2022年12月03日

22年12月のカンムリウミスズメ調査報告1

12月3日(土)、カンムリウミスズメの生息調査を実施したので報告します。

天気予報が外れ、どんよりとしたとても寒い一日でした。耐えにたえた調査でしたが、報われることなく、早めの終了となりました。

概況を記します。


天気:曇り

調査時間:9:42から14:21まで

調査結果:カンムリウミスズメ 0


天気予報では晴れとのことだったが、早朝の天気とはうってかわって厚い雲が垂れ込めている。誰もが、そのうち天気は良くなるものと思っていた。汗ばむようだったら脱げばいいと、念のため冬支度の上から合羽の上下を着込み乗船。一応、指の出せる手袋も装着し万全を期したが一向に汗ばむ気配はない。

海面の暗さの上に、波もそこそこあって、カンムリ探しには最悪の条件だ。遠く四国や九州方面は明るいのに、調査海域だけがどんよりとしている。遠くに見える佐田岬半島に浮島現象が見られる。暗いし船が揺れるので上手く写真が撮れない。


221203浮島現象佐田岬半島.jpg


周囲の目視観察を続けていると、Toさんが左舷方向に何かを見つけ声を上げたので、その方角を双眼鏡で探す。しかし鳥らしきものは見つからない。船長さんが「ボラの群が跳ねている」というので、双眼鏡でもう一度見てみると、確かにそのようだった。遠いので写るかどうか分からなかったがシャッターを切る。1枚ほどボラらしきものが撮れていた。


221203ジャンプするボラ.jpg


その後も、鳥が出ないのでホウジロ島や大分の姫島の浮島現象を撮影してネタをしこむ。宇和島の磯では岩の上にミサゴが止まっていたので、撮影を試みるも早々と飛ばれてしまった。クロサギも近くにいたらしいが、飛び去ったので、こちらも撮影できず。研究者のTさんを島に降ろし、沖合へ向かうが波の関係で向かえず、ホウジロ島の沖を少し行ったところで、方向転換し船は北上を始める。

時折、近くをウミネコが飛ぶが、曇り空の中の被写体はコントラストの関係でオートフォーカスが効かず、カメラがピントをひろってくれないので撮影は諦める。波が少し穏やかになったのでカメラを取り出したが、漁船の周囲を飛び回るウミネコを遠景で撮るのがやっとだった。いつもは穏やかな長島の北側の海域も前方からの波で船が揺れる。天気が良くなる気配はまったくない。

田ノ浦沖に船を止め、早いお昼を摂ることに。


221203田ノ浦沖に停泊.jpg


船長さんは、「今日は、どの向きに行っても波があり、まったく先が読めない」とこぼしていた。同じ風でも海の上を吹くものと、海面に吹きつけるようなものがあって、波の立ち方が違うらしい。この日の風は強いものではないが、海面を波立たせるような風だったようだ。

とりあえず、いつものようにニコニコ亭の弁当の写真を撮る。


ニコニコ亭のバラエティーに富んだ弁当.jpg


お茶うけに用意した銭の菓子本舗のブッセを配った。お弁当の方はいつものようにバラエティーに富んだ豪華なものであったが、如何せん、体は冷え切り、鳥も出ず意気も上がらない中での食事では、満足な食レポもできない。

午後からの調査は研究者のTさんの迎えを予定していたので島へ直行した。


221203研究者さんを回収に向かう.jpg


鼻繰島近辺では、ミサゴやウミウも見られたが、飛ばれる前に写すには、かなり船とは距離があるところでシャッターを切らなければならない。この日のように暗い中ではシャッタースピードがかせげず、揺れる船から被写体をブラさずに撮るのは至難の技。何枚も写したが、ほぼ全滅状態だった。


221203岩場で休むウミウ.jpg


Tさんの回収地点には予定の15分前に着いた。近くを飛んでいたのはトビが3羽とカラスが2羽。1、2羽ではあるが、ヒヨドリが飛ぶのを何度も見かけたので、この日はハヤブサが留守だったのかもしれない。Tさん回収後は、一直線で白浜の港へ向かう。

目では一応、周囲の状況を確認しつつも、完全に集中力が切れてしまっていた。

家を出る時は、ワールドカップでの日本チームのように大逆転を期待していたものの、またしても惨敗という結果に終わってしまった。陸に上がると猫たちが毛布の敷かれたプラスチックボックスの中で身を寄せ合って暖を取っていた。


221203身体を寄せ合って暖をとる猫たち.jpg


焼却場にゴミを捨てに行くと岸壁近くにカモメ類が1羽浮かんでおり、だんだん近くにやってくる。当初はウミネコかと思っていたが、写真を撮って確認するとセグロカモメだった。この日撮影した鳥の中でピントが合った写真はこのセグロカモメだけ、何とも情けない。外の寒さだけでなく、心まで冷え切った一日だった。 


221203岸壁近くまでやってきたセグロカモメ.jpg



(この調査は、地球環境基金、パタゴニア日本支社 環境助成金 を受けて行いました。 敬称略:五十音順)

※生息地保全のために詳細な調査区域を非公表としています。



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2022年12月02日

【鳥の散歩道8】鳥も衣替えをする?

