10月9日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
今回も残念ながらカンムリを見つけることはできませんでした。
概況を記します。
天気:晴れ
調査時間:9:48から15:15まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
出港時、風と波が結構あったので、双眼鏡は使わず目視で観察することにした。島陰を進んでいる時は波も穏やかだが、沖合に進むにつれ、船の上下動が激しくなる。
島の手前の海域で浮遊物がたくさん見られたが、確認できたのはウミネコの着水個体のみであった。今回もクラゲの採取。頑張ったかいがあって、大きなクーラーボックスが満杯。ウマヅラハギ漁では1回にクラゲ4杯くらいは必要なので、これでも二日分くらいの量だそうだ。クラゲなら何でもいいのではなく、白くてぬめった長いひだひだのあるやつではないとダメとのこと。
先日、息子さんがクラゲを採りに行ったが、収穫はゼロ。島周辺にはいくらかいるのだが、海況によっては船を寄せるのが難しいこともあるらしい。
クラゲ漁の間、私は上空を旋回するミサゴの写真を撮ったりして時間を潰した。島の尾根筋をヒヨドリの小群が移動しているのが見えたので、シャッターチャンスをうかがったが、ハヤブサを警戒しているのか、飛び出しは見られなかった。
島の南側へ回り込んだ時、ハヤブサが飛び出し、突き出た岩場の裏側に消えた。ヒヨドリの動きがないのは、やはりハヤブサを警戒していたのだ。
途中、海上をこちらに向かって飛んでくる鳥を見つけるが逆光で種が特定できない。近くまでやってきて、やっとミサゴと分かる。もう1羽、後から飛んで来た。ペアだろうか。2羽が旋回飛翔していたが、島間が近いので、島で繁殖している家族群なのかもしれない。秋には今年生まれの幼鳥は親の縄張りから追い出されるはずだが、ミサゴは教育期間が長いのだろうか。連写で撮影したので、いろんな飛翔形が撮影できた。風切り羽の微妙な使い方があって興味深い。
島の北側の岸辺でクラゲを採取している時、クロサギが3羽、飛び出す。海上を旋回したり、磯に戻ろうとしたり、落ち着かない。おかげで、いろんな背景で撮影できた。ベストショットこそなかったが、撮影した写真の中にクロサギの排泄行為が写り込んでいた。生態写真にハマっている私としては、この1枚だけで、この日の収穫はあったと言っても過言ではない。
船長は、調査の途中にクラゲを採取させてもらったことを恐縮がっていたが、私はこの島近海での観察・撮影には大いに満足していたので、ノープロブレム。
波が収まらないので、島陰で停泊し、昼食・休憩となる。ニコニコ亭の弁当にホッケが入っていたことから、地元の魚を余った時は届けて、使ってもらったらどうかとか、まだ本格的なヒヨドリの渡りが見られないという話題からヒヨドリが渡る時期は、漁師の間では「アオイヨ(青魚)が固まる」といって、ナブラが頻繫に立つようになるとか、地元ならではの話に花が咲く。
お茶うけに配った「秋穂饅頭」は前日、自転車で片道40分かけて「道の駅あいお」まで行って買い求めたものである。地元の饅頭屋の話から祝い事に配られる紅白饅頭へと、お茶うけも話題提供となって、私としても自転車を踏んだかいがあった。
岸の浜やそれに続く石垣に話が移り、岸辺を見ていると、どこからかイソシギが特徴ある飛び方で飛んできて岩場に止まった。
午後の調査に向かうため島を回り込むと、前方の岩礁の上にミサゴが1羽止まっていた。
昼食中、島の尾根筋の枯れ木に止まっていた個体だろうか。近くの岩の上にいるのはカワウのようだ。船が近づくとミサゴは早々と飛んで島の方へ向かった。波もだいぶ収まってきたが、お腹が一杯になって、眠気と欠伸に悩まされる。
結局、その後もウミネコが見られただけで、カンムリには出会えなかった。船長のお客さんを蒲井と横島で拾ったが、大漁だったようである。今回も帰りの船で、「鳥は出た」と聞かれたが、何故か爽やかな気分だった。
(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、
パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金
を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
やっと船舶の話から脱却でき、嬉しい限りです。「連戦連敗」とか、あまりに「勝ち負け」に拘っている自分が愚かに思えて、肩の力を抜いて調査に臨むよう心がけました。それが本文の最後に書いた「何故か爽やかな気分だった」の理由ではないかと思います。
10月9日は「世界渡り鳥の日」だそうですが、私自身も未だ本格的なヒヨドリの渡りを目撃できていません。ハチクマもシギ・チドリの渡りも盛期が過ぎたようなので、これからは離島の見島辺りで頑張ってみようかと考えているところです。調査には支障がないようにしたいと思っていますので、「戦果」報告を楽しみにしていてください。