2022年12月02日

【鳥の散歩道8】鳥も衣替えをする?

鳥も「衣替え」をするのでしょうか。


 近頃は学校も制服を廃止したところが多いようですが、制服の衣替えは、6月1日からは夏服、10月1日からは冬服に一斉に服装を切り替えるのが一般的でした。私たちの暮らす日本には四季があって、季節によって天気や気温が変化するため、季節の変わり目に衣類を改めるのは長年の風習ともなっています。中国の宮廷の風習が平安時代に伝わり、明治時代以降に学校や官公庁など制服のあるところは上記の日をめどに衣替えを行うようになったそうです。

 動物にも夏毛、冬毛と季節に合わせて「衣替え」するものもいます。鳥も「衣替え」をします。鳥の衣替えは、「換羽」といって古くなった羽が抜け落ちて、新しい羽に生え替わる生理現象です。年1回以上行われますが、鳥の種類や年齢、性別などによって生え替わり方に違いがあります。鳥の飛翔に関係する風切り羽が一斉に抜けて飛べなくなる鳥もいますし、飛翔能力に余り影響しない程度に順番に抜け落ちていくという換羽の仕方をする鳥もいます。

換羽は、古くなり傷んだ羽の更新が第一の目的ですが、繁殖期の前に綺麗な体の色に変化し、繁殖が終わって地味な色へと変わる鳥も少なくありません。俗に夏羽、冬羽と言っていますが、科学用語では生殖羽、非生殖羽といい、別の目的を持った換羽なのです。繁殖のために目立つ必要があったり、捕食から逃れるために目立たなくしたり、それぞれに意味があるのです。

ライチョウは年に3回換羽するそうです。敵(捕食者)から身を守るために雪に溶け込む冬羽、土に溶け込む夏羽、岩に溶け込む秋羽と高山の季節変化に伴う周囲の環境に合わせた換羽をしているようです。

オスとメスで著しい見た目の違いのある鳥がいる一方、雌雄に違いがないように見える鳥もいます。


オシドリのオスは、@の画像のような非生殖羽からAの中央のように換羽を経て、Bの画像のような生殖羽に変わります。綺麗な羽衣になって番(つがい)関係を形成し、繁殖後に換羽して一見メスのような羽色に変わるのです。オスがメスのような羽色になった状態をエクリプスと呼んでいます。エクリプスとは、「日食」や「月食」などの天文現象における「蝕」を意味する英語ですが、鳥類用語としても使われます。

@

sanpo8オシドリ♂(非生殖羽).jpg

A

sanpo8オシドリ♂(換羽中).jpg

B

sampo8オシドリ♂(生殖羽).jpg


違いが人間の目で区別がつかないだけで、鳥には違って見えているのかもしれませんし、体色ではなく囀りなど音声が重要な選択の決め手になっているということもあるでしょう。鳥によっては年齢で羽衣に違いのあるものもいます。カモメの仲間は特に違いがハッキリしています。


sanpo8風切り羽等に欠損の見られるハチクマの成鳥.jpg



sanpo8風切り羽に伸長中の羽が見られるハチクマの成鳥.jpg


sampo8風切り羽等に欠損のないハチクマの幼鳥.jpg


上のハチクマの画像は風切り羽等に欠損が見られます。中央の個体は抜け落ちた風切り羽が新しく伸長してきているのが分かります。下の個体は風切り羽や尾羽が綺麗に揃っていますね。これらの画像は秋の渡りの時期の同じ日に撮影したものですが、羽毛の欠損や伸長が見られるのは成鳥で、綺麗に揃っているのは幼鳥です。この時期は換羽が始まっているので翼の傷み具合で成鳥か幼鳥かの区別がつくのです。


小鳥でもルリビタキのように綺麗なオス成鳥の体色になるのに3年も4年もかかる鳥もいて、なぜこうも違いがあるのか不思議ですよね。羽の抜け替わりだけでなく摩耗によるものまであるのですから。カシラダカというホオジロの仲間は、褐色の羽毛が擦り切れ、内側の黒色が出てきて、メリハリの効いた夏羽になるのです。

                               

自然にはいろんな違いがあって、文章的には「造化の妙」と言うところでしょうが、あえて「進化の妙」と言い換えておきましょう。




posted by Sunameri at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 鳥の散歩道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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