10月1日 田ノ浦座り込み抗議行動報告
9月30日に突然、中電がボーリング調査準備作業を再開すると連絡が入った。
なぜ、今この時期に?
連絡してくれた方も合点が行かないようだ。
6月に始まった今回のボーリング調査は異例ずくめだ。
まず、ボーリング地点を確定する準備作業は海面占用許可がなくても出来ると6/29から開始したこと。
過去2回は出て来なかった主張を持ち出しての強行である。
次が工事期間に対する対応だ。
7月16日に準備工事を中断したまま、中電は完了に必要と彼らが過去言って来た50日?を切っても海面占用許可申請取り下げをしなかった。
公の海を特定の目的のために占用するのだから、着手完了の見込みが立たない場合は「ご迷惑をおかけしました」と早急に取り下げるのが、企業モラルではないのか?
例えば道路工事のために業者が公道を占用する場合、工事をしない場合はちゃんと「解除中」とラベルを貼り、通行車両に迷惑のかからぬように配慮している。
私たちは県議会でも山口県に対し取り下げるように勧告すべきではないかと質問してもらった。
ところが、山口県の回答は「事業者の判断によるもの」という相も変わらず主体性の全く無いものであった。
申請を出しっぱなしの事業者、許可を出しっぱなしの行政と両者馴れ合いの怠慢に本当に腹が立つ。
この海域で漁業を営んだり、利用する人たちへの配慮は微塵も無い。
浜に下りると、中電の船3隻に祝島の船10隻程が対峙している。
今までと違うのは指令船がしばしば祝島船団に近付いて何か話しかけているようだ。
これ迄は指令船は最初と最後に出てくるだけで祝島の船とのやり取りは主に説得船が担っていた。今回は指令船と説得船が交互に出て来る感じである。説得の内容については後日報告があるだろう。
今日の田ノ浦は秋晴れで、浜を吹きすぎる風が心地良い。中電だけでなく熱中症との闘いでもあった7月に比べるとずいぶん楽である。
同じやり取りが繰り返されるのを見守っていると、上空でピーというような甲高い声がする。
ミサゴだ!
尾根筋を旋回するのを追っていくと、何と近くの見晴らしの良い木の枝に止まったではないか!
まるで中電の船に睨みを利かすかのようにそちらをじっいーと見据えている。
確かに彼らにとっても、死活問題である。
昨年も今年も繁殖を確認した。
ところが目と鼻の先の田ノ浦が埋め立てられ、巨大な人口構造物が建ったら?彼らは果たして子育てを続けることが出来るのか?
そんなことを考えていた矢先、突如頭を低く下げ前傾姿勢を取ると海面めがけてサッとダイビングしたではないか!慌ててシャッターを切ったが、時すでに遅し。映像として残ったのは海面すれすれに飛び去る姿だった。
狩りには失敗したようで元の枝に戻り、しきりに羽繕いをしている。
私にはミサゴが身を以て、ここが彼らの漁場であり、生命をつなぐ場であることを示してくれたように見えた。
そして「私たちの声を届けて!」と言わんばかりにカメラ下手な私のために様々なポーズを小一時間見せてくれたのである。
私としては、とっておきの2枚をアップしておく。
昼食後も指令船と説得船が代わる代わる祝島の船に近付き話しかけるというやり取りが続いた。
15時30分工事終了。
駐車場までの道を登って行くと、大きなキノコがにょっきり顔を出し、里山の秋の訪れを告げていた。