2020年05月23日

5月のカンムリウミスズメ調査報告4

5月23日(土) 天気:晴れ

調査時間:10:50から16:50まで

調査結果:カンムリウミスズメ 3


最初の出港はアクシデントはあったが、幸運にもイルカの群れに出会うことができた。群れは四代沖から八島方面に向かって移動して行ったが、一度、小群が船のすぐ近くまで来てくれて、辛うじて証拠写真を撮ることができた(なかなかイルカの飛び上がりとシャッターのタイミングが合わず、八島側の画像は動画から静止画にしたもの)。一体、何頭くらいいたのだろうか。大きな群れを間近で見るのはDVD制作のための撮影時以来だった。

本日2度目となる航海。1度目より幾分、波も収まってきた。はるか遠方に潜水艦と思しき船影が水しぶきを上げて進んでいる。鳥が出なかった時の話題に何枚か望遠で撮影する。アマツバメとミサゴの繁殖状況を確認に行く。ミサゴは何時ものように船が近づくと警戒し、鳴き声を発しながら上空を旋回する。最初は巣についていた1羽だったが、しばらく見ていると、どこからやってきたのか、もう1羽現れる。アマツバメの姿は見られない。クロサギの巣があった場所も動きがない。クロサギの古巣の近くでイソヒヨドリが3羽、どういう組み合わせかは分からないが、どうも繁殖行動らしかった。

早昼を岸壁に上がって摂る。Yさんの船の時は何時も船上での昼食となるのだが、陸に上がっての食事はありがたい。蚊が多かったのは嬉しくなかったが、景色もよく、近くにイソヒヨドリの♀が来てくれたり、上空をアマツバメが飛んでくれたりした。船を島の周りで流していたYさんによると3羽のアマツバメが見られたとのこと。

午後の調査開始の最初に巣穴のあった近くをもう一度見るが、まったく気配がなかった。船を進めているとRさんが左舷に鳥らしきものを見つける。船を寄せてもらい、12時40分、2羽のカンムリウミスズメであることを確認。この2羽、換羽の進行具合が違い、ほとんど繁殖羽に近い個体と換羽進行中と思われる個体の組み合わせだった。4分後に、一羽が飛び去ったが、残った個体(換羽が進行中と思われる個体)は追いかける様子もなく、しばらく浅く潜水を繰り返していた。


b換羽の状況の違う2羽200523.jpg


b残った1羽が羽搏く200523.jpg


b1羽が飛び去る200523.jpg


その後、大きく一周するように船を進め、カンムリを探したが、他の海鳥もウとウミネコがわずかに見られただけで、成果は得られなかった。

15時過ぎ、アマツバメの繁殖状況を確認に行く。途中、15時26分、右舷にカンムリらしき鳥を見つける。単独個体で、飛び去る様子はない、昼過ぎに見つけた、飛ばない方の個体とは換羽の進行具合が違うようなので、発見海域は近いが、一応、3羽目として記録する。W先生のみ上陸、驚くような岩登りで繁殖状況を調べられ、定点カメラも一部回収された。島に着いた時点ではアマツバメは見られなかったが、離岸の際、どこからともなく2羽現れ、上空を舞ってくれたが、あわてて撮影した写真はピンボケで使い物にならない。W先生の話では、卵はいくつかあったが、例年に比べ少ないとのことであった。白浜港に帰港すると、ホトトギスがすぐ近くで鳴いていた。Uさんの話では、夜も朝もうるさいくらい鳴いていると。先日の濃霧の日、船を出せず、シーパラで待機していると、皇座山方向から聴いたのが上関での初認だが、付近に居ついたようだ。

調査終了後、K船長のお誘いで、みんなで夕食をよばれることに。奥さんの手料理が、これまた大御馳走であった。食事前に撮影する習慣がないので、お見せできないが、メインはカニ(いそがに)、タコの刺身、カサゴのフライ、サザエ、ヤドカリ(私は食していない)、ピースご飯、柏餅。タコの刺身を自家製の山椒味噌で食べたが、この山椒味噌が絶品。



(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




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2020年05月17日

5月のカンムリウミスズメ調査報告3

5月17日(日) 天気:晴れ(濃霧)

調査時間:13:35から17:17まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1



b出港前の白浜.jpg

出港後、再び濃霧が押し寄せ、まったく視界がきかない中を地寄りに進む。途中、近くの岩場が見える時もあったが、蒲井や四代の集落もほとんど霧の中で、これまでの経験からやっとその辺りを走っているのが分かるといった状態。鳥も岩の上にウミネコやアオサギがいるのが辛うじて確認できる程度で、ウも時々船のエンジン音に反応して飛び立つが、何ウやら判別もつかない。ウミネコや営巣中と思われるミサゴ、トビなどが見られたが、件のクロサギの姿はなかった。時々、霧が晴れることもあったので、海上から、巣についているミサゴの写真を何とか撮ることができた。

