2023年01月22日

22年1月 カンムリウミスズメ調査報告2

1月22日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

概況を記します。


天気:晴れのち曇り

調査時間:9:56から14:06まで

調査結果:カンムリウミスズメ 9(3+2+2+2)

     ウミスズメ類 2(飛翔個体で、おそらくカンムリと思われるが、種の同定ができなかったのでウミスズメSPとした)


船が港を出ると前方に着水していたウが、慌てて飛び去る。この日は横島の東岸沿いを進んでから沖合を目指した。沖合を進んでいる時、船長さんが飛んで行く鳥を見つけ指さしたが、私はとうとう確認できずじまい。私の後ろにいたToさんは見ることができたようで、ウミスズメ類だったと言っていたので、間違いないだろう。そしてすぐ、今度はMさんが2羽のカンムリを見つける。波間に見え隠れしているうちに、飛び去ったので、遠目に撮影した1枚だけが証拠写真となる。


230122見つけたカンムリのペア.jpg


Sさんによるとその2羽から少し離れたところに、もう1羽いたそうで、またしても私は見逃してしまった。出港後10数分という早々の出会いに、Sさんは「Mさん、すごい!」と、大喜び。私たちも周囲を見ていたのだが、かなり波があって、Mさんは「たまたま」と言っていたが、私もすごいと思った。

風も波も後ろからなので、船が進んでいる時はあまり感じないが、いざ対象物を見ようとすると、相手もこちらも揺れ動いているため、容易には見定めにくく、こうした状況でカンムリを見つけるのが如何に大変なことか、また見つけることができたのが如何に幸運なことだったか分かるだろう。

船は押されるようにスイスイ進んで行くが、その後しばらくは手ごたえもなく、へいぐんブイ付近でセグロカモメの若鳥が見られたのみ。

前回は黄砂の影響もあって四国や九州が見えなかったが、この日は遠くまでよく見えた。姫島に浮島現象が見られたので撮影。前方から3羽、大きな鳥が飛んでくる。出港時は晴れ間もあったのに、いつの間にかどんよりとした天気になり、鳥の色合いは確認しづらかったものの、翼の模様からウミアイサと分かる。

沖を西にしばらく進んだところで方向転換。それまでは後ろからの風や波だったので、あまり寒さや海況の悪さを感じなかったが、いきなり波しぶきを浴びるようになり、くしゃみは出るし鼻水も出て、マスクを付け直し幾分、収まったものの、体の冷えばかりはどうにもならない。途中、2度大きく船がジャンプする。

祝島が近づいて少し波が収まったところで鼻繰島方面へ船を進めるも途中で断念。祝島へ入港となり、岸壁は吹き曝しなので、燃料小屋の裏に移動して皆で弁当を食べる。

防波堤には入港時にいなかったセグロカモメがウミネコの群れの中にいた。港を出ると出港したばかりの定期船いわいが前方を疾走していく。帰りは潮を被ることを覚悟するようにと言われていたものの、やはり波に向かって進むのはきつい。

しばらく進んだところで、船長さんが「カンムリを轢いた」と言う。冗談を言っているのかと思ったが、気がつくと目の前にいて船の下に潜ったらしい。船を反転させ近くを探すと2羽のカンムリが見つかる。この2羽は、これまで出会ったペアに比べ、警戒心は緩くフレンドリーなのだが、如何せん、波で船は揺れ、カンムリも波間に見え隠れして、撮影が上手くいかない。みんなから撮れた?と聞かれるが、自分としてはまったく手ごたえを感じなかった。


230122カンムリの撮影に苦労する1.jpg


230122カンムリの撮影に苦労する2.jpg


230122カンムリの撮影に苦労する3.jpg


その後、天田島の近くを走っていると岩場にウが休んでいたので撮影する。距離があり何ウか分からなかったが、画像を確認するとヒメウが写っているものがあった。今季初認である。


230122ヒメウの姿も.jpg


調査も終盤、午前中カンムリに出会った海域に近づいたので、繰り返し周囲を双眼鏡で見回す。右舷にカンムリらしき鳥を発見、「3時の方角に・・・」と前に座っているMさんに伝え、船長さんに船を回してもらうと、ほどなく2羽のカンムリが見つかる。


230122見つけたカンムリのペア.jpg


230122調査終了直前に見つけたカンムリ一組目.jpg


230122飛び去るカンムリカンムリ.jpg


揺れる船から何枚か撮影できたが、すぐに飛ばれてしまう。今度はSさんが「こっちにも」と、反対側にいた2羽を見つける。飛んで行った鳥を再び見つけるのは、べた凪の時でも難しいのに、これほど波がある時に見つかるのは幸運というしかない。


230122すぐ近くにもう一組.jpg


230122冠羽を逆立てるカンムリ.jpg


230122カンムリの冠羽が風で逆立つ.jpg


いずれにしても船長さんが、午前中に飛んで行ったカンムリが着水していそうなところに船を進めてくれたから運を引き寄せることができたのだ。船長さんのコース取りに改めて感謝。この日は、どのペアも地に近い所で見つかっており、この調子でカンムリ観察会の日も近くで出てくれることを祈りたい。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2023年01月16日

【重要】観察会日程の変更のお知らせ カンムリウミスズメウォッチングと上関の冬の味覚を楽しむ一日

2023年1月14日(土)に予定しておりました

カンムリウミスズメウォッチングと
上関の冬の味覚を楽しむ一日

は悪天候のため

2023年1月28日(土)

