2022年9月10日と11日。ナメクジウオ調査及びいきもの観察会。
10日は天田島、11日は長島田ノ浦。
講師 佐藤正典さん、新井省吾さん
11日について。
参加者約23名。
午前10時よりマルゴト博物館にて、佐藤先生のスライドによる事前学習。
田ノ浦は、生物学的にも、地理的環境を考える上でも、重要な地点であることを学ぶ。
車移動の海岸班と、ダイバーを含む船移動の海上班に別れて、現地へ。
まだまだ夏のような青い空と青い海。祝島やハナグリ島も鮮やかに見える。
ちょうど、ナメクジウオのような形をした白雲もすらりとたなびいている。
なんだか幸先良さそうな雰囲気。
海岸班は12時半過ぎに、田ノ浦へ到着。まずは木陰でランチタイム。
海上班の船はすでに到着し、二人のダイバーは、海底の湧水が湧き出る白砂層の一角で
ナメクジウオ生息調査のための砂を採集しているのが見える。
昼食後、さっそくいきもの観察へ。
昨夜は中秋の名月。そのおかげでちょうど大潮の干潮時で、
砂干潟と磯干潟の両方の特性を併せ持つ、この珍しくも貴重なここ田ノ浦の生き物観察会には最高の状態が整う。
まず、ダイバーが届けてくれた砂袋を丁寧に開くと、
さすが佐藤先生。小さなしっぽを発見。掬い出すと第一号のナメクジウオ。
さらに何度かの選り分けののち、合計大小6個の個体が現れ、
そのたびに歓声が上がる。
「俺たちみんなここで元気に生きてるよ!」と、
佐藤先生や私たちに言ってるかのようで、最高嬉しかった。
ナメクジウオ。ナメクジにあらず、魚でもない。
私たち脊椎動物の祖先のさらにその前の脊索動物。
目はない、背骨の代わりに脊索と呼ばれるものがある。
生物進化の過程を如実に見せてくれる。
またこれが生息できるということは環境的に見ても、
太古からの自然が連綿と続き、とても清らかな場所であるということ。
新井先生の長年の調査によれば、島に降った雨が地面に染み込み、
そのまま地下湧水となって、田ノ浦の入江の海底から海水と混じりながら
湧き出てくると場所ということだ。
なるほど、
田ノ浦の海水温はなんだかちょっと低いし、
一般的な海水の苦々しいしょっぱさはなくて、飲めるほどのマイルドな塩味。
(美味しい、と感じられる)
おそらくそういう場所は各地にあったはずだが、
護岸工事や、道路整備のために、山や陸からのつながりが失われ、
まずしい生命環境になってしまっている。
さて、参加したお子さんたちも嬉々として続々いきもの発見。
初めて見るような、稚魚の群れ、貝、カニ、ゴカイ、イソギンチャク、ウニ、
それに海藻に偽装してる摩訶不思議な形態のウミウシ・・・。
動いてる、動いてる。佐藤先生によるれぞれの生き物の習性を
楽しくわかりやすくしかも詳しく説明していただき、
生物多様性のホットスポットであるこの田ノ浦の重要性を再認識した。
姿を見せてくれた生き物たちを元の海に返して、会を終了した。
「元気でね〜。またくるよ〜」
この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 (敬称略:五十音順)