2022年06月12日

22年6月のカンムリウミスズメ調査報告1

6月12日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

やっとカンムリに出会うことができました。個人的には2月8日以来でしょうか。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:40から14:40まで

調査結果:カンムリウミスズメ 6(1+5)



山口県は前日に梅雨入りしたそうだが、翌日は何故か好天に。日差しが強く、厳しい調査となりそうな予感。乗船後、Mさんから今日は海上のプラゴミの撮影をお願いしますと、調査以外のミッションが入る。

島のコウモリ調査の機器が不良とのことで、研究者のTさんは上陸を予定されていたが、近くの磯まで船を寄せたものの、潮の関係で上陸できず、修理は持ち越しとなる。上陸となると、機器自体は洞窟の外にあるのだが、一応、洞窟内を見ておこうということになり、また、あの黴臭い洞窟の中に入ることになる、今回は作業のサポートは遠慮したいなーと、心の中では思っていたので、中止になってホッとした。

海況はべた凪というほどではないが、飛沫をかぶるような波ではない。蒲井沖に釣り船がたくさん出ているのが目に入る。船長さんの話では、イワシ漁をしているとのこと。いつも潮目ができていてゴミ海域となっている宇和島手前の海域にさしかかっても、この日は浮遊物はおろか、潮目すら確認できない。

沖合へ進み、航路筋を東方へ船を走らせる。北向きに進路を変えてすぐのこと、潮目に浮遊物がちらほら見られるようになったところで船を減速、プラゴミの撮影の指示が出る。

船長さんが冗談交じりに、「ゴミの中にカンムリがいたりして・・・」と言うと同時に、本当にカンムリが1羽、肉眼でも分かるところに浮かんでいた。


1羽でいたカンムリ220612.jpg


まさに「冗談から駒」(なお、「瓢箪から駒」も「冗談半分のことが事実になる」という意味でも使われるそうなので、「瓢箪から駒」でも間違いではなさそだ)。鳴き声を発していたので、近くに別のカンムリがいるかもしれないと探したが、見つからなかった。

それから何分も走らないうちに、5羽の群れが見つかる。


5羽のカンムリの群れ220612.jpg


明らかに今年生まれの幼鳥と分かるような個体は混ざっていない。この5羽、どういう構成なのか、二つの家族群?、それとも今期繁殖しなかった若鳥グループ?、1羽でいた個体とは換羽の進み具合が違っていたので、1羽と5羽は、まったくの別グループなのかもしれない。謎は深まるばかりだが、写真判定を含めて今後の課題である。

今回は、どの個体も羽搏きをしなかったので、翼の換羽状況は分からなかったが、撮影した写真から尾羽の換羽状況に違いがあるように思われた。


尾羽の換羽状況の違い220612.jpg


これまであまり尾羽に注目してこなかったので、現時点では何とも言い難い。

祝島の沖合に船を停泊させ、弁当を食べ始めた時、船長さんに電話が入り、知り合いの船から魚を受け取ることになる。弁当に蓋をして、全速力の走行に備える。相手の船もこちらへ向かっていたので、すぐに出会えた。大きなチダイやウマヅラハギをたくさんもらって、クーラーボックスに詰め込む。

そこで再び停船して、弁当の続きを食す。食後のお茶うけに近所の人からもらった洋菓子を配る。一服すると、もう船長さんは船を動かし始めた。祝島を離れるころ、上空を1羽のミサゴが通過、祝島方向へ飛んで行く。

ミサゴの巣の状況が気になったが、船を近づける気配はなく、仕方なく遠目ではあったが、巣のある岩棚を撮影する。撮影した画像を拡大すると岩の上に2羽が座っているのが確認できた。継続した観察をしていないので、繁殖ステージは不明。撮影した画像からでは雌雄、成幼の識別も不可能なため何とも言えない。

沖合の航路筋を走行中、研究者のTさんがチョウが飛んでいるのを見つける。慌ててシャッターを切るが、ものが小さいので、画像を確認してもシロチョウの仲間だろうということくらいしか分からない。

昼を過ぎるころから、海上は午前中とは同じ海域とは思えなくらい波立っていて、カンムリの見られた辺りも波立ちのせいで見通しが効かず、再度の出会いは叶わなかった。

午前中、蒲井沖にいた釣り船は、平郡島沖に移動していた。魚群の動きも潮との関係があるのだろう、そういえば今回、浮遊物が少なかったのも、潮の動きが関係していたのかもしれない。その後も注意深く、海上を見つめ続けたが、時折、遠くにウミネコが飛ぶのを見ただけで、帰港間際にカワウを見て、調査終了となる。


(この調査は、地球環境基金、

 パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金

 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



posted by Sunameri at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 調査報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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