鳥も「衣替え」をするのでしょうか。


 近頃は学校も制服を廃止したところが多いようですが、制服の衣替えは、6月1日からは夏服、10月1日からは冬服に一斉に服装を切り替えるのが一般的でした。私たちの暮らす日本には四季があって、季節によって天気や気温が変化するため、季節の変わり目に衣類を改めるのは長年の風習ともなっています。中国の宮廷の風習が平安時代に伝わり、明治時代以降に学校や官公庁など制服のあるところは上記の日をめどに衣替えを行うようになったそうです。

 動物にも夏毛、冬毛と季節に合わせて「衣替え」するものもいます。鳥も「衣替え」をします。鳥の衣替えは、「換羽」といって古くなった羽が抜け落ちて、新しい羽に生え替わる生理現象です。年1回以上行われますが、鳥の種類や年齢、性別などによって生え替わり方に違いがあります。鳥の飛翔に関係する風切り羽が一斉に抜けて飛べなくなる鳥もいますし、飛翔能力に余り影響しない程度に順番に抜け落ちていくという換羽の仕方をする鳥もいます。

換羽は、古くなり傷んだ羽の更新が第一の目的ですが、繁殖期の前に綺麗な体の色に変化し、繁殖が終わって地味な色へと変わる鳥も少なくありません。俗に夏羽、冬羽と言っていますが、科学用語では生殖羽、非生殖羽といい、別の目的を持った換羽なのです。繁殖のために目立つ必要があったり、捕食から逃れるために目立たなくしたり、それぞれに意味があるのです。

ライチョウは年に3回換羽するそうです。敵(捕食者)から身を守るために雪に溶け込む冬羽、土に溶け込む夏羽、岩に溶け込む秋羽と高山の季節変化に伴う周囲の環境に合わせた換羽をしているようです。

オスとメスで著しい見た目の違いのある鳥がいる一方、雌雄に違いがないように見える鳥もいます。


オシドリのオスは、@の画像のような非生殖羽からAの中央のように換羽を経て、Bの画像のような生殖羽に変わります。綺麗な羽衣になって番(つがい)関係を形成し、繁殖後に換羽して一見メスのような羽色に変わるのです。オスがメスのような羽色になった状態をエクリプスと呼んでいます。エクリプスとは、「日食」や「月食」などの天文現象における「蝕」を意味する英語ですが、鳥類用語としても使われます。

@

sanpo8オシドリ♂(非生殖羽).jpg

A

sanpo8オシドリ♂(換羽中).jpg

B

sampo8オシドリ♂(生殖羽).jpg


違いが人間の目で区別がつかないだけで、鳥には違って見えているのかもしれませんし、体色ではなく囀りなど音声が重要な選択の決め手になっているということもあるでしょう。鳥によっては年齢で羽衣に違いのあるものもいます。カモメの仲間は特に違いがハッキリしています。


sanpo8風切り羽等に欠損の見られるハチクマの成鳥.jpg



sanpo8風切り羽に伸長中の羽が見られるハチクマの成鳥.jpg


sampo8風切り羽等に欠損のないハチクマの幼鳥.jpg


上のハチクマの画像は風切り羽等に欠損が見られます。中央の個体は抜け落ちた風切り羽が新しく伸長してきているのが分かります。下の個体は風切り羽や尾羽が綺麗に揃っていますね。これらの画像は秋の渡りの時期の同じ日に撮影したものですが、羽毛の欠損や伸長が見られるのは成鳥で、綺麗に揃っているのは幼鳥です。この時期は換羽が始まっているので翼の傷み具合で成鳥か幼鳥かの区別がつくのです。


小鳥でもルリビタキのように綺麗なオス成鳥の体色になるのに3年も4年もかかる鳥もいて、なぜこうも違いがあるのか不思議ですよね。羽の抜け替わりだけでなく摩耗によるものまであるのですから。カシラダカというホオジロの仲間は、褐色の羽毛が擦り切れ、内側の黒色が出てきて、メリハリの効いた夏羽になるのです。

                               

自然にはいろんな違いがあって、文章的には「造化の妙」と言うところでしょうが、あえて「進化の妙」と言い換えておきましょう。




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2022年12月01日

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