前回、図案化された鳥の種類が現時点で何種あるのか調べるエネルギーはないと書きました。どうしても気になるので、最新の『日本切手カタログ』を入手し、調べてみたところ、約40種の鳥を新たに確認することができました。
「約」としたのは、見落としがあるかもしれないからだけではありません。切手に鳥の名称を亜種名で記載しているものが何種かあったのです。一応、抽出の基準を種としていても、同じ種とされる別の亜種がなければ1種として扱っても問題ないのですが、同種でそれぞれ2亜種発行されているものが見つかりました。アカヒゲとホントウアカヒゲ、フクロウとエゾフクロウ、アカショウビンとリュウキュウアカショウビンです。
今後、分類の変更があるかもしれませんが、今のところ同種ということになります。他には切手のデザインには小鳥とされていて種名が分からないものや、ハト、タカ、キツツキといったようにグループ名だけが記載されたもの、さらには有名な花鳥画であっても種が判別しづらいものもありました。いわゆる家禽のニワトリやチャボ、アヒル、シナガチョウは除外したものの、一番悩んだのは飼い鳥でした。元々野生だったものが飼われているのは問題ありません。
しかし、原種を品種改良したものでも原種と同じ名前のもの(セキセイインコ、カナリア、ブンチョウなど)、別の名前を持つもの(ジュウシマツ)をどう扱うべきか。興味本位で始めた調べごとなのに、厳密な定義を決めてやる必要があるのだろうか。いろいろと考えた末、結局、「約」でもいいのではないかということで、切手に登場した鳥の種類は、現時点では約110種という結論に達しました。
ところで一番多く図案化された種は何だったでしょう。それはタンチョウで、断トツでした。次はオシドリとライチョウがきて、その次がトキとコウノトリとなります。国鳥のキジは切手種としては多いものの、発行回数(図柄自体)は意外と少ないのです。タンチョウの図柄が多く選ばれることには日本人の美意識が反映しているのでしょうか。
切手収集も奥が深く、「趣味の王様」と言われるだけのことはありますね。
タンチョウデザインのあれこれ