6月29日(火曜日)
中電がボーリング調査に先立つ測量を開始すると事前にマスコミ発表した。過去2回のボーリング調査の際は測量を知事の海面占用許可期間に入って行っていたが、今回は占用許可がなくてもできると公言した。できるだけ早く本格作業に入りたいという意思表示なのか?危機感を持ちつつ、現場に赴く。
浜に下りると中電の船3隻と監視する祝島の魚船10隻あまりが対峙している。
中電の船は司令船?と思しき大型船、監視船とみられる中型船、説得活動を行う小型船の構成だ。
大型船は湾の西寄りに少し離れて構えている。周りに半透明のシートを張りめぐらしている。説得の交代要員なのだろうか、4〜5名の人影が動いている。
中型船は湾の中央沖合鼻繰島側に構え、乗組員も1名のようで説得活動に何かあったらすぐ出動できる位置である。
小型船は乗組員4名で祝島の船に舳先を寄せ、頭を下げつつ何か話しかけている。
浜には広島や県内各地から駆け付けた市民グループ、労働団体など総勢30名ほどがのぼりや横断幕を掲げテントやビーチパラソルなどで日陰を作り海上の監視活動を見守る。
私たち上関の自然を守る会も4名で参加した。
昼休憩を1時間挟んで中電の説得船が祝島の漁船10隻の間を廻るという繰り返しが15:00まで続いた。
たった2〜3日前には「田ノ浦生き物見つけ隊」のイベントで磯遊びに戯れる親子連れでにぎわった入江は物々しさに包まれている。あんなに平和で穏やかな時間を過ごしたのにと思うと何とも物悲しい。
昼下がり、足の運動を兼ねて通称ダイノコシまで散策する。
何と、浜にはスナビキソウが暑さに負けず力強く生えているではないか!
5月の初旬に訪れた時は直前の暴風雨で砂に埋まり、枯れかけた株が多かった。
それにアサギマダラが舞い降りてすがりつくように蜜を吸うさまは美しいというより切ない思いをしたものだ。
今日見ると、葉は青々と岩の割れ目に食い込むように根を張った株もあり、改めて彼らの生命力に完敗だ!来年も会える!!ホッと胸をなでおろす。
15:00作業終了。「お疲れさ〜ん!ありがとーよ!!」
祝島の女漁師通称Tちゃんが浜に船を寄せ、ひときわ明るい声が響き渡る。
「おつかれさ〜ん!またね〜!!」応えて手を振り返す。
これまで何年間、何度このシーンを繰り返して来たことか。
よーし、明日も頑張るぞ!!