9月26日(日)
カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
残念ながらカンムリウミスズメには出会えませんでした。
調査時間10時から16時まで
調査結果カンムリウミスズメ確認できず。
ハマチの群れとウミネコ幼鳥2羽
今日からカンムリウミスズメ撮影のためにカメラマンとの連続調査である。
例年8〜9月は確認例が少ないので「カンムリウミスズメが撮影できるまで最長5日間トライする。」という鬼のような?日程設定をお願いした。その代わり「初日で良い映像が撮れれば1日で帰っても良いよ!」といういわば出来高払いのようなお願いなのだ。
メンバーは鳥博士のHSさんが近所の憂いで急遽キャンセル。Kさんも体調不良で参加できず、何と船長とカメラマンさん、私の3人である。おのずから報告者は私しかいないわけで、プレッシャーがかかる。出発時点でこんな弱気ではだめだなと思いつつ、HS博士?を思い出し、カンムリが出なかった時のために話題性のありそうな事柄をメモる。
白浜港を出港。空にはいわし雲が浮かび秋の訪れを感じる。
ちょうど沖でLPG運搬船に出会う。ネットで船名を調べるとこの海運会社には同じ名前の兄弟船?が7隻いるようだ。2003年竣工とあり、三男にあたるらしい。
島東側を南下する頃には気温がぐんぐん上がって、着ていたウィンドブレーカーを脱ぐ。
更に島南1〜2Km.のあたりで海面がザワザワ波立っている。
ナブラだ!魚の群れの事を漁師さんたちは「ナブラ」と呼ぶ。
「船長になんの群れ?」と聞くと、ハマチの群れだという。写真に収めようと動画に切り替えたが、再生するとハマチの姿は映っていなかった。そこへめがけて海鳥が3羽舞い降りてきた。
「もしや、オオミズナギドリでは?」とカメラを構えるが、羽の動きでウミネコと判明。しかし全体が茶色っぽく幼鳥だとわかる。海面に浮かぶ2羽を撮影していると左の1羽がくちばしに長いひも状のものをくわえている。「何なのか?」望遠でカメラを構えるが、うねりが大きくなかなかカメラに収まらない。結局、正体を突き止めることはできなかったが、魚ではなさそうだ。
そうこうしていると左の鳥が放した長い獲物?を今度は右の1羽がくわえた。後ろからなのと本人の腕もありカメラに収めることが出来なかった。船長判定は「海藻かなんかじゃないか?」との事。ビニールでなければ良いがと祈りながら、彼らに別れを告げる。
島を周回し沖合から南下。
柳井火力発電所に出入りする大型タンカーを曳航するタグボート2隻がしずしずと南西方向に向かってゆく。タンカーをお迎えに行くのかと思うが通常はタンカー前方に1隻、両側に2隻、計5隻が付いている。なぜ2隻だけなのか?
「ねえ、いつも5隻なのに今日は2隻だけだね?」船長に聞いてみる。
「後の3隻は徳山港から来るんじゃないの?」と船長の答え。
この船をネットで調べると、常駐港は岩国港とある。この2隻は今朝、岩国港を出てきたものと思われる。余談だが、この発電所は70万Kw2基を擁し、燃料のLNGはオーストラリア、カタール、オマーンから輸入しているという。
遅めの昼ご飯に八島の定期船休憩所を借りようと港に入るとちょうど上関丸が出航するところで乗客が乗り込んでおられた。
船長はカンムリハンター魂が、カメラマンさんはプロ魂が動くらしい。昼食もそこそこに午後の調査にいざ出陣だ。
もう一度、島間のトライアングルコースを周回する。
風も収まりべた凪で見通しが良いが、鳥の気配は少ない。
沖合に紺と白のスマートな船舶が姿を現す。
船名から乗用車などの運搬船とわかる。乗用車900台が積載可能なようだ。
とうとうカンムリには出会えずの帰路となる。
空を仰げば、夏の名残の積乱雲と秋の訪れを告げるイワシ雲が季節の移ろいを教えてくれる。
最後に船長のアイデアで船内に設置されたベンチで、快適な調査ができたことを報告しておこう。
(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、
パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金
を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。