2022年12月27日

22年12月のカンムリウミスズメ調査報告3

12月27日(火)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

本年最後となる調査でしたが、私にも遅れたクリスマスプレゼントが届きました。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:47から14:37まで

調査結果:カンムリウミスズメ 8(2+2+4)


前回の調査が今年最後と思っていたが、天候が回復し、急遽、実施が決まった。支度だけは最大限の防寒対策をして臨んだ。今年の1月に雪の北海道でワタリガラスを探すツアーに参加した時と同じ仕様の服で固めた。

先日までの大荒れの海況とはうってかわって波は静か。港を出ると海面に浮かんでいたウが船の前から慌てて飛び立つ。


221227ウミウ?(出港直後).jpg


横島を過ぎてすぐ、右舵にも左舵にもスナメリが出る。見通しは悪くないが、四国や九州は霞んでいる。天気は穏やかで日差しもあるのに、船の進行に伴う風が冷たく、万全の防寒装備でも寒いと感じる。

宇和島近くに来て、やっと島の上空を舞うトビを目にした。白っぽい鳥が木に止まっているのが見えたので、双眼鏡で確認したところノスリのようである。


221227ノスリ.jpg


島沿いに進んでいる時、鳥の群が遠くに見え、ヒヨドリの群れだと分かる。この時期に渡り? 冬場に島間を移動する「島渡り」と言われるものはあるが、これほどのまとまった数が海上を移動しているのは初めて見た。一旦九州方面に渡ったものが再度本土へ向けて移動しているような、いわば「逆渡り」かもしれない。ツバメの渡りでは、よくあることらしい。

研究者のTさんを調査地に降ろした後、先ほど木に止まっていた猛禽類の確認に行くと、姿はなく、山頂付近をトビに混ざってノスリが飛んでいたので、おそらく、止まっていたのは、そのノスリだろう。その後、沖合へ向け船を進めると、遠く八島に浮島現象が見られる。

しばらくすると前方から向かってくる船の航跡波が蜃気楼のように浮かんで見え、近づくにつれ漁船の船影だと分かった。陸では陽炎のような現象なのかもしれないが、海でもいろんな自然現象があっておもしろい。


221227航跡波も浮かんで見える.jpg


11時前に配られた最中を食べた後、前回、私の調査グッズのGPSの電源が突然切れるというハプニングがあったので、動作確認をしていると、船長さんが「そこにいる!」と声を上げた。すぐに潜るので種の同定ができない。その後も、水面に現れるのは一瞬で、何とかカンムリとは分かったものの、その姿をカメラに収められない。落ち着いた2羽が浮上したのもつかの間、まともな写真が撮れないまま、飛び去られてしまった。警戒心の強いペアというより、採食に夢中になっていて、一段落して浮かび上がると近くに船がいたというところではないだろうか。


221227カンムリ発見!.jpg


221227やっと浮上したカンムリ1.jpg


221227やっと浮上したカンムリ2.jpg


221227潜水を繰り返すカンムリ.jpg


船長さんは「これで安心して正月が迎えられる」と喜んだが、私にとっても8月以来の出会いなので、やっとトンネルを抜け出せたという感慨深いものであった。また、この日の調査は、年明けに予定しているカンムリの観察会のための予備調査としての意味もあったので、二重の喜びでもあったのだ。そういえば8月の個体は非繁殖羽だったから、いきなり繁殖羽の個体を見たわけで、ことの意味を考えられたのは陸に上がってからだった。

浮き浮き気分で船を進めていると、Mさんが「あれ!」と前方から飛んでくる鳥を見つける。飛翔形態からウミスズメ類だとすぐに分かった。双眼鏡で確認するとカンムリのペアだった。前の2羽の飛んで行った方角とは違うので、別のペアだ。飛翔個体ではあるが、ハッキリとカンムリだと確認できたので、目撃地点の緯度経度を船長さんに読み上げてもらい、Mさんが記録する。