急に視界が開けたので、このまま沖合まで行けるかと思ったが、すぐに濃霧につつまれ、結局、島を一周することに。一回りしたところで、再び視界が開けてきたので進む。

時計を見ると15時半。いつもなら帰港時間だが、短期決戦に勝負をかけるしかない。沖合に鳥の群れを見つけるが、遠くて確認できない。そのうち群れが西方へ飛んで行く。ざっと30〜40羽はいそうだ。5分としないうちに、また、さっきの群れの倍はいそうな一群が西方へ。やっと写真判定でアカエリヒレアシシギの群れと分かる。しばらく走っていると、群れがばらけたのか、散開したアカエリヒレアシシギが海上に浮かんでいる。今度は順光だし、距離もまあまあ、何とか夏羽のアカエリヒレアシシギの写真が撮れた。この種は、メスがオスより羽色が鮮やかな数少ないタイプの鳥である。こういう逆転タイプの鳥に特有なオスが抱卵・育雛をし、メスは産卵したら南方に渡って行くらしい。この鳥はこの鳥で、この時期ならではの鳥なので、写真に収めておきたい。


bアカエリヒレアシシギの雌雄(右がオス、左がメス この種はメスの方が色が派手).jpg


しかし、カンムリ探しが目的なので、「カンムリに集中」である。アビ類も延べ5羽、出現したが、遠い上に、潜水した後、どこへ行ったのか分からず、今回は写真に収めることはできなかった。そんな中、16時20分、1羽のカンムリウミスズメを見つける。逆光でいい写真が撮れない上に、この個体は、やたらと潜る。潜る個体は結構いるが、浅い潜水を繰り返し、体全体を表すことがほとんどないのである。当然、警戒しての行動であろうが、長い調査の中で、これまで一度出会ったことがあるだけで、そうそう見られる行動ではない。ひょっとすると換羽が始まっていて、飛びたいところを潜水に替えているのかもしれない。羽搏き行動のいい写真をRさんが撮っているので、行動の意味については換羽の進行状況をTさんに確認してもらう必要はあるが…。


bカンムリウミスズメ.jpg


その後も、カンムリ探しを続けたが、アカエリヒレアシシギの散開した大群に出会ったのみであった。アカエリヒレアシシギは、ダブルカウントはあると思うが、200〜300羽はいたのではないだろうか。悪条件の中で、一定の成果が得られ、一同、満足して帰港。Yさんは、これから夜の漁の準備だという。本当に頭が下がる。いくら「日和をかこうな」といっても、体を大切にしてもらいたい。

珍しく遅くまで調査をしたので、自宅に帰り着いたのは8時前だった。自転車を踏んで県道から自宅への最後の坂を登っていると、明滅する小さな光が目に入る。4、5匹はいるようだ。玄関に入ろうとすると庭でも光っている。家の前の市道を拡幅した折、水路がすべてU字溝となり、ホタルの飛来が減っていたが、結構、戻ってきていることに驚かされた。もうホタルの時期だったのだと気づくことができたのは、ある意味、濃霧のお陰かもしれない。


14日に同海域で見た個体と17日の個体は明らかに違うことに気づきました。

17日の個体は報告書でも書きましたが、換羽が進行中と見られる羽衣で、14日の個体は、ほぼ繁殖羽のままです。



(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




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2020年05月14日

5月のカンムリウミスズメ調査報告2

5月14日(木) 天気:晴れ(やや薄曇りの時間も)

調査時間:9:40から14:40まで

調査結果:カンムリウミスズメ 1


出港時、岸壁下に捨てられた?ウマヅラハギの内臓をつまみだし食すハシブトガラスを船上から撮影。

5月5日に親子連れが見られていることから、私としても4度目の出会いを期待し、熱心に探すが、沖合で遠く6〜7羽のアビ類を目撃したのみで、午前中は成果なし。

岩礁付近で船を止め、早昼を摂る。船上での食事は、いつもながら船に弱い私としては辛いものがあるが、時間を有効に使うためには仕方ない。ミサゴは繁殖しているようだったが、時期的なものか、活動時間帯の関係か、アマツバメやクロサギの出入りは見られなかった。


bミサゴ警戒200514.jpg


昼食後、K船長の持参された甘夏を皆で食べ、早々に向かう。昨年、クロサギの繁殖した岩場へ行って見るが、気配なし。一応、巣の写真を撮る。昨年、巣立ち直後に孵化しなかった卵の写真を撮っていたので、その時の巣の形状と昨日撮影した巣の写真を比べてみたところ、巣材を足しているようにも思えるが、風化などによる形状変化かもしれず、今後の動向を見極める必要がある。救いは、岩礁で3羽のクロサギが目撃され、周辺を行き来していることが確認できたことである。ヒヨドリも30+羽がハヤブサを警戒してか、飛び出したり戻ったりいていた。


bクロサギ200514.jpg


沖合に船を進めていると、1時過ぎ、東方海上で1羽で浮かんでいるカンムリウミスズメを見つける。やっと見つけることのできた個体なので撮影を試みるが、警戒するのだろうか、撮れたものは後ろ姿ばかりで、なかなかバッチリ写真が撮れない。周囲にペアの片割れがいないか周辺海域を探したが、見つからなかった。


bカンムリウミスズメ200514.jpg


あきらめて北上を続けていると、遠くにアビ類の姿が確認できた。繁殖羽に変わりかけているのか後ろ頭が少し白っぽくなっているようだ。アマツバメは見られず、がっかり。Yさんは、先日、漁に向かう夕刻(6時頃)、アマツバメが数十群舞しているのを目撃したとのことだったので、私としても期待していた。

期待通りに鳥は見られなかったが、漁師さん二人が同じ船というのは、案外、面白い話が聴けていいもんだなと思った。二人の会話をみな覚えているわけではないが、これはというものを紹介したい。自分の親や兄弟から言われていたことが、今頃になって分かる気がする。「日和を囲うな(ひよりをかこうな)」と言われていたが、本当にそう思うと。海の天気は時々刻々変わり、その時にしておかないとダメだということらしい。もう一つ、「魚をおわえるな(追うな)」。空の具合、潮の具合、風の具合、漁場の形状などなどを見て、感じて漁をする。何事にも「潮時」があって、止めることも必要。これを守らないと命取りになるという先人の知恵。いくら機械や機器が発達しても、経験や先人の教えで身に着けた何千通りのパターンを駆使するのは人間なのだとも。ちょっとした二人の会話、私の記憶の正確さは欠くが、調査上の成果に勝るものをいただいた気がしている。



(この調査は、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。




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