2022年08月26日

【鳥の散歩道5】鳥の名前の取り違え

私たちが上関の海で生息調査をしているカンムリウミスズメは、

漢字で書くと「冠海雀」、英名はJapanese Murrelet

学名はSynthliboramphus Wumizusumeと表記されます。


カンムリ飛び立ち220108.jpg


学名は世界共通ですが、鳥の呼び名は各国で違い、私たちが通常使っているカンムリウミスズメという呼び名は「標準和名」と言われるもので、学名のように命名規約があるわけではありませんが、鳥によってはたくさんの地方名を持つものもありますから標準的な和名として使われています。

動物命名法の起源は18世紀リンネの命名法1)にあって、学名はラテン語で表記され、第一名は属名、第二名は種小名と決まりがあります。属とか種、ややこしいですよね。

生物の分類を上位から人でたどってみると、動物界→脊索動物門哺乳綱霊長目ヒト科ヒト属ヒト(種)となります。因みに鳥は、鳥綱で次に各目があって科、属、種となりますが、基本単位である種の定義は案外やっかいなので、ここでは触れません。

鳥の学名の話で一番有名なのは、コマドリ(Luscinia akahige)とアカヒゲ(Luscinia komadori)の取り違えでしょうか。学名は国際動物命名規約に基づいて命名されるため、一旦受け付けられると、簡単には変更できないのです。

既にお気付きの方もあるかもしれませんが、カンムリウミスズメの学名をご覧ください。「ウミズスメ」となっています。私は当初、聞き違いによる間違いかと思っていましたが、こうしたスペルミスは、シーボルトが標本の情報として日本ではこう呼ばれているとオランダの研究者たちに伝えたことから、つまり余りにも日本通だったことに原因があったようです。

また、コマドリとアカヒゲの取り違えはシーボルトの標本の取り扱いからしてありえないので、シーボルト事件の時に役人の取り調べで荷物が開封されたらしく、その時の手違いではないかという説すらあります。私たち日本人は和名と学名の不整合に違和感を覚えますが、他の国の人にとっては単なる記号としての意味しかなく、取り違えはまったく気にならないでしょう。

ところで、次の日本産鳥類目録の改訂でアカヒゲの亜種とされているホントウアカヒゲが種として独立するのではないかという話がありますが、一体、学名はどう標記されるのか、興味は尽きないところです。


カンムリ220108.jpg



        

1)カール・リンネ Carolus Linnaeus (1707-1778) 

スウェーデンの物理学者・植物学者 「二名法 binomial」を発案。 

『キャンペル生物学』監訳 池内昌彦他 丸善出版 2013年




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2022年08月21日

22年8月のカンムリウミスズメ調査報告2


8月21日(日)カンムリウミスズメ生態調査の報告です

結果 一羽も確認できませんでした 終わり

イヤイヤ内容を少し。

Tさんを柳井駅にお迎えに上がり、920分頃白浜港へ

港でRさんと合流。

9時30分出港。

広島は4時ころ凄い雨、こりゃ中止だなと思ったけれど。6時ころ雨が上がったので出発。

柳井に近づくに連れて、晴れ間が見えて来て大丈夫かな??

白浜港は曇天だけれど凪。

まずは島の南西を目指し、それから南を抜け、田ノ浦西で昼食。

出港時は南に黒い雨雲が掛かっていたので、船長が、一雨の後、突風もあるかなーと言っていたが、何と無風、晴れ間も出てきた。波もなく、将に「油を流したような」海面も現れるほど。「カンムリが何処に居ても見えるね」と話すが、そのカンムリの姿が何処にもない。

 とうとう午前中は1羽も見れず。田ノ浦西の海上で昼食。

その時何故かエイの話になり、研究者はここ上関で研究をしていること、急にエイが増えた事、被害が大きい事、駆除に困っていることなど話が出ました。

午後は島の南を通って東へ出て他島の横を通って白浜に帰りました。

今回は カンムリウミスズメ ゼロ

 ウミネコ      3羽 


水浴び中のウミネコ220821.jpg


(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2022年08月20日

22年8月のカンムリウミスズメ調査報告1

8月20日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

なんとかカンムリを1羽、見つけることができました。

概況を記します。


天気:くもり(時折、日が差す。昼前に一時降雨あり)

調査時間:9:28から14:47まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1



この日は、調査が急遽決まったこともあって、船長さんを含めても3人という調査体制なので責任が重い。とはいえ、カンムリとの遭遇確率の低い時期でもあり、気合だけではどうにもならない。

港を出てしばらくはウミネコの着水個体がポツポツとあり、四代沖までで延べ20羽くらい見られた。若い鳥も結構いた。横島近くで、1匹だがダンスを踊るように飛び跳ねる小魚を目撃。これが、DVDで見たことのある「イカナゴのダンス」1)だろうか。