221227_2羽が揃って浮上.jpg

221227飛び去るカンムリ.jpg

西向きに船は進み、突然止まった。「お昼にしよう」と船長さんが言う。食べ始めると前方を大きめの鳥の群が通り過ぎた。配色の具合からアビ類に思えたが種を確認できなかった。すると今度は反対側へ小ぶりな鳥が飛んできて近くに着水した。何とその鳥はカンムリで、4羽もいる。こんなことってあるのだろうか、さっきの2羽、2羽が合流して飛んで来たのだろうかとか言っているうちに、すぐに飛び去ってしまった。


221227停泊した調査船の近くに飛んで来たカンムリ4羽.jpg


221227飛び去る4羽のカンムリ.jpg


鳥をあてもなく懸命に探し回っている私たちの所へ、鳥の方からやってきてくれるという、これまでにない経験をしたからか、船長さんは「来年から調査方法を変える。沖で船を止め、流れに任せて鳥を待つ。燃料代も助かるし」と、カンムリ効果で口も軽い。

一応、いつものようにお茶うけに御堀堂の外郎を配ったが、カンムリが出ると出ないでは、まったく話の弾み方が違う。午後の調査は、既にカンムリを見つけているので、みんな気楽な心持ちでの開始だった。

船が祝島沖にさしかかった時、眼前をヒヨドリの群れが通り過ぎ、祝島・鼻繰島間海域に消え去った。撮影した画像で羽数を数えると100羽前後の群だった。宇和島沖の群は150羽を超えていた。実際に数えると見た目の約、倍の数だったのには驚かされる。


221227ヒヨドリ、一体、何羽いるでしょうか? 数えてみてください.jpg


お迎えの調査地へ向かっているとホウジロ島の上空をミサゴが2羽飛び回っていた。宇和島ではウミウが岩の上で休み、調査船の上をトビが舞っていたが、研究者のTさんを乗せてからは、これといった鳥は出なかった。


221227ウミウ.jpg


船が白浜港に入る前、船を追い越していく鳥の群がいたが、大きさや体色からウミアイサのようだった。港の防波堤で休んでいるウの中に綺麗な繁殖羽になった個体も見られた。


221227綺麗な繁殖羽になった個体も.jpg


年の瀬になって、やっとカンムリが出てくれ、よかった、よかったで一年を締め括れたことは、船長さんを始め、研究者のTさん、そしてさまざまな協力者の皆さんのお力添えがあってのことと感謝申し上げたい。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2022年12月20日

観察会のお知らせ 23年1月14日(土) カンムリウミスズメウォッチングと上関の冬の味覚を楽しむ一日


カンムリウミスズメウォッチングと
上関の冬の味覚を楽しむ一日

を開催します。


2023年1月14日(土)

09:00 上関マルゴト博物館集合
09:00 カンムリウミスズメ講座
  講師:武石全慈さん(カンムリウミスズメ研究者)
10:00 冬の海鳥ウォッチング
12:00 漁師料理を楽しむ会
13:30 解散(予定)

参加費:大人 500 円、子ども 無料
(漁師料理・希望者のみ:大人 2000 円、中学生以下 1000 円)

お申し込み:上関の自然を守る会(高島美登里)






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2022年12月10日

22年12月のカンムリウミスズメ調査報告2

12月10日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

寒さが少し和らいだ一日でしたが、カンムリとの出会いは叶いませんでした。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:38から15:08まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0


この日は、瀬渡し客とオオミズナギドリ調査チームとの相乗りで、私と研究者のTさんは調査チームが設置予定の人工巣が置いてある最後尾の窮屈な場所に陣取ることに。今回は、前回よりも暖かかったこともあって、合羽の上下を着込まず、着てきた服の上に救命胴衣だけ着ることにした。いつもと違うことをしてみるという験担ぎでもあった。

地寄りを走っている時、ミサゴやスナメリも出てくれたので、今日は何か良いことがありそうな気がしてきた。磯に瀬渡し客を降ろしたあと、オオミズナギドリ調査チームの目的地へ一直線で向かう。天田島を過ぎる辺りから、結構波立ってきて、横波を受けるようになった。