に変更となりました。

ご参加を希望された皆様には深くお詫び申し上げます。

お申込み締め切りは

2023年1月21日(土)
上関の自然を守る会 高島美登里まで


〈スケジュール〉

09:00 上関マルゴト博物館集合
09:00 カンムリウミスズメ講座
  講師:武石全慈さん(カンムリウミスズメ研究者)
10:00 冬の海鳥ウォッチング
12:00 漁師料理を楽しむ会
13:30 解散(予定)

参加費:大人 500 円、子ども 無料
(漁師料理・希望者のみ:大人 2000 円、中学生以下 1000 円)






いつも上関の自然を守る会の活動に、ご理解とご協力いいただき誠にありがとうございます。



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2023年01月09日

23年1月 カンムリウミスズメ調査報告1

1月9日(月)、本年最初のカンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:35から14:55まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1羽

       ウミスズメ類 7〜8羽(遠方を飛翔していたため種の同定ができず)

       アビ類 3羽(うち1羽はシロエリオオハムと同定できた)

調査予定だった前日は海況が悪く、本日に変更となる。空は雲一つない青空だが、目の高さまでは霞んでおり、黄砂の影響かと思われる。したがって四国も九州もまったく見ることができない。正月明け早々に調査が組まれたのは、カンムリのイベントが近々催されるので、直近の状況把握が欠かせないためらしい。

出港後は、波も穏やかで遠望がきき、まずまずのスタートが切れた。注意して海面を見ていたが、今回も横島付近に現れたスナメリを見逃してしまった。天気が回復した割には釣り船を見ないなと思っていたら、いつものように天田島の沖には何艘か漁船が見えた。


230109多くの釣り船.jpg


沖合へ進むと、それなりに波が出てくる。航路筋近くを走っている時、ふと、バッグのカメラに目をやると、飛沫を浴びているのに気づいた。バッグのチャックを少し締めるなど対応に追われていると、船長さんが左舷前方に浮かんでいるカンムリを見つける。カメラを取り出す間もなく、飛び去られてしまい、適当にシャッターを切ったものの、後追い写真には何も写っていなかった。あれだけ周囲を見回していたのに、目視でもカンムリと分かるくらいの距離にいたのを見落としていた。確かに、かなり波があり、波間に浮き沈みしていたからだろうが、実に悔しい。

その後、飛んで行ったと思しき沖合を、カンムリの着水個体を見つけてやろうと双眼鏡で必死に探す。そのせいか少し船酔い気味になってきた。

沖を進んでいると、またしても船長さんが鳥を見つける。双眼鏡で見ると海面すれすれのところを7〜8羽の群が飛んでいた。飛翔形からウミスズメ類であることは分かったが余りにも遠いので、種までは分からなかった。飛んで行く方向へ全速力で船を走らせ追ったが、結局、見失った。カンムリウミスズメも群れで行動しないわけではないが、この時期は圧倒的にペアでいることが多い。行動習性からウミスズメの小群の可能性が高いものの、識別可能な距離にいるものを見つけないと何とも言えない。

沖合をしばらく探し回ったが諦めて停船し、昼食休憩に。船の前方からやってくる貨物船の横に潜水艦が水蒸気を吐きながら走っているのが目に入る。


230109遠くに潜水艦を発見!.jpg


肝心のカンムリの写真が撮れず、「今日は、潜水艦の写真で終わりか・・・」と私がぼやいていると、船長さんから、「今からプランBで行く。待ち伏せ作戦だ」と。前回、沖合に船を止めて流れに任せていたら、カンムリの方からやって来てくれたのを再度、期待しようということらしい。午前中は波立っていた沖合も穏やかになっていて、どこから飛んできても見逃すことはない状況だったが、「柳の下の泥鰌」とはいかないのが世の常というもの。

午前中より更に沖合まで見回るも、ウミネコの着水個体を見かけただけ。沖合から地寄りに向かう途中、船長さんは2羽の飛翔個体を見られたそうだが、私たちは確認できず。島間がかなりある海上でミサゴを見つけたので、カメラを出すと、既に辺りにはいなくなっていた。船の前方を横切って飛んで行く首の長い鳥がいたが、遠方であることと光線の具合で種の同定にはいたらなかった。感じとしてはウミアイサ風ではあったが、ほっそりとした体だったので、カンムリカイツブリだったのかもしれない。

その後もこれといった鳥は出ず、ここまでかと諦めているとMさんが蒲井沖で何か見つけたようだ。船を近づけてもらうが、潜ったり、波間に消えたりで、証拠写真の撮影にも苦労する。撮影した画像の1枚に、シロエリオオハムの特徴である喉の下に黒線の写ったものがあったので、おそらく3羽とも同種だったと思われる。


230109シロエリオオハムと確認できた個体.jpg


230109アビ類.jpg


アビ類は長時間潜るため、見かけた場所の近くまで行っても、次にどこに姿を現すか予測がつかず、そのうち見失う。

よほど良い餌場で集団採食しているようなシチュエーションならバッチリ写真の撮影もできようが、今季初認を記録できただけでもありがたい。

その後、横島の近くでセグロカモメの着水個体と上関大橋手前の磯を飛ぶ2羽のカンムリカイツブリの写真を撮る。


230109セグロカモメ.jpg


白浜港入港直前、海上から防波堤へ向かうイソヒヨドリを撮影。


230109イソヒヨドリ2.jpg


230109イソヒヨドリ1.jpg


港の中にはカンムリ違いのカンムリカイツブリがいたので、下船後、防波堤の上から写しておく。


230109カンムリカイツブリ.jpg


今回の調査では何とか1羽のカンムリを見つけることができたものの、カンムリ観察会は2時間程度の催しなので、確かな手ごたえを得たと言えるものではなかったのは残念。


(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




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