『岩波生物学辞典(第5版)』によると、「生物のもつ構造、機能や運動を工学に応用して役に立つものを作り出すやり方、目的により、どの生物の、どのような機能を使うのかが異なり、対象とする生物を忠実に作り出すのではなく、生物の構造、機能や運動を利用する」ことだそうです。
生物模倣技術と呼ばれることもあり、新しい技術開発やモノづくりに生かされています。皆さんもよくご存じの「マジックテープ」は、「ひっつき虫」と呼ばれるオナモミの種子の表面の棘が毛につくことをヒントに作られました。
鳥に関して言えば、新幹線のパンタグラフの騒音を低減させるため、静穏飛翔のできるフクロウの羽の形状がヒントになりましたし、トンネルドンと呼ばれるトンネル微気圧波への対策として新幹線500系車両の先頭車のノーズの形状は空中から水中に小魚を捕食するためにダイビングするカワセミの嘴から頭部にかけた形状が参考にされました。
また鳥の翼の機能も航空機に活かされています。大型の鳥が翼の先(初列風切外縁部)を上方にそり返して飛んでいることがありますが、皆さんも主翼の先端が上にカーブした旅客機を見たことがあると思います。
これはウイングレットと呼ばれ、空気抵抗を減らすことで、燃費の改善に役立っています。
その他にも鳥の羽毛の色彩、なかでも金属的な光沢を放つ色彩(色素によらない発色で構造色と呼ばれる)を利用した製品も開発されています。このように自然から学んだものが多数あるのです。