「上関原発計画予定地の海上ボーリング調査申請の不許可を求める申し入れ」について報告いたします。
日 時:2021年6月8日(火)11時00分〜12時過ぎ
場 所:山口市・山口県政資料館「第一会議室」
参加者:原発いらん!山口ネットワーク(代表・会員)、上関の自然を守る会(共同代表・会員)、原水爆禁止山口県民会議(議長・事務局長)
県議・藤本一規(共産党)、中嶋光雄(社民党・市民連合)、戸倉多香子(民政会)、木佐木大助(共産党)、宮本輝男(社民党・市民連合)、井原 寿加子(草の根)
元県議・佐々木 明美(諸団体を兼ねている:社民党)
計13名 と1名(原水爆禁止山口県民会議の事務局員)
県側:商工労働部理事、商工労働部商政課、商工労働部商政課、土木建築部河川課長、土木建築部河川課、環境生活部自然保護課、環境生活部環境政策課 計7名
まず原発いらん!山口ネットワーク代表が申し入れ書を読み上げて、商工労働部理事へ手渡した。
続いて、双方が自己紹介した後、県側から申し入れ書に対する県の考え方が説明された。
1. 上関原発予定地の海上ボーリング調査に係る一般海域占用許可申請を不許可とすること。
一般海域の利用に関する条例に従って、適切に対処する。
2. 昨年のボーリング調査の際に出された一般海域占用許可に関して、以下の点について明らかにすることを要望する。
1) 中国電力が廃止届を出すに至った原因は何か。また、その要因は、現在解消されたのか。
原因:事業者から出された廃止届によれば、作業スケジュールが大幅に遅れ、今後の海象条件等から見て占用許可期間内での占用行為の完了は困難となったためとされている。
要因の解消:一般海域の占用許可の準備において確認する必要はない。
2) 一般海域占用許可を出す際に、「この占用及び工作物の設置によって損失を受ける者があるときは、許可を受けた者の負担において原状回復又は損失の補償を行うこと」と条件が付されているが、そ
の条件が満たされたか否かを確認したのか。
昨年の海上ボーリング調査は実施されておらず、そもそも許可にかかる占有をもって損失を受けた者がいるとは考えていない。
3. 新型コロナウイルス感染症が流行しているさなか、いまだ着工の目処が立っていない原発建設に関連したボーリング調査は、これこそ不要不急のものではないのか。県の見解について説明を要望する。
県としては提出された申請書についてどこまでも一般海域の利用に関する条例に従って適切に対処する考えである。尚、県としては新型コロナウイルス感染症への対応について企業・事業者の皆さんに
対し感染拡大防止のための適切な対策の徹底をお願いしている。
4. ヒガシナメウクジオ(環境省レッドリスト 2017 絶滅危惧種U類)を始めとする希少生物の保護について、県が主体性をもって事業者に指導すること。
1) 事業者のヒガシナメウクジウオ保全対策は22年前(1999)のデータを基にした不十分なもので、上関の自然を守る会の独自調査(2019〜2020)と大きく乖離している。(添付資料参照)事業者に
全海域での再調査をさせること。
2) 周辺島嶼部ではミサゴ、ハヤブサ、クロサギ等の繁殖が確認されており、ボーリング調査による影響が懸念される。県が主体性をもって事業者を指導すること。
この二つについてですが、希少生物への対応については、事業者である中国電力の責任で対応すべきと考えている。県としてはボーリング調査の実施にあたっては、中国電力において適切な環境保全措置を図
られるよう、必要な要請をする。
以上で、申し入れ書にたいする県の回答は終わり、質疑に移る。
上関の自然を守る会の共同代表からは、ナメクジウオの保全対策に関して、事業者の責任で、また事業者が適切な環境保全措置をとられるものと・・、という県の回答に対し、20年以上前のデータに基づいてする
保全措置が適切なものと言えないことを申し入れに出席していた自然保護課から山口県のレッドデータブックは10年後に見直しをかけたという言質をとり、事前・事後の調査の必要性を訴えた。また審査の担当課
である河川課が条例に従った審査は「一般海域に著しい支障があるか否か」を判断するというので、希少生物の現状を把握せず工事を行うことは、著しい支障が出る可能性が大であると付け加えた。
県議や原発いらん!山口ネットワーク、原水爆禁止山口県民会議からも質問は出たが山口県は同様の返答を繰り返すのみだった。
6月11日、山口県は中国電力のボーリング調査の申請を許可した。
※今回の申し入れ時は山口県内でも新型コロナウイルスの感染者が増加していた。そのため、祝島・上関在住者は参加を見合わせ、6月4日に上関町内で記者会見を行った。
山口市で行われた申し入れには「上関の自然を守る会」の山口市内在住の共同代表と会員が参加した。