ類を見かけただけで、何時も見られるウミネコを1羽も見かけなかった。こんなこともあるもんだ。だんだんカンムリが出なくなる時期なので、気負いもなく、出会えれば幸運というくらいの気持ちでの参加だったが、こうも鳥が出ないと、さすがに疲れる。これから3か月は、こんな調査が続くので、ぼやいてもしょうがない。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。