2021年11月17日

11月のカンムリウミスズメ調査報告2


11月17日(水)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

このところの調査結果から半ば諦めていたのですが、11月としては快挙と言える二桁のカンムリを見つけることができました。年内に「長いトンネル」を抜けることができてホッとしています。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:30から15:20まで

調査結果:カンムリウミスズメ 13



出港後、しばらくはさざ波程度だったが、沖合へ進むに連れ、うねりが出てきて船が揺れる。前回、荒れる海を経験しているので、さほど気にならない。白波が立つほどではないので、目視に加えて、双眼鏡も使えるMさんとTさんは前日も午後からカンムリの調査をされ、夜にはコウモリの調査で室津半島の山坂を往復10キロも歩かれたそうなので、元気な(?)私が今日は頑張らねばと気合を入れて、鳥を探した。

しかし、ウミネコの着水個体が時折見られるものの、近辺であちこちに浮かぶウミネコを見るまで、ほぼ鳥らしい鳥を見かけなかった。いつもより相当沖合まで出てみたがカンムリの姿はない。

一度、Mさんの見つけたサメの背びれにカンムリ!と、ぬか喜びするという笑えないエピソードがあったが、やはり今日もダメかと、諦めムードが漂う。

祝島入港時、船に驚いて飛び立つアオサギや防波堤の街灯上に止まって羽毛の手入れをしているウミネコ、船着き場にはハクセキレイと次々に鳥が出る。湾内にカワウがやってくるし、上空にはトビも舞っている。

Tさんは、昨日の弁当と内容がガラリと替わっていることに感心されていた。さすがニコニコ亭、というところか。

船長から、先日渡した軍用艦船の写真データについて、早速、山陽小野田市に住む中学生に送ってやったところ、凄く喜んでいたと、お礼を言われた。私も鳥の出ない時の「手慰み」が役立って嬉しい。

お茶うけの用意ができなかったので、グリーンコープの冷凍どら焼きを解凍したものを持参した。4個入りだったので、数が足らず、私は我慢することにしたが、TさんがMさんと半分こにするからと言って、私に回してくれた。

前の日の調査は、海がかなり荒れたらしく、参加した私以外の4人は、今日は穏やかでいいと口々に言っていた。このところ船上での昼食が続いていたので、私は陸でゆっくりできたことの方が有難かった。

各人の充電完了後、午後からの調査に出発。港を出る時、飛び出したアオサギが釣り船の舳先に止まる。船には人も乗っているのに平気な顔(?)をしている(ついつい「擬人化」してしまいました)。珍しく祝島の防波堤にカモメ類が休んでいなかったが、少し沖合へ出ると20羽以上の群れがいた。

船は海域をどんどん進んで行く。カンムリ遭遇率の低さからか、船長はこの海域を余り走りたがらない。おかしいなと思っていると、又聞きのようだが、1週間くらい前、祝島の漁師さんがカンムリを2羽見たとの情報があったらしい。その確認のためにやって来たようなのだ。

赤潮が帯状に広がっている海域をしばらく進んだところで1羽でいるカンムリが見つかり、一同大喜び。この個体は、繁殖羽への換羽が進行中というか、始まったばかりのようである。


1羽でいたカンムリ飛び去る211117.jpg


久しぶりの出会いだったので、しばらく観察・撮影に没頭する。この1羽が飛び去った後、祝島の漁師さんの話では2羽見たということなので、まだ近くに別の個体がいるのでは、という話をしていると、Mさんが沖合に3羽でいるカンムリを見つける。


3羽で行動していたカンムリ211117.jpg


船を寄せようとするが、この3羽、泳いだり潜ったりを続け、まったく船を近づけさせてくれず、最後は飛び去られてしまった。またすぐに、またしてもMさんが反対方向にいるカンムリを見つける。

双眼鏡で確認すると5羽いるではないか。そちらに船を回しかけた時、Tさんが右手に2羽でいるカンムリを見つける。両方を追えないので、5羽の方へ船を進める。この群れは、ほとんど繁殖羽への換羽が進んだ個体ばかりのようで、一列になったり、密集したかと思うと散開したり、飛び去ることもなく、しっかり姿を見せてくれた。


5羽でいたカンムリ211117.jpg


観察を切り上げ、先ほどの2羽を探しに船を進めていると、Tさんが右舷に、その姿を見つける。このペアは、ほぼ繁殖羽に変わっている個体の組み合わせだ。

この2羽が飛び去った後、少し地寄りに船を進めていると、2羽のカンムリが見つかった。船長は、先ほどの2羽の飛んで行った方向から、同一ペアではないかと言っていたが、船上で各ペアの羽衣の換羽状況を確認したところ、2回目に見つけたペアの1羽がほぼ非繁殖羽であることから別のペアと分かる。

これで計13羽確認したことになる。そもそもこの海域では何度か記録はあるものの、これだけ多くの個体を確認したことはない。しかも出現頻度の最も少ない11月にである。一同、気をよくして帰路につく。

亀石灯台のてっぺんに止まっていたミサゴも頭上に飛んで来たトビも気軽に撮影できる。カンムリが出ると出ないでは、こうも気分が違うのだろうか。白浜港の慌てて飛び立つカワウさえ、微笑ましく感じるのだから・・・。




(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、

 パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金

 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




いつも報告書は翌日に仕上げるように心がけてきました。それは年齢に伴う記憶力の低下に対応するためです。脳の記憶機能について詳しくは分かりませんが、これまでの経験から、なるべくエピソードとして記憶に残しておく、そして忘れてしまわないうちに文章化することができれば、何とかなるということです。たまたま今回は調査の翌日に萩市見島行きを計画していたもので、それが叶いませんでした。

