午後からの調査は、まず研究者のTさんを回収し、前回カンムリの見られた沖合を目指した。
祝島の港を出てすぐ、群で着水していたウミネコが船の接近に驚き、一斉に飛び立つ。
宇和島の手前辺りでは、前方をダイハツの自動車運搬船が横切る。
とりあえず話のネタにと撮影を試みる。
1時間くらい右、左と繰り返し双眼鏡で鳥を探したが、ウミネコを1羽見つけただけ。
そんな時、白と黒というか灰色をした鳥が何羽かまとまった状態でいるのが目に入った。
「鳥がいる! 11時の方向」と声を掛け、船を進めてもらう。
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まとまった数でいたので、「ウミスズメ?」との声も聞かれたが、私は再度、双眼鏡で確認し、
「(アカエリ)ヒレアシシギのようです」と応じた。
7羽の群だった。
船長さんは、「初めて見た」と言っていたので、
「春に大群でいた赤い色をしたあの鳥ですよ。今は非繁殖羽で白っぽい色をしていますが・・・」と返すと、
「ああ、あのちょっと飛んでは、また近くに降りる鳥か〜」と。
今回も、ちょっと飛んでは前方に降りる行動が見られたので、印象深かったのだろう。
撮影した画像を見ると、嘴で海面から何かを摘まみ取っているように見えるが、餌生物が写り込んでいる画像は得られていない。
(ペットボトルとの比較)
いずれにしても食べているのはプランクトンのようなものだろうから可視化できないのは仕方ない。
ほぼ同じ海域で、今度は船長さんが1羽でいる鳥を見つける。
逆光で種までは分からないが、シルエットからウミスズメ類であることは分かった。
船を順光側へ回してもらう。
前回、飛ばれているので、船長さんも注意深く操船している。
だんだんと光線の状態が良くなり、カンムリウミスズメであることが確認できた。
換羽を終えた非繁殖羽個体で、前回見つけた個体と同じ個体ではないかと思われたが、
前回はピンボケ写真が2枚しか撮れていないので、比較検討が難しく何とも言えない。
(水中を覗き込むカンムリウミスズメ)
この個体、短い冠羽が見られ、
この時期の遭遇率の低さを考えると貴重な写真データとなるはずだ。
そのカンムリにも最後は飛ばれ、その後も強い西日に耐えながらの鳥探し続けたが、
横島で岩場に止まっているミサゴや
磯にいるアオサギが見られただけで、ついに別のカンムリとの遭遇は叶わなかった。
出港前からカンムリとの出会いは時期的に厳しいと考えていただけに、アカエリヒレアシシギやカンムリウミスズメに出会えた幸運を素直に喜ぶべきだろう。
(この調査は、パタゴニア環境助成金、LUSHチャリティバンク助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)
※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。

