2022年05月26日

【鳥の散歩道3】“赤い襟”と“ヒレが足”の鳥?!


なかなか覚えられない鳥の名前も、このページを読んだ後は一種名が記憶に残るかもしれません。


アカエリヒレアシシギ群れ220526-1.jpg


5月7日のカンムリウミスズメ調査時に、30〜40羽の鳥の群れが見られたが、そのうち群れが西方へ飛んで行く。群れがばらけたのか、散開したアカエリヒレアシシギが海上に浮かんでいる。この時期ならではの鳥だ。


今回出会ったアカエリヒレアシシギは、ここ上関では春と秋の渡りの時期に見ることができる。100羽を超えるような大きな群が見られることもあるが、大抵は数羽から数十羽の群だ。結構、警戒心が強いので、不用意に近づけば飛ばれる。遠くに着水しているのを見つけるか、飛ばれて気づくか、いずれかのパターンがほとんどである。


アカエリヒレアシシギ群れ220526-2.jpg


全長は19cm、羽根を広げると37cm、長距離飛行に向いた翼の形状をしている。水に浮くこともでき、名前の通り、鰭足(ひれあし)で泳ぐこともできる。海洋だけではなく、海岸近くの池沼に入ることもあり、時々、ナイター中の野球場に大群が飛来し、試合が一時中断して、ニュースになることも。


また、この鳥は、変わった繁殖生態を持っている。繁殖期における雌雄の役割が普通の鳥とは異なっているのだ。卵を産むのはメスだが、抱卵や子育てはオスのみが行うのである。メスは卵を産んだ後は、また別のオスと番(つがい)関係を結ぶ。その後は子育てをオスに任せ、繁殖地を早めに去って行くとのこと。

こうした雌雄の役割が逆転した鳥は、タマシギ(留鳥)やミフウズラ(南西諸島に生息)などが知られているが、こうした種ではメスが派手な色彩をしており、オスは地味である。


名前の「アカエリ(赤襟)」は夏羽(繁殖羽)の頸部の羽毛が赤いことから付けられた名称だろう。

色合いの薄い個体がオス。


アカエリヒレアシシギ夏羽220526-3.jpg


冬羽(非繁殖羽)は背側が灰色で全体に白っぽい色に変わる。


アカエリヒレアシシギ冬羽220526-4.jpg


確かにこの鳥の繁殖生態は変わっているが、子育てはメス任せという鳥もいれば、雌雄が協力して行う鳥もいる。ヘルパーとして兄弟などが加勢する鳥までいるので、人間の価値観や倫理観であれこれ言うべきではなく、カッコウなどの托卵習性と同じで、そのように進化してきたと理解した方が良さそうである。



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2022年05月23日

〖中止のお知らせ〗瀬戸内クルーズ&交流会

《 重要 》


この度、表題の件につきまして新型コロナウィルス感染拡大防止を鑑み、22年6月3日〜4日に予定しておりました「瀬戸内クルーズとの交流およびヨット試乗体験会」をやむなく中止することに決定しました。

参加をご検討くださった皆様には、深くお詫び申し上げます。

何卒、ご了承のほどお願いいたします。


平素より、上関の自然を守る会の活動にご理解とご協力をいただきお礼申し上げます。




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2022年05月17日

22年5月のカンムリウミスズメ調査報告3

5月17日(火)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

3日連続の調査の中日、私が運気を下げているのか、今回もカンムリとの遭遇はありませんでした。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:10:05から14:55まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0

アビ類 2(シロエリオオハムの夏羽個体と思われる)



前日の調査では、これまでカンムリの親子連れが目撃されたことのある地点を重点的に回ったが、見つけることができなかったので、この日は調査ルートを変えてみることに作戦を変更。最終日はまた、記録のある個所を集中的に回るそうだ。


出港後すぐにスナメリが出現。当の私はGPS機器の動作確認をしている最中で、2回目の浮上は何とか目撃できたが、慌ててカメラを用意してからは、お決まりのようにスナメリの浮上はなかった。


島ではアマツバメが5羽、島の上空を飛び回っていた。いつもながら飛翔スピードについて行けず、撮影に苦労する。


アマツバメ220517.jpg


その後、別の個体がどこからか飛んで来たようで、少し数が増えたが10羽には届かない数だ。後で、アマツバメの調査をされているW先生やUさんに聞いたところ、島には朝、夕には集まっているそうで、数が少ないのは時間帯のせいらしい。私は、まだ数が少ないので、繁殖ステージとしては巣材集めの時期かと思っていたが、W先生は既に抱卵に入っているとおっしゃっていた。


