1月22日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
概況を記します。
天気:晴れのち曇り
調査時間:9:56から14:06まで
調査結果:カンムリウミスズメ 9(3+2+2+2)
ウミスズメ類 2(飛翔個体で、おそらくカンムリと思われるが、種の同定ができなかったのでウミスズメSPとした)
船が港を出ると前方に着水していたウが、慌てて飛び去る。この日は横島の東岸沿いを進んでから沖合を目指した。沖合を進んでいる時、船長さんが飛んで行く鳥を見つけ指さしたが、私はとうとう確認できずじまい。私の後ろにいたToさんは見ることができたようで、ウミスズメ類だったと言っていたので、間違いないだろう。そしてすぐ、今度はMさんが2羽のカンムリを見つける。波間に見え隠れしているうちに、飛び去ったので、遠目に撮影した1枚だけが証拠写真となる。
Sさんによるとその2羽から少し離れたところに、もう1羽いたそうで、またしても私は見逃してしまった。出港後10数分という早々の出会いに、Sさんは「Mさん、すごい!」と、大喜び。私たちも周囲を見ていたのだが、かなり波があって、Mさんは「たまたま」と言っていたが、私もすごいと思った。
風も波も後ろからなので、船が進んでいる時はあまり感じないが、いざ対象物を見ようとすると、相手もこちらも揺れ動いているため、容易には見定めにくく、こうした状況でカンムリを見つけるのが如何に大変なことか、また見つけることができたのが如何に幸運なことだったか分かるだろう。
船は押されるようにスイスイ進んで行くが、その後しばらくは手ごたえもなく、へいぐんブイ付近でセグロカモメの若鳥が見られたのみ。
前回は黄砂の影響もあって四国や九州が見えなかったが、この日は遠くまでよく見えた。姫島に浮島現象が見られたので撮影。前方から3羽、大きな鳥が飛んでくる。出港時は晴れ間もあったのに、いつの間にかどんよりとした天気になり、鳥の色合いは確認しづらかったものの、翼の模様からウミアイサと分かる。
沖を西にしばらく進んだところで方向転換。それまでは後ろからの風や波だったので、あまり寒さや海況の悪さを感じなかったが、いきなり波しぶきを浴びるようになり、くしゃみは出るし鼻水も出て、マスクを付け直し幾分、収まったものの、体の冷えばかりはどうにもならない。途中、2度大きく船がジャンプする。
祝島が近づいて少し波が収まったところで鼻繰島方面へ船を進めるも途中で断念。祝島へ入港となり、岸壁は吹き曝しなので、燃料小屋の裏に移動して皆で弁当を食べる。
防波堤には入港時にいなかったセグロカモメがウミネコの群れの中にいた。港を出ると出港したばかりの定期船いわいが前方を疾走していく。帰りは潮を被ることを覚悟するようにと言われていたものの、やはり波に向かって進むのはきつい。
しばらく進んだところで、船長さんが「カンムリを轢いた」と言う。冗談を言っているのかと思ったが、気がつくと目の前にいて船の下に潜ったらしい。船を反転させ近くを探すと2羽のカンムリが見つかる。この2羽は、これまで出会ったペアに比べ、警戒心は緩くフレンドリーなのだが、如何せん、波で船は揺れ、カンムリも波間に見え隠れして、撮影が上手くいかない。みんなから撮れた?と聞かれるが、自分としてはまったく手ごたえを感じなかった。
その後、天田島の近くを走っていると岩場にウが休んでいたので撮影する。距離があり何ウか分からなかったが、画像を確認するとヒメウが写っているものがあった。今季初認である。
調査も終盤、午前中カンムリに出会った海域に近づいたので、繰り返し周囲を双眼鏡で見回す。右舷にカンムリらしき鳥を発見、「3時の方角に・・・」と前に座っているMさんに伝え、船長さんに船を回してもらうと、ほどなく2羽のカンムリが見つかる。
揺れる船から何枚か撮影できたが、すぐに飛ばれてしまう。今度はSさんが「こっちにも」と、反対側にいた2羽を見つける。飛んで行った鳥を再び見つけるのは、べた凪の時でも難しいのに、これほど波がある時に見つかるのは幸運というしかない。
いずれにしても船長さんが、午前中に飛んで行ったカンムリが着水していそうなところに船を進めてくれたから運を引き寄せることができたのだ。船長さんのコース取りに改めて感謝。この日は、どのペアも地に近い所で見つかっており、この調子でカンムリ観察会の日も近くで出てくれることを祈りたい。
(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。