その後は、途中、サメを1匹見ただけで、沖合まで何も出ない。それまで余り感じなかった船の揺れは、沖合に向けて走り出すと、さすがに南からの波を受けて、船の上下動が激しくなる。

沖合をしばらく東へ進んだ後、北寄りに進路を変えてすぐ、右舷に怪しい鳥影を見つけ、船を寄せてもらう。北寄りに進み始め、波が後ろからくるため、船の揺れは余り感じなくなっていたが、鳥のいた方向へ向きを変えると船が揺れ始め、私は一瞬、鳥を見失う。

船長さんから、「目の前にいる」と声がかかり、1羽だったが、カンムリを見つけることができた。


カンムリを見つける220820.jpg


さすが船長さん、鳥のいた方角へ船を確実に進めていてくれたのだ。この個体は、あまり警戒する様子もなく、繰り返し、水中を覗き込む。


水面下を覗き込むカンムリ220820.jpg


船の揺れでファインダーの中に鳥を入れるのが困難な上、鳥の方も波間に見え隠れし、その上、頭を水中に突っ込むため、顔を上げた写真が中々撮れない。


カンムリ220820.jpg


切ったシャッターの割にはまともに写ったものがほとんどなかった。条件が悪いのだから仕方ない。でも1羽でも出てくれたのだから、カンムリ様様である。この個体、観察中、一度も鳴き声を発しなかったので、ペアのもう1羽はいないだろうということで、次を探すことに。

島沿いにしばらく進んだ後、進路を西に変え、走っていると西の空が怪しくなってきた。そうこうしていると遠くに見えていた島が霧の中に消え、雨がポツポツと降り始める。どんどん激しくなってくる。船の進路を北寄りに変えたので、このまま帰港かと思っていると、再び、船は西向きに進みはじめ、天気の方も雨が上がり、薄日が差し始めた。通り雨だったようだ。

後でGPSで記録した航跡図を見て分かったことだが、船長さんは、この最近、カンムリが見られたところをその日の調査コースの中に入れ、丹念に周回しているのである。船長さんの頭の中には、きっと正確な海図があるのだろう。

お昼もだいぶ過ぎたので、宇和島の島陰で停船し食事を摂る。決して大きな島ではないのに、あれだけあった波が、島が一つあるだけで、凪いでしまうのだから不思議である。揺れる船で双眼鏡を使っていたからか、私も少し船酔い気味。何とかニコニコ亭の弁当は完食したが、用意してきたお茶うけは、さすがに食べることができなかった。因みに、この日配ったのは、六日市で買った「麦ころがし」と日原で買った個包装の「源氏巻」。いずれも島根県のお菓子だ。六日市は今は吉賀町で先日亡くなった森英恵さんの出身地らしい。奇遇と言えなくもないが、たまたまドライブに行った折、買い求めたもので、賞味期限ぎりぎりセーフ、この日の調査がなければすべて私の腹に入る運命だったものだ。

いつものことだが食事が済むとすぐに調査を再開。しばらく胃の辺りばかりが気になる。船は横波を受けてローリングする。向かいの波のピッチングもきついが、横揺れはなおきつい。さすがに双眼鏡で遠くを見る頻度は下がった。実際、波がある時は、双眼鏡の有効距離は目視可能な距離とあまり変わらない。

船の進行方向は、お盆に船長さんがカンムリのペアを見た海域に進んでいるようだ。1週間前くらいの情報なので、行ってみる価値はある。しかし残念ながらカンムリはヒットしなかった。後ろからの波なので、あまり船は揺れず、胃の具合は少し収まったものの、今度は激しい睡魔との戦いが待っていた。立ち上がってみたり、腕を上に伸ばしてみたりと抗うが、座ると、また眠くなる。

何とか耐えて横島沖から地寄りに最終局面に入るも午前中見かけたウミネコすら見かけない。上関大橋付近で、やっと海面すれすれを飛ぶカワウが1羽。白浜港に入港した時、奥の砂浜にウミネコの群がいた。どうりで海上では見かけなかったわけだ。

下船後、岩壁からウミネコの群を撮影する。砂地で休んでいるものや水面で水浴びしているものもいる。ざっと30羽くらいいただろうか。若鳥が多い。今年生まれのものが繁殖地から飛んで来たのだろう。本県の瀬戸内地域に繁殖地はないので、四国や九州方面に繁殖地があるのかもしれない。

この日の調査は、少ない調査人員で1羽でもカンムリを見つけられたのだから、「お手柄」と言っていいだろう。陸に上がっても、胃のあたりの不快は、依然、取れない。本当に久方ぶりの船酔いだった。


  

(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



        

1)イカナゴダンスの映像は、上関の自然を守る会発足15周年記念DVD「未来へのおくりもの 上関原発予定地は“奇跡の海”」に収録されています。詳細は ホームページの販売 をご覧ください。



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