6月30日(水曜日)
昨日に続き、10:00~作業開始。
中電側の船は3隻。祝島の船8〜9隻が昨日とほぼ同じ陣形で対峙している。
浜の監視隊もテントとビーチパラソルを拡げ、沖を見守る。
昨日はかんかん照りで蒸し暑かったが、今日は曇り空で風がある分、涼しく感じる。
午後は干潮で潮が引いたので、西側の潮間帯にカサシャミセン調査に出かける。
潮だまりにはイシダタミやアマガイ。岩の表面や隙間にはアラレタマキビ。それぞれが集合住宅のように集まっている。微妙に生息環境が違うのだろう。中にやたら動き回る貝殻はヤドカリだ。
2005年に中電がボーリング調査をした時の悪夢がよみがえる。
岩場の上にそれまで見たことのない白い細かいシルト状の粉がびっしりこびりつき、ヤドカリばかりになった。
ボーリング工事以前は岩場を歩くと、生きた貝が驚いてコロコロ転がり落ち水にはねるピチピチという音に満ち満ちていた。それがシーンと静まり返り、死んだ世界になってしまったのである。
カサシャミセンの死んだ殻も見つかった。彼らは2億年前から地球上に生存していると言われている。二枚貝に似ているが、殻は片方しかなく触手のようなもので岩に体を密着させている。貝よりろ過効率が低い上、成長が遅く水質の汚濁にも非常に弱いと言われている。そんな彼らをボーリングによる水質汚濁が直撃したのだ。
あれから16年、少しずつ回復はしてきているが今でも元通りにはなっていない。それほど彼らの生息環境はナーバスなのだと思う。
カサシャミセンもしかりである。昨年は何とか西側のタイドプールで7個体確認できたのだが、今年はどうだろう?カサシャミセンが付いていそうな岩をひっくり返しては目を凝らす。探し初めて20分あまり、ようやく見つけることが出来た。それも約1cm。結構大きめのサイズだ。
「元気でいてくれたね!」思わず声を掛けてしまう。
潮が引き切っていないこともあり、その他の個体は確認することが出来なかった。また大潮の日にトライしてみることにする。
磯歩きの間、チーチーと甲高い声で鳴きながら先回りしては岩の上をちょんちょんと飛ぶ鳥がいる。
名前がわからないので鳥に詳しい仲間の判定を仰ぐべく写真に収める。(後日「コチドリ」であると判明)
磯歩きにかまけていたら、いつの間にか15:00前で作業終了だ。
祝島のTちゃんと昨日と同じ挨拶をかわしあい、帰途に着く。前をゆっくりゆっくり休み休み上がって行かれるのは80?才のTさんと膝を痛めたYさんである。共に原発計画浮上以来40年、圧倒的多数の推進派のいやがらせにもめげず反原発の旗を掲げてこられた。その不屈の精神が急峻な山道を乗り越えさせるのだ。
「私たちも負けてはいられないね!」 踏ん張った足に力を籠める。