調査チームとオオミズナギドリの繁殖を助ける人工巣を船から降ろすと、窮屈な体勢から解放され定位置に座ることができた。

少し沖合へ出て、東に進み始めると正面からの波で船は上下に揺れ、バーンと船底を打ち付ける音が頻繁に聞かれるようになってきた。


221210激しいを波を受けながら進む調査船.jpg


験担ぎが裏目に出たようだ。でも服が少し濡れた程度で、寒さは感じない。前回の調査は本当に寒かったので、これくらいならしばらく我慢できそうと自分に言い聞かせていると、さすがに船長さんもこれ以上直進は無理だと判断したのか、船を反転させた。今度は後ろからの波で、船は押されるように西へどんどん進む。それまで風と波しぶきを避けるために、顔を背けていたので、見渡せる範囲が180度から半分の90度くらいになっていたが、やっと鳥探しできる状態になった。

天田島を過ぎ、祝島の西端近くまで走ったが、時折、ウミネコが飛ぶだけで、当たりはない。


221210祝島と小祝島.jpg


祝島沖から平さんの棚田を撮影する。


221210平さんの棚田2.jpg


221210平さんの棚田1.jpg


その後は沖合へ進み、航路筋辺りまで来た時、研究者のTさんが寄ってきて、「ネタがやって来るよ」と遠くに見える艦船を指さした。双眼鏡で確認すると、かろうじて自衛隊の艦艇であることが分かった。


221210通り過ぎる護衛艦さみだれ.jpg


我々の船は宇和島沖から少し北上した地点に停泊し、昼食・休憩。

食べ終わった後、いつの間にか近くにウミネコが2、3羽近づいてきた。


221210船の直ぐ傍までやって来たウミネコ.jpg


本当にどこで人の動きを見ているのだろうか、彼らの察知能力には驚かされる。そのうち1羽、大ぶりな個体が周囲を飛び始めた。セグロカモメのようだ。船長さんが、「カモメと言ってもいろいろいるんだな、何種類くらいいるの?」と。カモメは大型のものから小型のものまで、さっきのセグロカモメは大型種で、ウミネコやカモメは中型、ユリカモメは小型かな、と。嘴の色や斑点、趾の色の違い、季節や年齢による違いを解説。これまでこの海域で確認されているのは、セグロカモメ、ウミネコ、カモメ、ミツユビカモメ、それにユリカモメだが、ミツユビカモメは西日本では稀にしか見られないことなど話した。

食後のお茶うけ?に銭の菓子本舗のドーナツを配る。このドーナツ、昔ながらの素朴な味で地元でもフアンが増えて、すぐに売り切れる人気商品である。

昼からの調査を再開する。午前中、あれだけあった波は収まり、遠くまで見渡せる。午前中ほとんど使わなかった双眼鏡を駆使し、頑張ってカンムリを探す。とうとう何も出ないまま、オオミズナギドリ調査チームを乗せ、私と研究者のTさんは出港時のように船尾に移動。

船尾にいると目線が低すぎるので、私は立ち上がったまま、最後の悪あがきをすることにした。波は穏やかになったとはいえ、何もつかまるところがないので、膝をエンジンボックスに押し当て、安定性を確保した。スナメリが期待できそうな海域に近づいたので、いつでもシャッターが切れるよう、カメラを手に持ってスタンバイ。期待したスナメリは出ず、出発時に見られたミサゴやウが飛ぶのと岩の上に止まったトビやハシブトガラスが磯で見られただけだった。

白浜港に入港する時、久しぶりに防波堤でウミネコが出迎えてくれた。近くにいたらしいアオサギはギャアと声を上げて飛び去った。


221210愛想のないアオサギ.jpg


アオサギにとって私たちは招かざる客だったようだ。蒲井の磯で頑張った石鯛狙いのお客さんは、この日は私たち同様、「坊主」だったらしい。船長さんから「いろいろ言っているが、大物を釣るのはオリンピックやワールドカップのように4年に1回くらいのもんだ」と、からかわれても、「だからやめられない、次は平日に来ようかな」と、上手くかわしていた。私たちの心境も似たようなものだ。



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




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