7月13日(火曜日)
今日も10:00から作業開始だ。
中電の船3隻、祝島の船10隻ほどが配置に付いている。
梅雨明け宣言を受けて空には入道雲が沸き上がり日射しはじりじり照り付ける。
今日は上関をテーマにショートムービー撮影に訪れた大学生二人が同行している。
そのうちの一人は田ノ浦初体験である。
まずは中電が設置した発電所敷地説明図を見て貰う。
敷地の中に反対派の所有する土地が炉心から数100m.の位置などパッチ状に広がっていること。
2号機の建屋は埋立境界線にあること。冷却水を循環させる取水口と排水口が反対派の土地を避けるようにうねうねと曲がり送水管の長さが異様に長いことなどー
「図を見ただけで計画の不自然さがわかりますね!」と率直な感想が返ってくる。
里道を降りて田ノ浦が目の前に開けると「すっげ〜!きれい!!」と感嘆の声を挙げる。
それと対照的な中電と祝島漁船団の対峙を複雑なまなざしで見つめている。
原発予定地から3.8km.しか離れておらず真正面にしか集落がつくれない島の自然条件。
周辺の海で漁をして来た漁師さん。田ノ浦に昇る朝陽に手を合わせてきたおばちゃんたち。
生きる糧と祈りの場を奪われる島の人々の想いが直接伝わったようだ。
お昼下がり、西の岩場からシーカヤックが現れた。T君である。
上関の写真展がきっかけで上関が気に入り、毎月のように通って来てお魚の産直も手伝ってくれる。
今日は激励を兼ねて来てくれたようだ。
陸の座り込みメンバーの中には今日も少数派で頑張ってきたOさん、Yさんの姿があった。
大学生たちは39年間の苦労談を40分余り撮影し「いや〜、いやがらせとか人間関係がすさまじいことになったんですね。」とショックを受けたようだ。
私は上関が「奇跡の海」と呼ばれる所以
@瀬戸内海で失われつつある遺伝子がセットで残る、よみがえりの種がつまった希望の場所であること
A世界的に見ても希少生物が多数生息し生物多様性のホットスポットであること
B今を生きる私たちは過去からの預かり物をそっくり未来の子供たちに手渡したいこと
ーなどを話しながら、私たちは「伝える世代」なんだと改めて感じた。
そしてそれを聞いてくれる若者がいることを非常に嬉しく頼もしく思った。
15:00作業打ち切りの連絡が入る。陸と海上と手を振りあい明日も頑張ろうと声を掛け合う姿を大学生たちはカメラに収めていた。
今日のお土産には「ハマナデシコ」の花を添える。