9月29日(水)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
前日、前々日の調査で1羽ずつながら記録されているので期待したのですが、残念ながら1羽もカンムリを見つけることはできませんでした。
概況を記します。
天気:曇りのち晴れ
調査時間:9:50から15:25まで
調査結果:カンムリウミスズメ 0
天気は薄曇り、そう視界は悪くないのだが、少し波があって、その波頭が黒く見え隠れするため、非常に鳥が見つけにくい海況。
それでも7月の調査以来、まったくカンムリに出会えていない私としては、何とか結果を出したいと海を見つめ続けた。しかし、時折、着水しているウミネコを見かけるだけで、カンムリはヒットしない。前回の調査で配られた豆菓子の残りが救命胴衣のポケットにあったので、ボリボリとやる。何か変化がないと集中が続かないので、助かった。
その日、船長にはクラゲを採取するという別のミッションがあって、島沿岸に船を寄せ始めた時、山中の木の枝にハヤブサらしき鳥が止まっているのを見つける。少し行き過ぎたので、船を戻してもらい、船上から撮影する。鳥の方はじっとしているのに、船が波で揺れて、なかなか画面に鳥が入らない。距離があるためズームの必要があって、よけいにファインダーの中に収めるのが難しいのだ。周りには木々があってピントも合わせずらい上に、船の揺れによるカメラの胴体ぶれと、撮影した枚数のわりに使えそうな画像は添付した2枚だけだった。
クラゲの方は島周辺で合わせて5個体、それも大ぶりなユウレイクラゲが採れた。なんでもクラゲはウマヅラハギ漁(籠漁)の餌で、この時期はクラゲが少なくなってきて、ウマヅラハギ漁をしている漁師さんは餌の確保に苦労されているらしい。餌のクラゲを探しにわざわざ船を出すわけにもいかないので、秋になると漁を止める漁師さんも多いとのこと。船長の息子さんがウマヅラハギ漁をされているので、調査のついでにクラゲを採取できれば、一挙両得というもの。船長は、息子は自分が何をしてやっても礼の一つもないが、このクラゲだけには、「ありがとう」と言うんだと。私も、船長に「調査、様様だね」と返す。
島を周回している時、崖からミサゴが1羽飛び出す。撮影した画像で分かったのだが、趾に魚のようなものを掴んでいたので、私たちの船の接近で食事を邪魔されたものと思われる。
他島でもミサゴが2羽、トビとともに島の上を旋回していた。こちらも撮影した画像を見て分かったことだが、1羽は換羽中の個体のようだった。添付画像の尾羽に注目してほしい。尾羽の外側の羽根が短い=新しい羽が伸びてきている? のが分かると思う。
磯から黒っぽい鳥が飛び出す。ウではなさそうだったが、すぐに島の裏側へ回ったので確認できなかった。後追いで撮影した画像を見ると、クロサギと分かる。
一旦、島から離れ進みかけた時、昼食は船の上で良いかと打診がある。私が船上での食事を嫌うので、みんなが心配してくれたのだ。このまま進んだら港へ着くのは1時前、懸命な決断だと考え、私も了承する。島北岸の波が穏やかな海域へ船を回し、そこで食事となる。
食事前、いつものお茶うけのお菓子を配る。先日、アカハラダカの渡りの観察に行った対馬土産の「かすまき」5個入り。調査メンバーは5人、数に問題はない。口に入らないことも想定して私は2個入りを別に購入し、既に賞味していたので、どういう状況であれ、余裕があった。「かすまき」は、「江戸時代に参勤交代から帰京した領主の無事を祝い、長旅の疲れを癒すために作られたともいわれています」と、しおりにあり、「日本ではまだ珍しかったカステラ風生地を使った菓子は非常に高価で、朝鮮交易などで栄えた当時の対馬藩の栄華をしのばせる一品」とも。
食後すぐに調査を再開。島方面へ進んでいる時、遠くに定期船いわいの姿を見つけ撮影。いくら鳥が出ないからといって、いつも船の写真ばかりではと思いつつも、結局、今回も船の写真ばかりとなる。
沖に霞んではいるが大きな白っぽい船が見える。船名が確認できず、結局、何する船か分からずじまい。他島付近では、なぶらが立っていたが、魚種については船長に聞きそびれた。
既にアマツバメの姿はなく、島のてっぺんの枝にイソヒヨドリが止まっていた。帰路、柳井・平郡島間を結ぶフェリーの「へぐり」と、以前紹介したことのある海保の灯台見回り船「げんうん」を撮影。とうとうカンムリには出会えなかったが、帰港直前、スナメリの姿が見られたのはラッキーだった。
(この調査は、セブン‐イレブン記念財団 活動助成金、地球環境基金、
パタゴニア日本支社 環境助成金、LUSHチャリティバンク 助成金
を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。
換羽中と思われるミサゴの写真が撮れたのが、唯一の救いです。この時期、換羽するのは成鳥と思われます。幼鳥は幼綿羽等が取れ巣立ち時点で羽が生え揃っていますから、羽根の脱落や伸長中の羽根が見られることはありません。
ハチクマの成鳥・幼鳥の違いも今時期であれば、ここがポイントとなるようです。カンムリウミスズメの成鳥・幼鳥の区別のヒントになればいいのですが・・・。