島を周回している時、上空ばかり見ていたので、気づくのが遅れたが磯からクロサギが1羽飛び出した。


クロサギ220517.jpg


反対側にいる時、黒っぽい鳥が裏側へ飛んで行ったのをチラッと見ていたが、すっかり忘れていた。不注意というしかない。


海況はべた凪ないしはさざ波といったところで、船の揺れも沖合を通過する船からの波(航跡波と言うらしい)によるものが時折あるのみ。見通しは良い。東方海上を進んでいくと、ウミネコがポツポツと浮かんでいるのが見られるようになった。ほとんどが若い色目の悪い個体ばかりであった。ウミネコは綺麗な成鳥の色合いになるのに4年くらいかかるそうで、ここにいた個体の多くは繁殖に参加しない個体だったのかもしれない。


航路筋のいつもよりずっと南側を進むも、まったく当たりが出ない。途中、何度か大きな潮目があり浮遊物の漂う海域があったので、目を凝らしゴミと鳥の峻別を繰り返したものの、時に紛らわしいゴミに惑わされることはあったがカンムリではなかった。


大回りで沖合を回っている時、島の西方に鳥影を見つける。そちらに船を進めてもらうと早々と潜って消えた。行動からアビ類と当たりをつけ、深追いせず浮上を待つ。再浮上した2羽のアビ類、ほぼ夏羽に変わったシロエリオオハムのようだ。上面の白いデジタル斑だけでなく、後頭は灰色味を帯び、首にはハッキリとした縦筋が見られる。


アビ類220517.jpg


黒褐色と白色の冬羽とは大違い。とても同じ鳥とは思えないほどの変身ぶりである。結局近づけなかったので、鮮明な写真は撮れなかったが、夏羽個体に出会えることは、そうそうないので、これはこれで嬉しい。


再々浮上を期待したが、見失ったところで、船を止め、そのまま海上で昼食休憩に。弁当は、いつものニコニコ亭の手作り弁当。食後のお茶請けは、先日、羽田空港で買い求めた虎屋の羊羹(空港限定商品)。一口サイズの羊羹7本入りが何と2160円。羊羹と言えば虎屋なので、致し方ない。私も1本いただく。オーソドックスな「夜の梅」(小倉羊羹)を選ぶ。好みもあろうが、私は「夜の梅」以外なら、「おもかげ」(黒砂糖入羊羹)が好きだ。


午後からの調査も、引き続き、大回りを続け、久しぶりに島と島の間を抜けるコースを進んだ。以前にハヤブサを見ているので、時期的には巣立ったばかりの幼鳥が見られるかもと内心期待していたところ、遠目に島の上空を3羽のカラス大の鳥が旋回飛翔しているのが確認できた。


何とかその鳥がハヤブサと確認できたので、船長に「ハヤブサ!」と声を掛けるが、カンムリ探しに集中しているらしく、反応はない。飛び方から、幼鳥の飛行訓練をしているのではないかと思ったが、3羽の構成が分かる写真が撮れなかったので、行動の意味は解明できないまま。

アビ類もハヤブサも上関海域の自然を象徴する鳥なので、個人的にはカンムリと同等に関心があるし、新たな知見も得たい。でも私の個人的興味を優先させるわけにはいかないので、記録写真だけ押さえに撮っておくことにした。

急に南からの風が強まり波立ってきた。風通しが良いのかもしれない。この海域を抜け進むと、波は収まり、海上はまた穏やかになった。カンムリの親子連れの期待できる海域にやって来たので、集中を切らさず探したが、遠くをウ類が飛んで行くのを見たくらいで、とうとう沖に至る。


最後にスナメリのご褒美を期待したが、これもなし。白浜港は干潮で、いつも船を着けるところの階段から上がることができず、奥の桟橋からの上陸となる。シーパラまでの道のり、惨敗の悔しさから、重い荷物が余計に重たく感じる。萩の見島や道北で、運を使い果たしたのかと、つまらない考えがよぎるが、リベンジ、リベンジと言い聞かせ、カンムリとの再会を誓う。



(この調査は、地球環境基金、

 パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金

 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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