8月30日(日)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。
だんだん見つからなくなる時期ですが、またまた鉄ちゃんの記録が更新されました。
また、8月の調査で「全戦全勝」のパーフェクトも初記録だそうです。
概況を記します。
天気:晴れ
調査時間:9:30から15:10まで
調査結果:カンムリウミスズメ 6(うち1組は同一ペアの可能性あり)
前回書いた島へのソングメーターの設置は、大型台風の襲来が予想されるため、見合わせることになった。
出港後、30分くらいした頃、沖で海上に魚の群れが目立つようになったので、Tさんにカンムリが出そうだねと話しかけたとほぼ同時、左舷に1羽のカンムリを見つける。このカンムリ、とにかく落ち着きのない個体で、水面を覗いたり、頸を伸ばしたり、その上、何度も鳴き声を上げる。
近くに連れがいるのではと、周囲を探すと船の反対側の少し離れた海上に、もう1羽が見つかる。その1羽も鳴き声を発している。
船上では、きっと合流するよと話していたが、そのうち両者は合流した。お互い300メートル以上は離れていた2羽が、声を頼りに無事、離れ離れになった連れと出会うという感動的な場面を、この目で見ることができたことは、大げさかもしれないが、筆舌に尽くしがたいという表現が合いそうだ。
その後、船を走らせていると、沖に大きな潮目?ができていて、潮が止まり、海上の浮遊物も目立つようになった。これまでの経験からこの「ゴミ」の弁別を丁寧に行っていると、左舷に鳥らしきものが見つかる。
船を寄せてもらうと2羽のカンムリであった。このペアは、とても落ち着いていて、たくさん写真を撮らせてくれた。この2羽、換羽の進行状況が明らかに違い、どういう組み合わせなのか、興味は尽きない。
島手前で折り返し、船を進めていると、左舷をカンムリと思われる2羽が猛スピードで飛び去った。飛んで来た方向が、先ほどの2羽がいた辺りからなので、同一ペアの可能性もある。入港するまで、どこかに着水していないか、熱心に海上を探した。見つかれば、ダブルカウントかどうか写真判定もできるので期待したが、ついに見つけることはできなかった。
今回も「天国」のような八島の定期船待合室で昼食・休憩。いつものように定期船の船長さんとの雑談が盛り上がる。午後からは、これまでカンムリがよく出ているコースを巡ったが、まったくヒットしなかった。
Yさんのお客さんを迎えに向かっている時、滞空時間の長いトビウオの飛翔を目撃したのと、沖でスナメリが見られたのは収穫であった。
最後に、いつもYさんの「強運」と書くことが多いが、決して運だけではないことを記しておきたい。Yさんは、長年の漁の経験はもとより、1回、1回の調査の経験を踏まえ、潮目や海流など考えながら航行されているのだ。こうした経験やチャレンジ精神が運を引き寄せていると言っても過言ではない。あまり考えすぎるのもよくないが、何事も漫然とやっていては、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られそうである。
(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。