最悪の事態を考え、帰りの列車の中で、調査時間と調査範囲(コース)だけは手帳にメモしておきました。後は撮影した画像を頼りにエピソード記憶を呼び起こし、何とか報告書を仕上げた次第です。苦労をお察しください。

見島では、あまり鳥が出なかったもので、毎日、自転車踏むこと6時間、標高差約100mの山坂を3度上り下りしました。いくら電動アシスト車と言えども、太ももはパンパン、お尻も痛くて、サドルの上を左に右に、前に後ろにお尻の位置を変えながらの走行です。何がこの苦行を強いてまで鳥見に走らせるのか、自分でも分かりません。

しかし、趣味とは言え、鳥の行動を観察しながら、またいろんなことを考えながら身につけた知識や下手な鉄砲でも数打つことで写真撮影の技量を向上させることが調査にも役立っているのではないかと思います。MさんやTさんとは同学年ですが、体力や知力は劣るものの長年の「修行」で得た経験は不足分を補ってくれているのではないでしょうか。


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2021年11月04日

11月のカンムリウミスズメ調査報告1

11月4日(木)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

波風と闘いながら頑張ったのですが、カンムリを見つけることはできませんでした。個人的にはなかなか「長いトンネル」から抜けられません。

概況を記します。


天気:晴れ

調査時間:9:30から13:45まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0



出港後、上関大橋の本格的な修復工事が始まったとのことなので、橋の写真を撮る。


修復工事が始まった上関大橋211104.jpg


いつまでも長島と平行に進むので、いつものコースとの違いに「ん?」とは思ったが、その時はそれ以上、深くは考えなかった。確かに前2回の調査時とは波の向きが逆の西寄りではあったが、荒れているというほどではなかった。

天田島東岸は島が風を遮っているので、とても穏やかで、上空をトビが何羽か舞っていた。ミサゴも後から加わったが、距離があったので撮影はパス。

島陰を抜けると一変し、白波の立つ、荒れ海に。カメラはバッグにしまい、双眼鏡もライフジャケットの内側へ、船は大きく揺れ、目視観察もままならない。それでも何とか船長の操船で沖合までやってくる。

遠く、豊後水道を望むと、白波が立ち、「沖つ白波立つたやま」といった風情。カメラを取り出すのも憚られたが、証拠写真にと沖合を撮影する。広角で撮影したため、荒れ具合が分からない写真とはなったが、相当なものだった。

その後は、波に向かったり、避けたりとジグザグに内寄りに進み、カンムリを探す。この間、何度も飛沫を浴び続けたが、太陽光線の向きが良かったのか、飛沫に虹がかかり、苦行の中でも何かしらいいこともある。飛沫がひどく顔を正面に向けられないので、鳥探しも右舷のみに集中。

たとえ鳥が見つかったとしても観察どころではなかっただろう。平郡島・八島間海域まで来ると、さっきまでの波風が嘘のように、海は穏やかになり、観察道具も撮影機材も取り出せる状況となった。霞んではいたが遠くに佐田岬半島の風車が望め、これまで気づくかなかった橋らしきものも見えたので撮影。後で調べると新長浜大橋と分かる。


新長浜大橋?(伊予長浜)211104.jpg


双眼鏡を駆使し、カンムリを探すが、かなり遠くまで見渡せるものの、ヒットせず。例年になく、島々の紅葉が美しい。今年は残暑が長く続いた後、急に冷え込んだからかもしれない。

八島の紅葉を何枚か撮影し、風の当たらな場所に停泊して昼食休憩。前日、鳥探しに行った秋穂で買い求めた「秋穂饅頭」を食後に配る。


八島の紅葉211104.jpg


同じ上関の海なのに、西と東で、これほど海況が違うことに驚かされたが、船長も予想以上に荒れたことで、船の操縦には相当神経を使ったようだった。

船長の漁の話から新たに分かったことがある。漁場に漁船が並んでいるのをよく見るが、船の位置はくじ引きなんだそうだ。中心から遠くなるほど水揚げは少なくなり、くじ番によっては別の漁場へ移った方がいいこともあると。魚種によっては回遊するので船の位置に左右されないこともあるのだとも。

食後すぐ、午後の調査を開始。しばらく東寄りに船を進めた後、反転し西方へ向かうが、先ほどまでは穏やかだった海が波立っている。

八島の北端(与崎)を過ぎると、一層激しさが増してきた。横波を舵取りでうまく避けながらながら北上したところで、船長から今帰らないと大変なことになると調査中止の判断が下る。クーラーボックスの上に座っていた私も船底に場所替えするようにと。急な話だったので前のTさんの椅子とクーラーボックスとの間は僅かな隙間しかない。渡された小型の折りたたみ椅子に腰かけたが自分のバッグも足元にあって、窮屈この上ない。

フードがあれば被るようにとの指示もあったので、雨合羽のフードを帽子の上から被る。それからの10〜15分は、船は大揺れ、飛沫を頭から何回浴びたか分からない。椅子に座ってはいたが、ほぼ中腰状態で耐えた。

やっと白浜の家並が見え始めた頃、何とか人心地着く。強い向かい風の中をカラスが2羽、船を追い越し、白浜方面へ飛んで行く。そのスピードと力強さに、鳥って本当にすごいと思った。濡れネズミにはなったが、船長の適確な判断で無事帰港できたことに、改めて感謝である。



(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、

 パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金

 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



調査終了後、前回約束した鼻繰島で撮影したハヤブサの写真を額装したものと、これまでの調査時に撮影した軍用艦船の画像データを船長に渡しました。ハヤブサの写真は上関大橋の下にある「おふくろ」というお食事処に飾ってくれるそうです。


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